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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第二章 クラン結成編
30/110

日本選挙の縮図

 最近危ないタイトルが多い……

「いけそうですか?」

「多分、ね」


 今日は、生徒会選挙の演説の日。要するに、最終アピールの時間だ。

 今期は生徒会長に越湖とディアの二人が立候補している。

 俺の方は信任投票だからあんまり気にしていないが、越湖の方は……微妙な所だ。

 最後に舞台裏で深呼吸をしていると……ディアが現れた。


「……お前何で会長立候補なんてしてんの?」

「イグノが副会長になるんだロ?じゃあそういうことダ」

「いやどういうことだよ。あとこっちでは辰海な」


 こいつの考えてることはよく分からん。

 とはいえ、なにやろうとしてるか知ったところで、俺には止める権利なんて一つもない訳で。


「会長になったらお前を顎デ。いや、目線だけで使ってやル」

「越湖頑張って!超頑張って!」


 あれ、よく考えると越湖も俺を顎で使ってたような……ふ、副会長なんてそんなもんだろ。

 まあ、一度越湖に味方すると決めた以上は、最後まで貫こう。



「静粛に。それでは、ただ今より第84回生徒会選挙を……」


 司会さんが選挙のルールや、立候補者の軽い説明をして……演説の時間になった。

 先にディアがやるようで……舞台に大型スクリーンがでてきた。


「私は1年5組のディア・ワトソン。知ってる人は知ってると思うけど、エレクット王国の貴族の長女ダ。もちろん私には、コレがあル」


 彼女は、人差し指と親指で輪っかを作って、そう宣言した。

 スクリーンが起動され、映し出されたのは……黄金の部屋で優雅にくつろぐディアの映像。

 お前は豊臣秀吉か。


「私が生徒会長になったら、実家が、この学校に大量の融資をすル。具体的に言うと、部活の予算を10倍にすル!」


 体育館内に、ざわめきが走った。

 俺は所属していないが、生徒の8割は部活動に励んでおり、そいつらにとって予算十倍はとても魅力的だろう。

 一気にキツくなってきた。さらに、


「階段を全てエスカレーターにしてもいいし、購買を無料ににしたり……」


 後の二分間、ひたすら金があればどのようなことができるかを演説して、


「最後に一ツ。金で解決できないことはなイ」


 拍手の嵐が起こった。なんだ最後の名言。

 越湖の方を見ると……いつも通り涼しい顔をしていたが、少し顔が青くなっていた。

 これは、不味いな。励ます時間も少ないから、シンプルに、


「大丈夫だよ。俺たちは……負けない」


 頭を撫でながらそう言った。青くなっていた顔が一気に真っ赤になって面白かったが。

 すぐに手を叩かれて、いつものペースに戻ると思っていたが、


「……(ナデナデナデ)」

「……(顔真っ赤、ちょっと嬉しそう)」


「……(ナデナデナデ)」

「……(むしろ手を握って離さない)」


「痛い痛い痛い!」

「……(握力70キロ)」

「何してんダー!?」


 壇上から帰って来たディアの協力もあって、なんとか離してくれた。

 まだ痛みが残る右手を置いて、左手で越湖の背中を押した。


「ほら、行って来い」

「ええ」

「……何でこんないい雰囲気になってんノ?」


 壇上に立って、演説を開始した。


「私は2年2組、越湖シャロです。皆さん知っていると思いますが、前期から生徒会長をしておりました」


 上手い文章力で、『去年は楽しかったね』という話に持っていく。

 実際、去年のイベントは大盛り上がりで、毎回楽しみにされていた。

 新入生にも、イベントが面白そうだからこの学校に入学したという人はいるだろう。


「今期も、特にやることは変わりません。月に1回でイベントを行います」


 まだ、少し不安だな。ちょっと手助けしておくか。

 越湖が壇上から降りる前に、俺が入っていって……驚く越湖からマイクを奪い取った。

 

「皆さん、いいんですか? あんな実家頼りの人で」


 担当の先生が俺を捕まえようとしているので、手短に終わらせる。


「金で買えない幸せもある。輝かしい青春がその最たるものだろ!」


 謎の拍手が巻き起こった。





「かいちょ~。反省文手伝って~」

「自業自得でしょう」


 そう言いつつ手伝ってくれる会長さん流石っす。

 前任者の引継ぎがよかったのか、今は仕事がほとんどない。


 数日後、しっかりと越湖の名前の下に、綺麗な造形化がついていた。もちろん俺のにも。

 前の人の演説を否定し始めるヤバいやつがいたせいで、少し危なかったが、なんとか就任できた。

 お陰で反省文30枚だよクソが。


「アンペル様に土下座いたしますって書ケ」

「1°くらいなら頭を下げてもいいぞ」


 思いっきり殴られました。

 前副会長が両親に止められて、副会長立候補が俺しかいなかったため、ディアさんがもう一人の副会長になりました。

 喋らない書記さんはそのままだが……ムードメーカー無しでなんとかなるかな?


「さて、4月のイベントを考えるわよ」

「え?今25日だぞ?来月からじゃないの?」

「当たり前よ。あと、今回は便乗できそうなイベントがないから、自分たちで考えないといけないわ」

「頑張ロー」

「いや無理だろ」


 この後、地獄を見ました。


 会長 越湖シャロ

 副会長 辰海悠馬

     ディア・ワトソン

 書記 書記の人 名前つけた方がいい?


 前の人の演説を否定するのは普通にアウト。

 それだと、後ろの方が有利になってしまうからね。


 初いいねが昨日の深夜テンション回で草。次章あたりで多分やります。

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