表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第一章 始まり
12/110

決着 カエル

 ファニーはGと同じくらいカエルが嫌いだ。

 ちなみに理由は、昔東間がふざけて服の中にカエルを入れたから。

 一週間口を聞いてくれないどころか、親が海外出張に行っている俺の家に泊りに来た。


「カエルだけは無理!」

「とりあえず俺とガンツだけでやってみるから」

「任せとけ!」


 あれ、カエルがいない……上か!


「退避、退避ー」


 上からカエルが降って来た。

 俺たちは散開して、圧し潰されないようにする。

 水流でガンツが一回死ぬが、まだ20回はいける。

 死んで少し逃げ遅れているガンツのために、さっさと一回目の加速をして、カエルの腹を殴った。


 ついでにメリケンサックに魔力を入れてトゲを出し、いつも通りのラッシュ。

 だが……感触が鈍い。

 加速が終わって、HPを見てみるが……1割も減っていなかった。

 ガンツの矢も、粘液で邪魔されて全然効いていない。


 そして、相手の張り手。

 耐久型の攻撃力はないパターンかとも思ったが、十分速い速度で、軽くのけぞった。


「ごめんファニー、やっぱお前いないとダメだ」

「キャー! なにも聞こえない!」


 いや、これマジで必要なんだって。

 物理攻撃が効かない以上、魔法で攻めたいけど、俺もガンツも魔法スキルをロクに覚えていない。

 その間に、カエルが口を開いて、舌が伸びてきた。


「ッ!」


 俺の腹に思いっきり入った。

 素早さを高くしていなかった弊害がでている。


「イグノ、これ使え!」


 ガンツと同じくらいの位置まで吹っ飛ばされた俺に、火を付けた爆弾を投げてきた。

 それを受け取って、加速を使いながらカエルの口内に投げ込む。

 これが効かなかったらマジでお手上げになる訳だが……。


ドン!


 一瞬カエルの腹が膨れ上がったが……HPはあんまり減っていない。

 完全に腹が吹っ飛ぶまで爆弾を投げ込めばいけるかもしれないが、ガンツ曰く、まだそんなに持っていない。

 マジで魔法が無きゃ勝てない。


「ガンツ、援護はいいからファニーを説得してくれ!」

「いや……ここは俺が時間を稼ぐ、イグノが説得してくれ」


 お前、兄としてそれでいいのか?

 そう思ったのを見抜くように、


「あ、兄だから言えないこともあるんだよ」

「時間稼ぎがあるんだから死ぬな!」


 ガンツが文字通り命を削りながらカエルを止めてくれている中、俺は、体育座りで洞窟の壁面を見つめているファニーに近寄った。


「頼む、一緒に戦ってくれ」

「やだ、無理!」


 一瞬振り返ってカエルの方を向いたが、すぐに視線をはずした。

 ……仕方ない、方針を変えよう。


「じゃあ、俺たちが死んだ後に、一人で戦うのか?」

「え?」

「そりゃ逃げれないし、戦うしかないだろ。このままだと無抵抗でペロリだ」


 ファニーの全身が震えあがった。

 自分の嫌いな生き物に食べられるなんて嫌だろうな〜。

 実は緊急自殺ボタンというものがあるのだけれど、この焦っている状態で思い浮かばないことを祈って、存在を伏せる。


「今なら俺と頼れるお兄ちゃんがいるぞ」

「兄ちゃんは頼れない」


 流石に可哀そうだろ。

 聞こえていなくてよかった。聞かれてたら絶対1ストックなくなってるよ。

 ま、まあ中二だし反抗期だから。

 しょうがないからお兄ちゃんを省いて、


「俺がいる」


 一気に顔が真っ赤になった。

 そして、震えながらも立ち上がり、


「一つ、お願い」

「何だ?」

「手を、繋いどいて」

「了解」


 差し出してきた左手と、俺の右手で繋いだ。


「行くよ!」

「ああ!」


 震えが止まったファニーのMPがどんどん減っていき、ステータスが引き上がった。

 凄いスピードで泳ぎ出し、まずはガンツを蹴っ飛ばして……


「何やってんの?」


 攻撃対象がカエルじゃなくて、ガンツになってた。

 なんかもう踏んだり蹴ったりだな。


「あれが最小限の消費で戦線離脱させる方法」


 表情一つ変えずに言ってきた。

 確かに、命一つで反対側の壁面まで吹っ飛んでる。

 あとでガンツに聞いたところ、ラストだったらしい。本当にギリギリだった。


「物理攻撃はあんまり効かないぞ」

「知ってる。〈ポイズンソード〉」


 手を繋いでいない右手に、紫の剣が生えてきた。

 カエルが手で圧し潰そうとしたが……そこにはもう誰もいなかった。

 魔力強化したファニーは、もう懐に潜り込んでいて、腹を毒の剣で切り裂いた。

 一気にカエルのHPが消し飛んでいく。ついでに毒の継続ダメージもついたようだ。

 慌ててカエルは後ろに飛び退いた。

 HPはすでに5割を切っている。


「加速ちょうだい!」

「防御高くしておけよ!」


 スピードと防御に差があり過ぎると、肉体が壊れてしまうから、忠告しておいた。

 まあ、昔から統華は器用だったから、あんまり心配していない。

 飛び退いて距離をとったカエルに対して、加速を使って一瞬で詰め寄る。

 背中をとって、ファニーが切り裂いた。

 HPはあと2割程度になり……攻撃パターンが変わった。

 こちらを向いて、全力で飛び……頭突き!


「危ない!」


 かなりのスピードで突っ込んできたカエルに対処しきれず、俺がファニーを庇ってライフで受ける。

 ファニーも防御力を高めることはできるが、HPの都合上、俺の方が総合耐久は高い。

 天上まで吹っ飛ばされて、俺のHPバーが真っ赤(危険な証)になった。

 もちろん、一緒にファニーも吹っ飛ばされている。

 そして、涙声で、


「イグノ……私の為に」

「バカ、みんなの為だよ。ほら、行って来い」


 俺は、ファニーの手を離して、背中を押した。

 彼女は力強く頷いて、下のカエルに向かって泳ぐ。


「〈トラッシュジェイド〉」


 右手に濃い紫の塊ができて……消えた。

 ここにきて魔力切れか。

 数十秒とはいえ、ほとんどないステータスを俺と同じくらいまで引き上げたのだから、無理もない。

 カエルが口を開いて飛んだ。このままじゃ飲み込まれる。


 その時、一本の矢がファニーの胸を貫いた。

 【ベニクラゲ】のスキルで魔力全開で生き返る。

 そして、もう一度濃い紫の塊を作り出し、


「おりゃああああああああ」


 カエルの口の中に放りこんだ。


「GEKO……」


 カエルのHPが急速に減っていき……力尽きた。


「やったー!」

「お疲れー」


 天井から降りて、嬉しそうに飛び跳ねているファニーに……抱きつかれた。


「頑張ったよ」

「えらいえらい」


 近づいてきたガンツが死にそうなのをなんとか止めて、


「お、俺も頑張ったろ?最後の矢とか」

「胸に射るとかキモイ」


 チーン

 どこまでも可哀そうなやつ。


「まあでも……ありがとね」

「う、わーーーーーーーん」


 ガチ泣きすんな。

 いい感じに飴とムチであしらわれてるね。

 その時、最奥への扉が開いた。


「行こうぜ、目的の景色を見に」

「うん」



 神秘的な光景だった。

 天井に穴が空き、太陽光が洞窟内を鮮やかな青色に照らしている。

 シンプルだが、それだけに美しい。

 他の二人も見とれているようだ。


「綺麗だね」

「ああ」

「そうだな」


 よく調べると、カメラが置いてあった。

 スクショは出来るが、反転はできないから、友達との写真に使うのだろう。


「撮ろう撮ろう!」

「おう」

「兄貴カメラ役ね」

「え?」

「冗談だよ。三人で撮ろう」


 カメラと接続し、いい感じのアングルにもっていく。

 三人で太陽光の中に入って、身を寄せ合い、


 カシャ


 うん、みんないい笑顔。

 ちょっとガンツだけ離れてる気もするけど、気のせいだろ。


 使魔法の属性は、生き物のイメージと作者の偏見で決めます。

 クラゲは毒持ってそうだから、ベニクラゲ自身は持ってないけど毒。


 ちょっと毒が多くなりそうで心配



 モンスターは泳げない生物を強引に魚にしたやつにして、泳げる生物はスキルにするつもりだけど、

カエルだけは某アカデミアの女生徒の能力をパクった感じになるから、今回敵で登場。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ