パクりとか言わないで(自覚アリ)
みんな察してると思うけど、7割くらい某かぐや様のパクりと言われても仕方ないものになってます。
いや、6割……5割じゃだめですか?
「お疲れ様でーす」
「語尾は伸ばさない」
「お疲れ様です」
ある日の放課後、俺は会長と、生徒会室へ向かった。
今日は、生徒会最後の仕事だ。
残った書類を片づけて、引継ぎの用意をし、私物を持ち帰る。
最近は何故か仕事をサボり勝ちになっていたもう一人の副会長と書記さんも、今日ばかりはしっかり来ていた。
「久しぶりー。進展あった?」
「久しぶりなのは、お前等がサボりまくってたからだろ。仕事を押し付けられる身にもなってみろ」
「そっちの進展じゃないんだけどなー」
意味わかんないことを言っている副会長は置いておいて、早速最後の仕事に取り組もうとしたら、
「今日は今までサボってた分、私と書記ちゃんでやっちゃうからさ。辰巳とシャロは適当に時間潰しといて」
会長にウィンクしながら背中を押された。
今日は仕事が多いから不安なんだが……喋らない書記ちゃんがめちゃくちゃ頷いて、やる気満々だったから任せることにした。
「……何しよう」
「二人でペチャクチャ喋っとけ!イチャイチャでもいいぞ!」
「しねえよ」
二人で沈黙しているのも気まずいから、結局喋るんですけどね。
「色々ありましたねー」
「ええ」
「最初はボロクソ言われましたけど、認めてくれました?」
最初の頃はマジで地獄だった。
前も言ったけど、女の子三人に突っ込まれてるんだぜ?
しかも会長のあたりがめちゃくちゃ強かったんだよ。
一言喋ったら十言罵倒が返ってくるからな。
「……あったわね、そんな時期も」
「割と傷ついてたんですけどね?」
「私のサインをコピーしてきた辺りには認めていたわ」
いっつも会長の仕事が多くて、暇な時間があったからね。
自分が早く帰るためと、
「会長の名前好きですから」
「……そう」
「そんな感じでいい雰囲気を!」
「黙ってろ!」
「集中して仕事しなさい」
「はいぃ……」
ちょっと言い過ぎた気もするが、ウザかったから仕方ない。
無視して話を続ける。
「あと、月に一度のイベントは記憶に残ってますよ」
この会長、公約で月一のイベントを約束して、クリスマスやらハロウィンやら色々やった。
「本当に月一でやるとは思わなかった」
「公約を守るのは当然でしょう?」
「その言葉、世界中の政治家に言ってあげて下さい」
まあ、そのせいでクッソ仕事増えたんだけどね。
予算捻出するのにマラソン大会を無くしたりして、余計に書類仕事まで増え、それに仮装衣装作りまである仕事地獄。
「どれが一番印象的だった?」
「2月の節分イベントですかね」
生徒会役員が鬼の仮装をして、生徒全員に豆を渡したのだが......異常に男子からの豆が痛かった。
あれはもう豆まき側が鬼だよ。
「会長はどれが1番楽しかった?」
「3月の雛祭りよ」
ああ、人形置いて終わりだと思ってたら、副会長が「お雛様やりたーい」とか言い出して、等身大で作ったやつね。
衣装作り大変過ぎて、外注までしたなぁ。
結局お雛様は会長がやってたけどね。ちなみに俺はお内裏様。
「お雛様姿似合ってましたしねぇ」
「あなたも中々だったわよ」
「凄い笑われましたけど」
「あの〜、思ったよりも書類が濃いんですけど」
「もう、無理」
書記さん、第一声がそれかよ。
「はぁ。手伝いますよ。貸して」
「仕方ないわね」
結局4人で終わらせました。
後は私物の回収したらもうお終いか。
「あんまり私物は無いわね」
「あ、会長の折りたたみ槍ありましたよ」
前述した、副会長との試合のやつだ。
会長が顔を赤くして取り上げててった。
「他には……何それ?」
俺の引き出しには……謎の石と彫刻刀が。
「偽装サインと並行して作っていた会長ハンコです」
謎の石には『杉丘高校生』まで掘られていた。
あと『徒会長』だけなのだが……微妙に本物と材質が違ったのと、サイン仕事を無くしたら暇もなくなったから、断念したやつだ。
「そんな事までやっていたの?」
「暇でしたから」
捨てるのもアレだから、記念に持って帰ろう。
こんなもんかな。
「寝袋忘れてるわよ」
いっけね。イベントの準備がマジでやばい時 (いつも)にお泊まり会をしたやつだ。
「そういえば普通の生徒会はお泊りなんてしないんだったな」
「余りにも自然にやってたから忘れてた」
副会長二人とも、会長に睨まれた。
だって、そこらのブラック企業よりもブラックなんじゃ?ってレベルだったし。
親に隠れて学校に休む連絡を入れる人はいるかもしれないが、俺たちは学校内から休みの連絡入れてたからな。
笑顔で食料の搬入をしていた原田先生も中々だと思う。
「これで本当に終わりね」
「今までお疲れ様でした」
生徒会室の扉が閉まり、何とも言えない寂しさの様な物に晒される。
もう、この部屋に入ることはないだろうな。
会長が施錠して……
「他の人たちは?」
「もう帰っちまった。何故か俺は残ってろって」
静かな廊下に、二人の足音だけが響く。
き、気まずい。もうさっさと帰ってしまおう。
「じゃあな越湖。また教室で」
そう告げて、軽く走り出そうとしたところ……制服を引っ張られた。
無理やり脱出を試みるが……制服が悲鳴を上げているから、やめておこう(震え声)。
振り返って、下を向いている会長に、
「どうかしました?」
「……私の生徒会、楽しかった?」
「……忙殺されそうだったのを置いておけば、楽しかったですよ」
会長は下を向いたまま……数分後、どこからか一枚の紙を取り出した。
それは、副会長立候補の書類。
今度は目を合わせて、
「上半期のイベントはまだやれていないから……もう一度やろうと思うの。それで……」
「最強の雑用係が必要ですか?」
越湖は、ゆっくりとうなずいた。
俺は、少し溜息をつきつつ、書類を受け取って、
「もう一回遊べるドン(高い声)」
後日、副会長立候補者欄には、ちゃんと俺の名前がありました。
会長の立候補は、越湖とあと一人いる様だ。
まあ、生徒会選挙で越湖が負ける相手なんてそうそういないと思いつつ、もう一人の名前を見ると……ディア・ワトソン。
……ちょっと不安になってきた。
土日→ 仕事&イベントの用意でお泊り会
月曜~→生徒会室からちょいちょい時間を空けて風邪のフリ電話
いつも何故か許容してそこそこ高い飯を買って来る原田先生