……俺たちらしいラスト
さて、突然だが、読者の諸君に正しい土下座のやりかたを教えよう。
まずは、綺麗に正座します。
足を折り畳み、膝を地につけ、間は拳一つ分くらい空けておきましょう。
手は膝の上に置き、グーかパーにしておきましょう。
そして、背筋をピンと伸ばし、謝罪相手を真っ直ぐと真摯な目で見つめます。
表情は、出来るだけ「反省しています」という感じにするのがポイントです。それが出来ないなら、無表情にしておきましょう。
次に、息を大きく吸い込んで、手を膝の前の地面につけ、スムーズに手早く頭を下げます。
そして、大きな声で叫びましょう。
「すみませんでしたあああああああ!」
《海馬組》のみんなに、全身全霊全力の土下座を捧げた。
勿論、勝手にクラン資金の100万を使い込んだ件である。
うちのクランでは、イベントの賞金の扱いが難しく、どうせ無くならないという理由から、ほぼ自由に使えるのだが……一気に100万はヤバいわ。
UAOでは武器や防具を買う必要がほとんどないから、割と金が余る。
とにかく、頭を下げ続けていると……誰かに後頭部を踏まれた。
「やり過ぎですよ」
「いえ、余りにも綺麗な土下座だったから。こちらも踏んであげなければ無作法でしょう?」
うん、大体分かってたけど、この声はラチックだね。
「別に、使うこと自体はいいのよ?でも……絶対に100万も必要なかったわよね?」
「10万くらいで十分だったぜ」
「いや、殺り切れなかったら最悪だし……。何より、最終決戦で10万ってアレじゃん、カッコつかな痛い痛い痛い!」
「理由が酷すぎル……」
「どこかで90万くらい稼いで来なさい」
「はい……」
こうして、イグノクラン資金使い込み事件(二回目)の裁判は終わった。
とにかく、俺たちSeaは、勝ったのだ。
これで、何時までも空を飛ぶことができる。
翼を持って、空に飛び立つことは、自由になることを意味する。
とても厳しい戦いだったが、俺たちは諦めず、力を合わせて自由を勝ち取った。
「……いや、無理やり感動的な方向に持って行くな」
「バッカ、黙っとけガンツ。オチが見つからねえんだよ」
このままだと、ガンツの爆弾を全て爆発させて「爆発オチなんてサイテー」にするか、もうこのまま「俺たちの戦いは終わらない」にするか……。
その時、ニュースを見ていたマドカが駆け寄って来た
「大変っす!イグノさん、これ見て下さい!」
「どうした?」
中学生でニュースなんて偉いなーと思いつつ、その内容を見てみると……衝撃の内容があった。
9月のアップデート
二つ目の【生物スキル】実装。
Seaバージョンだと飛行動物のスキル、Skyバージョンだと水中動物のスキルが貰えます。
「……つまり?」
「9月になったら、どうせ鳥のスキルで飛べるようになります」
現在、8月20日。
9月1日まであと11日。
なんなら、ほぼ全く進んでいない夏休みの宿題と、生徒会最後の仕事のせいで、その間もどれくらいログインできるか分からない。
「……俺たち何のために戦ったの?」
「……ほら、魚のまま空を飛べるし」
「良かったな、自由の翼を得られたぞ」
……俺たちの物語は終わらない
……俺たちの物語は終わらない
最後までご愛読いただき、ありがとうございました。
ちなみに、考えたスキルの数は、SeaとSky、使わなかったのも合わせて、150個程……機会があったら、この記録に挑戦してみてね。
絶対にこんな形式でスキルを考えない方が楽だよ。
あと、Universal Sky and Sea Onlineの元ネタは、デュエマの「ユニバ―サル・鮫・アンド・シー」というカードです。
初期ではUSOのつもりだったけど、いつの間にかずっとUAOって書いてたから、もういっかってなった。
来週くらいから、新シリーズを掲載します。
VRMMOではなく、ファンタジー系の重めな感じになると思いますが、気が向いたら見に来てあげて下さい。
では、機会があれば【纏神 神が降りてきた世界(仮)】で会いましょう。