プロローグ
「……以上の理由から、DAOは、サービスを終了いたします。詳細は、公式ホームページからご確認ください。今までありがとうございました」
テレビの中でVRMMO、Duel Adventure Online……略してDAOの運営が深く頭を下げた。
「ふざけんな!」
俺、辰海悠馬は、手に持っていたテレビのリモコンを投げつけた。
苛立ちが残っていたので、ソファを殴って落ち着かせる。
俺は、たった今サービス終了が宣言された、DAOのヘビーユーザーだ。
ランキング上位にずっといて、次の大会は一位になってやろうと、高校のテストそっちのけで練習していたのに、ゲームごと消えやがった。
「クソ、何がコンプライアンスだ、配慮が足りていないだ。過剰反応なんだよ!」
確かにちょっとグロいシーンもあったが、対象年齢ちょっと高くしたら終わりだろ。
特にあの会社は、ネズミの心臓でも使ってんのかってくらいビビりなんだから、すぐに世論に流されてしまう。
ネットでは俺と同じヘビーユーザーどもが暴れてるのに。
俺も暴れようとパソコンに向き合った時、一通の電話が掛かってきた。
幼馴染の水野東間からだ。
俺と同じくらいのヘビーユーザーなので、愚痴大会でもやるのだと思い、電話に出る。
「聞いたか!?サービス終了だって」
「ああ、リアルタイムで見た。俺のテストを返して欲しい」
「それはお前が悪い」
「生徒会長にめちゃくちゃ怒られたのに」
「赤点5つも取ればそりゃな」
その後も愚痴大会(ほぼ一方通行)が続き、やっと落ち着いたところで、東間が切り出してきた。
「なあ、春休みの予定ってあるか?」
「さっき全部なくなった。強いて言うならテストの復習くらい」
「それなら、UAOってのやってみてくれない?」
UAO、確か明後日発売する、最新VRMMOゲームだ。
事前情報で結構盛り上がっていた記憶がある。
東間は実家に帰省していてプレイできないから、俺に調査して欲しいとか。
「なんだよ調査って」
「統華がやりたいって言ってるんだ。事前調査もしてないのにさせられない。
でも、一緒に最初からプレイしたい」
「了解」
統華は、東間の妹で、まだ中二だけどしっかりした子だ。
最近は疎遠になっていたけれど、以前はよく三人で遊んでいた。
確かにこういうの好きそう。
ちなみに東間は、がっしりとした体格に見合わずシスコンで、よく統華にドン引きされてる。
「……どこかで統華が呼んでいる。切るぞ」
「ああ。多分呼んでないぞ」
生き物の生態などの情報が間違っていた場合は教えてください。
あと好きな魚とか教えて。