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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第二章 クラン結成編
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楽しい山登り

 人の身長と同じくらいまで巨大化したアリが、少しゆるキャラ化されつつも、大量にいる。


「確かに二人では無理そう」

「でしょう!」

「私なら一人でいけそうだガ?」


 ……群れているということは、単体ではあんまり強くはないということだ。

 こいつの電域なら引き殺すことが可能だろう。


「いや、無理だ。イグノとの試合を見てたが、地中には攻撃できないんだろ?

蟻地獄アリジゴクが潜んでいる」


 ガンツが忌々し気に言った。あ、さっきやられたんですね。


「あと、フレンドリーファイアありだから、一瞬で俺が死ぬ」


 それは自分でなんとかしろ。

 でも、ずっといたら俺とファニーも普通に危ない。


「一人で行くなら蟻地獄に気を付けながら電域を張ればいけるけど、チームプレイがしたいなら、協調していくしかないぞ」

「それくらい分かってル」

「で、これ陣形どうする?」


 色々話した結果、俺とアンペルで道を切り開いて、ガンツとファニーが左右背後警戒兼、ファニーがガンツ介護。


「第二の町行くぞー」

「「「おー」」」


 最初は……アリ魚か。

 加速を使って、さっさと歯を砕いき、二発目で頭を破壊する。

 加速が終わる前にあと2匹ほど処理して……


「あとは任せた」

「〈600ボルト〉」


 アンペルの魔法が飛び、アリたちを倒して、俺は前衛として他のアリを食い止めておく。

 そして、加速のCTが終わったところで、次は4匹片づけた。

 こいつら、頭を思い切りむき出しにしてるから戦いやすいな。

 この陣形は後ろが弱いから、さっさと前に道を切り開かないとそのうち圧し潰されてしまう。


「ペース上げるぞ」

「分かっタ」


 まあ、俺は加速なければただの割と硬い魚だから、アンペルさんにしっかり頑張って貰わないと無理だ。


 アリの大群を抜けた次は……イモムシ魚。


「この辺りから蟻地獄でてくるから気を付けろよ」


 ガンツからの注意が飛んで来た。

 アリと同じようにイモムシも殴ってみたが……


「硬!」

 

 加速を一回使い切っても一匹のHPの半分くらいしか削れていない。

 だが……アンペルは問題なく討伐できてるようだ。

 ……巨大カエルと同じ、物理攻撃には強いけど魔法攻撃には弱いタイプだろう。


「ファニー、交代」

「OK」


 ファニーとアンペルの魔法コンビで道を開き、俺がガンツの護衛役。

 護衛役が必要って……お前は大統領か?

 変わった前衛二人は、上手く連携して敵を倒せているようで、アンペルの足元に蟻地獄が出現したが、すぐにファニーが対処した。

 後衛の方は処理能力が全然足りていないけど、ガンツの牽制で足止めをし、加速中に倒すというより投げ飛ばして、時間を稼ぐ。


「おあ!」


 ガンツが声を上げて……地面に蟻地獄。

 加速のCTが上がるまでに少し時間があったから、蟻地獄にガンツが何回か殺された。

 この蟻地獄、遠距離型を優先して攻撃するように設定されているらしい。


「あとストックいくつだ?」

「26だ」


 このペースならなんとかなる……か?

 あと火口まで半分くらいだ。

 アンペルが、イモムシに電撃を浴びせながら、振り返らずに言ってきた。


「ヤクザァ」

「イグノだっつってんだろ。なんだ?」


「……今、楽しイ」

「……そうか」


 今、多分こいつは笑ってる。





「えー、ディアちゃんってワトソン家の跡取りなの~?」

「本当?凄い!」

「ま、まあね」


 私は名家の跡取りで、対等に話せる人が少なかった。

 両親は、家のことは気にしないで生きていいと言われてるし、積極的に家を継ぎたそうにしている妹もいて、一般人になることもできる。

 けど、国内ではどうしても気を使われてしまって、本当に仲良くできる人がいない。


 中学生の時、VRMMOに出会った。

 ゲームの中では、現実の身分なんて関係ない。

 最初は初めての友達作りに手間取って、ソロでプレイしていたけれど、大会で上位に入ったら話しかけてくれる人が増えて、いつしか10人ほどのグループで遊ぶようになった。

 あの頃は、楽しかったなぁ。



 中二の春休み、メンバーの一人が切り出した。


「オフ会しない?」


 その子は丁度大学受験が終わった所で、ストレス発散に提案したようだ。

 他のメンバーも肯定的で、すぐに日時が決められた。

 でも、私が行ったら、ワトソン家だと言うことがバレてしまう。

 去年マスコミに捕まって写真が公開されており、よく雑誌を読むような人なら、普通に分かってしまう。

 私は、オフ会を断った。


 どうやら、私以外のメンバーは全員参加したみたいで、とても盛り上がったらしい。

 それから、みんなのログイン率がだんだんと減っていった。

 結構住居が近かったことも相まって、リアルで会って遊ぶことが増えた。


 何か月か経って……私は耐えられなくなり、ついにオフ会に参加することにした。

 マスコミに捕まってから大分経っていたし、大胆に容姿を変えれば分からないと、淡い希望を抱いたけど、


「……もしかして、ディア・ワトソンさん?」

「え……?」


 一瞬でバレた。


 それからはもうログインするのもやめた。

 国内に私と仲良くなれる人はいないのかもしれない。

 その時、一つのアイディアが頭に浮かんだ。


 なら、海外ならいいんじゃない?


 けど、うちの国は独自の言語を採用していたため、道は険しかった。

 初めに、習得する言語を決める。

 ゲームの中なら友達が作れたんだ。ゲームの本場である日本語にしよう。

 必死に勉強して、半年で日本語をマスターした。


 すぐに日本に直行し、最新のVRMMOを購入。流石本場というクオリティだ。

 前は、大会で好成績を残したお陰で友達ができた。

 幸い、私の能力はチートとも言えるものだったし、最初の大会でも順調に相手を倒して、最終盤。


 一人の男が仕掛けてきた。

 電域を突破されること自体はそこまで珍しくもない。

 そうゆう相手は素早さが低いから、単体攻撃の電撃で倒してきたけど、そいつは中々倒れなかった。


「おこちゃまはもう寝てろパンチ!」


 思いっきり煽られた。先に煽ったのはこっちだけど、身長のことはタブーだ!

 本気で殺しにかかるが……結局負けてしまった。


 結果は一位だったけれど、釈然としない。

 だから、丁度同じ表彰台にいたその男に宣戦布告したら、また煽られた。

 けど……何故か少し楽しかった。


 そこで、運営を買収して、実家の力を借り、まだ決めていなかった学校をあいつと同じ所にした。

 上手く話せなかったが、同じパーティの女の子(身長は負けてる)がなんとか話を通してくれた。


 久しぶりのパーティプレイだったけど……やっぱり楽しい。


 蟻地獄


 本来は地面にくぼみを作って、迷い込んだ生物に土を当てて引きずり込む。

 クワガタみたいな顎を持っている。

 ……語彙力が足りないから気になる人はググってくれ。


 高さ制限は4メートルくらいだけど、上の方を泳いでいても蟻地獄は体を伸ばして食らいついてくる。

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