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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
最終章 海空決戦
109/110

大決戦 イグノとシロン

 イグノVSシロンの一騎打ち。


 デュオ大会で一度戦ったが、あの時は引き分けだった。

 見えない力を操って、イグノとよりほんのり遅いくらいのスピードで移動し、見えない力で高火力攻撃、即死攻撃を繰り出すヤバい奴。

 さらに、硬い鎧である程度の防御力もあり、力、防、速の全てが揃っているチートちゃん。

 ……ホント、バカみたいな性能してるわ。



「〈ゴーストジェット〉〈爆霊覇〉」

「〈木刀打樸〉」


 俺とシロンは正面からぶつかり、攻撃の手を木刀で押さえつけた。

 シロンの手からは、大きな謎の透明エネルギーが放出されていて、直接触れられるとヤバそうだ。

 そして、打撲の衝撃が鎧を伝わり、シロンに少しダメージが入る。

 これを繰り返せば……削りきれるはず。


 追撃を振り切って躱し、相手の強化領域に気を付けながら振り返った。

 シロンも、もう追いつくのは諦めているらしく、次の接敵をおとなしく待っている。


「行くぞ!」

「〈ゴーストジェット〉」


 また二人は正面から激突し……


「〈木刀打樸〉」

「〈霊爪〉」


スパ


 細長い物に触れた木刀が、一瞬で輪切りになった。

 ……いや、もうちょい耐えてくれよ。

 ついでに、木刀が貫通したせいで、額に浅い傷が付く。

 もう少し近かったら、脳が切り裂かれて、即死していた。


「〈霊爪〉」

「ッツ!」


 さらに、左手で二の太刀が振られる。

 いつも通り抜けても、躱しきるのは難しそうなので、残った木刀の柄を顔に投げつけて防いだ。

 そのまま通り抜けて、一旦危機を脱する。


 ……一発で折れるなら、木刀も有効な手段ではないか。

 一応、まだ使うかもしれないので、新しい木刀を取り出して、スーツのベルトに差しておく。


「ここからは……素手だ(メリケンあり)」


 何となく、腕を鳴らした。

 さっきから、接触の時に減速していたので、そこそこ熱は溜まっている。

 ……腕を鳴らした時に、左手を軽く火傷(やけど)したのはナイショ。 


 そして、今日三度目の衝突。

 今回は、シロンの弱点を狙う。

 前々回、地味にアンペルがシロンの鎧の一部をレールガンで破壊し……脇腹の装甲は無くなっている。

 そこを突けば、一気にダメージを与えられるハズ。


「〈霊爪〉」

「〈紅蓮拳〉」


 見えない細長刃物を、熱を全て使い切ってでも破壊し、懐の中に潜り込む。

 そして、目当ての脇腹に、手刀を入れ込んだが……


「〈霊鎧〉」

「は?」


 見えない壁に止められた。

 そういう使い方もあるのか。

 そして……弱点を突くのに集中し過ぎて、隙が出来てしまう。


「〈凱正拳〉!」

「グハッ!」


 背中を思い切り殴られ、下に吹っ飛ばされた。

 とりあえず、いつもの如く逃げて距離を取る。


 左上に視線を移し、自分のHPを見たが、まだ7割近く残っている。

 防御にリソースを吐いていたから、そこまで攻撃力は無かったのかな?

 ……脇腹を狙うのは、結構なリスクがある。

 弱点のことは、もう忘れた方がいいかもしれない。


「となると……やっぱり、熱い一撃で鎧を貫くしかないか。〈溜摩熱〉」


 シロンと距離を取って、右手のメリケンサックに摩擦熱を溜め込む。

 どうせ近づいたら逃げられるということが分かっているのか、シロンが追ってくることは無かった。

 ……っていうか、ガン逃げからのチャージって、かなりの陰湿戦法だな。

 まあ……今回は負けられないから、仕方ない。

 勝利の為なら、幾ら陰キャと罵られようと構わない。


「ヒート・オーバーチャージ」

「来なさい!」


 四度目の交差。

 俺は、また真正面から向かっていき……シロンは、動かない。

 いつもなら、あっちも向かってくるが、今回は止まっている。

 何か仕込みがあると見るのが妥当だが……見てから回避するしかないな。


「〈紅蓮拳〉」

「〈ゴーストジェット〉」


 俺が横、シロンが縦の垂直に交わり、俺が熱の全てを使って拳を突き出した瞬間。

 ドッチボールで、回転してボールを避ける的な動きで、シロンが回転した。

 こちらの方が少し速く、鎧に(へこ)みができるが、本体には当たらず、ダメージは入らない。

 そして、そのままの回転で掌拳を突き出し、


「〈爆霊覇〉」

「痛!」


 透明エネルギーを俺の中に流し込んだ。

 一気にエグいダメージが入り、HPバーが短くなっていく。

 あっという間に、残り3割弱になった、

 ……熱も溜まっていないし、ここは逃げの一手。



 もう一度熱を集めつつ、前回の接触について考える。

 シロンの回転は反時計回りだったので、右側に向けて打たれた拳しか避けられない。

 ……俺の、何もなければ真正面に拳を打つ癖が、読まれていたのか。


 ゴミみたいな癖のせいで、一気に不利になったぞ。

 このHPだと、もうまともに打ち合えないぞ。

 たまにやる腕捨て戦法もHPは4割必要で……選択肢が限られてる。

 次に削られたら……それはもう負けだ。


「……アレやるか」

 

 リスクが高い作戦だが、それしかない。

 熱を溜め切ったのを確認し、ベルトの木刀に手をかける。


 そして……最後の交錯。

 柄が焦げている木刀をまた投げたが、一瞬で切り裂かれた。


「〈霊爪〉」


 ここまでは想定内……というより、誘導した結果。

 そのまま、見えない鋭い物が振るわれるが、それが一撃で砕けることは分かっている。


「〈紅蓮拳〉」


 熱を解放して、正確に見えない物を破壊した。

 そして、『今回はこれで終わり』とでも言うように、いつも通り通り抜けた。

 そう、いつも通り。


「解除〈溜摩熱〉」


 俺は【終焉まで続く加速】を解除し、さらに鱗器でブレーキを掛け、すぐに止まった。

 今、シロンは俺が逃げていると思い、気を抜いて……反応が遅れている。

 そこに、通常の加速をして、背後から襲い掛かった。


「〈紅蓮拳〉!」

「うわ!」


 ついでに溜まった熱を利用し、装甲が薄くなっていそうな関節部、肩口に手刀を叩き込んだ。

 少し熱量が不安だったが、弱点を狙ったこともあり、なんとか装甲の破壊に成功する。


「ッツ、〈ゴーストジェット〉」

「逃がさん!【リーフィーシードラゴン】〈草縛り〉」


 加速して逃げられそうになったが、直ぐにスキルを切り替えて、草で俺とシロンをガチガチに固めた。

 これで逃げられないし……背後を取れているので、シロンから俺は見えない。


「〈木錬成〉木刀!」

「〈霊鎧〉」


 木刀を作り出し、装甲が無い肩口と脇腹を狙ったが、見えない壁に防がれた。

 何の為に紅蓮拳で脇腹を狙わなかったと思っているのか。

 防がれた時のリスクが大きいのと、この見えない壁を分散させるためだ。


「オラオラ!〈木刀打樸〉」

「うー〈霊界の招き手〉」


この時、世界が分かれた


 ……嫌なワードが聞こえてきた。

 何の感触も無いが、体の節々に悪寒が走り、俺の素晴らしい勘が警鐘を鳴らしている。

 ……長くやってるとヤバい。

 この、【リーフィーシードラゴン】が出せる最高火力といえば……。


「……〈禁木〉100万〈木錬成〉木刀」


 金を消費し、金色に輝く、高攻撃力の木刀を作り出した。


「これで……終わりだ!」


 背後から金色の木刀を振り降ろし、鎧を貫いてシロンを倒した。

 ……どうも、最終決戦だけ金の力で勝つ系主人公。

 最終決戦だけ金の力で勝つ系主人公。

 こうなるのは、大体決まってた。


 次回、最終回。


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