表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第二章 クラン結成編
24/110

シャロ、勇気の一歩

 いつもの初心者狩場に着いた。

 武器に振り回されないように、弱めのスタンダードな剣を渡して、


「あれ倒してみて」


 ラチックは頷いて、思い切り剣を振りかぶり……綺麗な太刀筋だなぁ。

 この子絶対戦闘能力の方が向いてるよ。運動神経えげつないもん。

 ……どういう構成にしよう。早めに決めないとステータスの振り方に無駄ができてしまう。

 バフにもMPはいるから、ある程度は伸ばしておきたい。

 けど、この運動神経を手放すのは勿体ないよなぁ。


「強化って、自分に掛けれる?」

「試してみるわ。〈殺戮魚の声(キラーコール)〉」


 物騒なスキル名を宣言し、黒いオーラを纏った。

 ど、どうやら自分にも掛けられるようだ。なら話は簡単。


「ステータスの振り方決まった?」

「なにそれ」


 ……余計な説明を挟んだが、どうやら決まっていない様だ。

 二次元RPGくらいはやったことあるって言ってたのになぁ。

 VRMMOの良さを知ってもらうために、露店を回りながら、ステータス構成について話す(止まれないからカフェとか無理)。


「タコ焼き食べれる?」

「ええ、大丈夫よ」

「おっちゃん、タコ焼き二人分」

「お、カップルか。若いっていいね~。まけておこう」

「サンキュー」


 低くなった代金を払い、二箱のタコ焼きを受け取った。

 カップルと言われたのが気にさわったのか、顔が真っ赤になっているラチックに片方渡した。


「ほら、奢り。ここのNPCは言うこと聞かないから訂正は難しいぞ」

「い、いいえ、訂正はいらないわ」


 何故か水の中でもべちょべちょにならないタコ焼きを受け取って、口に入れた。

 ちょっと口元が上がったのを見逃さない。


「でさ、ステータスの件だけど……」


 自分にも強化はできるから、MPにがっつり振って、他のステータスは強化で補うか、ファニーみたいに一時的にMPで他ステータスを上げる方法で、ある程度の戦闘をできる形にする。

 運動神経はいいみたいだから、攻撃力と素早さに多く振ったらいいと思うとかを言った。


「まあ、ただの慣れてるひとの一案だから、全然違うのにしてもいいんだけどね」

「とても良い案だと思うけれど」

「ありがとよ。あと、なんか得意な武器とかある?」

「槍術には多少覚えがあるわ」


 なんで剣道とか柔道とかじゃなくて槍に行ったんですかね。

 そういえば会長も、様々な武術が使えるけど、槍が一番得意だって言ってたっけ。

 見せてあげましょうかとか言われたけど、一瞬で断った。

 ちなみに次の集まりで、折り畳み式の槍を持ってきてもう一人の副会長と試合し、ボコボコにしていた。

 副会長を慰めてたら、何故かもう一度しようかしらとか言われてて、めちゃくちゃ可哀そうだった。


 気が付くと、もう辺りは暗くなっていた。

 明日までに書いて提出する手紙とかあるから、今日はここまで。

 親が海外にいる分、記入事項がクッソ多いんだよなぁ。

 素人目でも分かるくらい上手く槍を振るっていたラチックに、


「悪い、今日はちょっとやることがあるから、もう落ちなきゃいけない」

「そう……。今日はありがとう。フレンド登録だけしてくれない?」

「ああ」


 明日からは、ユ弐レイで活動するから、次に会うとしたらラチックがユ弐レイに来た時だ。

 今でもうちのパーティで介護しながらあの山に挑んだら突破できるだろうが、適正帯の狩場がないからやめておく。

 ナーフされたとはいえ、あれを突破するには2週間くらい必要だろう。

 指揮系だし、その頃には仲間ができているかもしれない。


「困ったことがあったらチャットくれよ」

「ええ。……もし、あなたと同じくらい強くなったら、パーティに入れてくれる?」

「歓迎するよ。でも、たった一日の関係に縛られなくていいからな」

「一日じゃないわ」


「正確には半日よ」とかいうのかなぁ、などと考えつつ、ログアウト処理を進めて、


「じゃあなーああああ!?」


 ログアウトボタンを押して、ポリゴンになりかけた瞬間に……頬にキスされた。

 その後、スッと離れて、笑顔で手を振っていた。

 出会って一日の人にキスするのか? そういうやつには見えなかったが……。

 まあ、ゲーム内だし、キャラ作りかもしれない。

 気になって、いつもの二倍書類に時間がかかった。


 危ない、カフェに行かせそうになった。


 ちゃんと副会長も槍の経験者です。

 そこそこ強いけど、相手が悪かった。


 解説


 【シャチ】


 能力:攻撃力と素早さを上げるバフが使える(防御は無理)

    味方に遠方から声を掛けられる


 シャチは頭が良く、社交的な生物で、同じ魚群の狩りが下手な個体のために、わざわざ弱らせた獲物で実践しつつ教えてあげることもある。

 コールという言葉のようなものを持ち、ある程度のコミュニケーションがとれる。

 これが能力の元ネタ。

 自然界に天敵はおらず、海洋系食物連鎖の頂点に立つとも言われるすごい生物。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ