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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第二章 クラン結成編
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会長様には逆らえない

第二現実回

「はぁ」


 イベントから3日後、思わず溜息が出た。

 理由は簡単、春休みが終わったからだ。

 実際は始業式まであと一日あるのだが、生徒会のせいで入学式から登校しなければならない。

 しかも、生徒会長だけで良いって言われてるのに、謎の圧で俺まで行くことになった。

 まあ午前中だけだし、帰ってからやったらいいか。

 昨日の夜アップデートがきたらしいけど、帰ってからやるしかねぇや。


 憂鬱な気持ちで、歩いて学校へ向かう。

 見渡すと、そこら中に友達とはしゃぎながら登校する新入生たちがいる。

 俺だって、いつもなら東間と一緒だし。あいつよく遅れて来るけど。


 ……あれ、新入生と同時に登校?

 背筋に悪寒が走った。会長からのメールを確認すると……


「殺される!」


 もう数分集合時間を過ぎていた。

 10分前がデフォルトの人に遅刻は不味い。

 いや、落ち着け、冷静に最短ルートを導き出せ。

 今から全力で走るよりも、家に戻って自転車で行った方が速い。

 すぐに家から自転車を持ち出して、全力で漕ぐ。


 いつもは歩いて行く距離だけあって、自転車ならすぐに着いた。

 控室に入るなり、頭を下げる。


「すみません、遅れました」


 ……あれ、いつもなら頭に踵落としが入るところなのに、いつまで経っても衝撃が来ない。

 恐る恐る顔を上げると……涙目!?


「ど、どうしたんですか?いつもなら踵落としなのに」

「いえ、あなたは遅刻なんてしたことなかったから、今日は来ないのかと……」


 いや、生徒会以外だとたまにやってますよ。


「き、来ましたから、いつもの会長に戻って下さい」

「そうね……では、頭を下げなさい」

「……やっぱり戻らなくてもいいですよ(ペコリ)」


 ドン


 綺麗な踵落としが俺の後頭部にヒットした。

 っつー-----。やっぱ会長はそうじゃないと(泣)。


「で、今日は何しに呼ばれたんですか?」


 後頭部をさすりながら会長に質問した。

 来いとは言われたけど、要件は聞いていない。


「……片付けを手伝って貰うため」

「一刻も早く体育館を使いたい運動部の連中がいるでしょ」

「人手が多いに越したことはないのよ」

「俺一人追加してもほぼ変わらないだろ」

「……いえ、指示を出して貰おうと思ったのよ」


 そういうことか。

 確かにあんまり親しくない人に重役を押し付けるのは気が引けるよな。

 そこで身内の俺に白羽の矢が立ったと。いや、貫かれてるかもしれない。


「分かりました。どの辺り受け持てばいいですか?」

「え、ええ。体育倉庫をお願い。多分混むから、私だと声が通るか不安なの」

「それは心配ないと思いますよ」


 会長の声は透き通ってるから、混雑中でもよく聞こえる。

 まあ、ゲームプレイヤーは台パンで大声を出すことがままあるから、なんとかなるだろ。


「じゃあ、備品リストでも貰ってきますねー」


 この手の作業も何回かやったので、特に手間取ることは……

 会長が、俺の制服の裾を掴んでいる。


「なんですか?」

「見ていてくれない? 私の最後の講演」


 ……その上目遣いは反則だろ。

 そういえば、生徒会になり立てのころは、たまにみんなの前で話す仕事を押し付けられたっけ。

 あんまり得意ではないのかもしれない。


「分かりました」

「……ありがとう」

「越湖さん、スタンバイお願い」


 生徒会担当の原田先生が会長を呼びに来た。

 彼女は、スッと立ち上がって、


「見ていてね、私のラストステージ」

「お前はアイドルか?」


 クスっと笑い、小走りで舞台袖へ行った。

 俺も舞台袖で応援しておきますかね。一番近いし。



 舞台に近づくと、校長の声が聞こえてきた。

 相変わらず、無駄で意味のない長話を繰り広げている。

 あれ?もう終わった。


「あれ、なんか校長の話短くない?」

「3日前に、突然海外の名家から入学申請が来て、残業で元気がないから早めに終わらせるらしいわ」


 ナイス海外の人。


「それっていいの?」

「政府からの圧力」

「さいですか」


 所詮うちはただの公立高校だから、国からの圧力には無力だ。

 にしても、政府を動かす名家って、気になるなぁ。



『次は、生徒会会長からの祝辞です』


 進行役の先生が、アナウンスを終えた。


「自信持って行けよ。お前が考えた台本は完璧なんだから」

「二人で、でしょう?」


 舞台袖から、平然と歩いて舞台の真ん中まで行った。

 新入生の一部(主に男子)から、感嘆の声が聞こえてくる。

 壇上で台本を開くが、


「桜の花が咲き始め、温かい日差しが降り注ぐようになりました。

新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます……」


 台本に目を向けていない。完全に覚えてるよ。

 緊張はしているようだが、ほとんど見せていない。

 涼しい顔で、カッコよく祝辞を述べていく。

 また、内容も簡潔かつ新鮮なもので、新入生たちが聞き入っているのが目に見える。


「……以上をもって、歓迎の言葉とします。在校生代表、越湖シャロ」


 完璧じゃん。

 校長の倍くらいの、大きな拍手が巻き起こった。

 戻って来た会長にハイタッチをして、舞台袖を去る……前に、名家の人を見てみたい。

 お、最前列に金髪が……

 俺は、目を擦った。あれ、まだ幻覚は治らない。


「会長、俺の頬っぺたつねってみて」

「え?そ、そんな……」

「いいから」

「えい!」


 痛い痛い痛い。つ、痛覚があるということは、夢でもない。

 でも、俺がこんなに動転するのも無理はないと思う。

 何故なら、最前列に……【電気ウナギ】アンペルが居た。


 この物語はフィクションです。日本政府がそんなことする訳ないじゃん(真顔)


 ちなみにシャロちゃんはスパッツを履いていて見えませんでした。

 ……なんで恋愛経験ゼロの作者が恋愛のプロのアドバイスを書けると思ったんですかね。

 原田先生どうやって動かせばええんや……。

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