誓ったリベンジ~♪(2回目)
一時間適当に時間を稼いで、丁度一時間で再ログインした。
ほぼ同時にミワさんもログインしてきた。そりゃ同時に死んだからそうなるか。
「すみません、防ぎきれませんでした」
「あれはしょうがない。今度は姉さん……シェンラを連れて行こう」
「諦めるのか?」
ミワさんに視線を合わせて、真面目な声で言った。
彼女の仮面で顔が見えないが、なんとなく睨まれている気がする。
「無理でしょあれ。多分シェンラなら耐えられる」
「シェンラさんも今自分のサブスキル取りに忙しいでしょ。それに耐久特化の分、足は遅いからめちゃくちゃ時間かかるぞ」
「……じゃあ何か作戦あるの?」
「ない。でも……ないなら作ればいいじゃない」
とりあえず、もう一回二人で枯れ海藻の広場へ行った。
そのまま、多くの人が挑んでいくのを観察した。
「もう30分も見てるけど、何か分かった?」
「大体組みあがって来た。並ぶぞ」
あのイタチの動きから、結構単純なプログラムで動いている感じがしていた。
それなら、しっかりとプログラムを認識して、それに対応する動きを組み上げれば、大体のモンスターには対応できる。
この手のゲームは得意だ。
考えたプランをミワさんに伝えて、
「これならどうだ?」
「……よく、思いつくね」
「諦めずに、冷静に考えたらできないことなんて(ほぼ)ないんだ」
仮面で表情は見えなかったが、少し下を向いて黙り込んだ。
「そう……。分かった、協力する」
「頼んだぜ」
グーで手を差し出して……コツンとグーで返してくれた。
二回目の俺たちの番がきた。
まず、後ろの人に悪いとは思いつつも……また地面の下に潜った。
イタチは少し浮いるため、地面から不意打ちで倒すことはできないが、隠れることはできる。
十数秒後、ミワさんが地面沿いにデコイを出して、イタチに向かって直進させ、本体もある程度近づいておく。
イタチは、攻撃されるか、一定範囲まで近づいたら動き始める。デコイにも反応したのはさっき確認済みだ。
デコイがイタチに向かっていき……イタチの行動範囲に入った。
デコイの頭に尻尾が入る直前!
イタチの優先攻撃箇所は頭→首→心臓だから、デコイの頭に尻尾が固定されている。
加速して地面から飛び出し、デコイの影から頭に今度こそ[クマ魚の返り血]をイタチの頭に合わせた。
右手がグチャグチャになって、HPがガンガン減っていくが……口内で大量のポーションを噛み砕いて何とか持たせ……耐えきった。
「ミワさん!」
キン!
隙だらけになった一撃必殺イタチ魚にナイフを入れて倒した。
だが、最後の抵抗で尻尾を振るい……ミワさんの仮面が壊れた。
ミワさんの顔は、綺麗な瞳に端正な顔立ちだったが……左頬に×の傷がついている。
すぐに手で顔を隠したが、加速の体感時間で十分見てしまった。
「……うっ」
「何ですか?」
「ははははははは(略)」
やばい、コンプレックスに大笑いしてしまった。ちょ、HPやばいから叩かないで。
「どうして笑うの!?」
「だって、左頬に×キズって、緋村剣〇じゃんwww」
「誰?」
体に衝撃が走った。え……今時の子はるろうに〇心知らないの?
や、ややばい、衝撃で止まってしまったから余計にHPが減って、もう1くらいしか残っていない。
「ちょっとポーションくれない?全部使い切っちゃった」
全力で投げつけられたポーションを何とか躱して、勢いが死んでから飲んだ。
「ふう。クッ ww」
「死ねー!」
顔を隠すのも忘れて叩いてくるのを止めて、もう一度ジックリ顔を見た。
「ちょっと!」
「これって、現実にもあるの?」
一転して真面目な声で話し始めた。
少し驚いた様だったが、
「リアルでは×ではない。ちょっと掠った程度」
「そうか。大変だったんだな」
「……怖く、ないの?」
「全く。でも、凄いとは思ってるよ」
手で左頬のキズを隠してみたが……違和感がある。
「キズがあっても君は美しいから」
◇
羞恥心で3日くらい寝れなくなりました。変なこと言うもじゃねえな。
そろそろ慣れてきた2年の教室に向かう。
東間は徹夜でアニメ見てたらしいから、今日は2時間目登校かなぁ。
俺も新たな黒歴史のせいで、若干寝不足だ。あれって冷静になった瞬間に思い出すからタチが悪い。
あー、思い出したらまた死にたくなってきた。寝よう。
なんか教室の中が妙にうるさい。
目を開いて、会長に何があったか聞きに行った。
「これはなんの騒ぎか知ってます?」
「辰海君……うちのクラスの不登校児が初めて出席したのよ」
「へー。ちょっと見に行ってみるわ」
確か、不登校児の席は……人だかりができているところか。
人と人の間から、不登校児を見……アイムインザドリーム。
なあみんな聞いてくれ。世界には面白い夢ってのがあるんだ。
だってさぁ、目の前で左頬にキズがある女子が、るろ〇に剣心の布教してるんだぜ?×ではないけどさぁ。
あ、やばい気づかれた。
人混みをかき分けてこっちに向かって来る。
全力で逃げてると、不登校引きこもりで体力はないのか、転んでしまった。
仕方なく起こしに行く。
「はぁ。大丈夫か?」
「ねえ、イグノだよね!」
「誰だよそのイグアノドンみたいなやつ」
「……はぁ」
彼女は、ポケットから何かを取り出して……カッター。
「リスカしよ」
「まてまて、思いとどまれ!」
「おーい、イグノー」
後ろから東間の声。あいつ寝ぼけてゲームの中と勘違いしてやがる。
彼女は、手首にカッターを当てたまま、
「やっぱりイグノだよね。髪色が違うけど、すぐ分かったよ」
「はぁ。こっちでは辰海悠馬な」
「私は川上伊織ね!」
うちのクラスにメンヘラが加わりました。
後日、ミアのナイフが逆刃になっていたが、それはただの弱体化では?
倒したのはミワさんだけど、パーティプレイ前提のUAOでは戦闘に参加すればスキルが得られる。
これ以上ゲームから現実に輸入することはないので安心してください。
現役男子高校生ですけど、クラスにるろうに〇心とかブ〇ーチとかが分かる人がいません。
マジかよ。
伊織さんのキズは、この〇ばのクリスさんくらいです。
気になる人はググって。
……今回伏字多いな。