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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第一章 始まり
11/110

カエルだけに帰る!

「ダンジョン行きたい!」


 ある日、ログインした瞬間にファニーが何か言い出した。

 唐突な言葉に東間が解説をつけた。


「ダンジョンの最奥に綺麗な景色があるらしい。もとからそういうのを見るためにこのゲームをやったから」


 まあ、そういうことだろうね。

 昔はよく一緒に綺麗な山とか回ったなぁ。


「よし、行こう」

「やったあ!大好き!」


 おい、腕に抱きつくな。東間が凄い目で見ている。

 おい、弓を引くな、爆弾に火ぃつけんな。あ、死んだ。

 低いステータスをMPで補ってまで張り付いてくるファニーを振り払って、マップでダンジョンの位置を調べた。


「レッツゴー!」

「あ、わたしほぼ魔力ブッパだから、背負って行ってー」

「お、俺が」

「兄貴は黙ってて」


 ……あんまりガンツのストックを削らないでくれ。

 こうなった統華、もといファニーは梃子でも動かない。

 しょうがないからおぶっていった。ガンツが三回くらい死んだ。





 ダンジョン洞窟に着いた。

 ここの最奥に花畑的な絶景があるらしい。


「基本は俺が前張って、ガンツが狙撃、魔力使うファニーは温存で」

「「は~い」」


 クマ魚の洞窟よりかなり広い洞窟に、三人で入っていく。

 最初のエンカウントは……クマ魚だった。

 初手からこれかよ、難易度高くね?


 レベルが上がった俺なら単独撃破もできるが、相性によっては廃人でもやられるくらいの強キャラ。

 今回は噛みつきから入って来たが、まわりこんで一回目の加速で、やっぱり六割の体力を奪った。

 そこに飛ぶガンツの矢。

 最初は思いっ切り刺さらせて痛みを刷り込み、あとは動きを抑制するようにばら撒いていく。

 システムの補助があるとはいえ、結構上手いな。

 ああ、お別れの時間が来たようだ。


「よかったらヒレをドロップしていってね!」


 そう言って……二回目の加速。

 残り三割になったクマ魚のHPを完全に削りきった。

 うん、ガンツとなら簡単討伐できそうだ。

 俺とガンツは、無言でハイタッチして……ほっぺを膨らませていたファニーともしてあげた(その時ガンツは以下略)。

 ちなみにドロップ品はなかった。



「あ、宝箱がある!」

「え~、何が入ってるかなぁ?」

「……ミミックじゃないよな?」


 無理もない、終盤のDAOの宝箱はミミックが九割を超えていたからな。

 しかもこのミミックが中々強い。

『宝箱は全部ミミックだと思え』はDAO廃人の共通認識。

 その上、ミミックガチャが成功しても、手に入るのは大して強くない装備ばかりなので、マジで誰も開けようとしなかった。


「流石にこんな序盤でそんなことしないさ。DAOだって最初はミミックなんているとも思わなかっただろ?」

「そ、そうだな」

「フラグじゃないよね?」


 念のため、加速をつけて俺が殴るが、何も反応はなかった。


「い、一応俺は構えておこう。ファニーも魔法の準備をしておいてくれ」

「兄貴……ダサ」


 どうせガンツは死んでると思うが、無視して宝箱を開けた。

 入っていたのは、一つのネックレス。

 どうやら、継続的にMPを回復できる装備らしい。


「ファニー、これいる?」

「いいの?」

「うちのメンツでMP使うのお前くらいだろ」


 ファニーが、顔を赤くしながら近づいて来て、


「か、かけて」

「俺が……」

「(ギロ!)」

「……(死)」


 本当に死に過ぎだから君。

 面倒なのが復活する前に、さっさとファニーの首にネックレスをかけてやった。


「似合うな」

「あ、ありがとう」

「似合ってるぞ~」

「(ギロ!)」

「……(死)」


 もういいから。

 絶対ファニーがガンツ殺害ランキング一位だよ。



 あれから、モンスターに絡まれたり、他のプレイヤーとすれ違ったりもしたが、順調にダンジョンを進んだ。

 そろそろボス戦だ。


「ガンツ、命のストックは?」

「20ちょいだな。お前は体力あるのか?」

「8割ある……今6割になった」


 油断していて止まった判定を受けてしまった。

 こ、これくらいハンデでくれてやる(震え声)。

 ファニーはまだ一回も死んでなかったはずだし、準備万端といっても差し支えないだろう。


「行くぞー!」

「「おー」」

「ラストヒットした人にドロップアイテムね」

「どうせ相性がいい人に渡すことになるだろ」

「盛り下がることいわないの!」


 そんなことを話しながら、ボス部屋に入る。


 すると、入口は塞がれ、部屋の真ん中に魔法陣がでてきて……巨大カエルが出てきた。

 やばい……危惧していた通り、ファニーが泣き出した。


「やだ! 私帰る!」

「カエルだけに?」

「死ね」

「……(死)」




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