決戦①
《海馬組》VS 《チーム・スカイマウス》(相手の大将クラン)
こちらは海底スタートで、見下ろされている状態。
「突っ込まないでよ?イグノが死んだら負けなんだから」
「分かってるよ」
「うんうん。ダーリン無しで、私たちだけで勝てばいいんだから」
とりあえず、やられる訳には行かないので俺は待機。
できれば指示を出したいのだが……よく考えてみたら、必殺技のクラン戦なんてやったことないから、定石が分かんねえや。
「とりあえず、Rexとマドカは必殺技。ラチックは強化を頼む」
「ああ!【顕現・イクチ】」
「【顕現・ヒュドラ】」
「〈殺戮魚の声〉」
左翼に長いヘビの様な妖怪、イクチと、右翼に九つの首を持つ怪物、ヒュドラが現れた。
イクチの油を先に撒いておきたいので、ダミー用にヒュドラも早めに変身させた感じだ。
「【地球侵略軍 侵略開始】」
「【SPACE STATION】」
すると……相手にも大型系がいたのか、光って大きくなり……UFOと宇宙ステーションが現れた。
「え、【UFO】なんてスキルあんの?」
「さあ?UFOに近い生き物がいるんじゃないですか?」
「……【宇宙ステーション】は?」
「運営のネタ切れでしょ」
……とにかく、等身大で倒そうとしたら面倒そうなサイズなので、ギコーに頑張って欲しいな。
普通ならアンペルも大型キラーとして働けるけど、あの急所が分からない無機物だと難しいだろう。
ついでに、どこからか音楽が聞こえてきた。
音源は、相手の一人の男で、周りには多くの楽器が浮いている。
そして、彼はUFOに吸い込まれていった。
多分、強化系の能力だろう。
「ギコー、狙うときはUFO優先で」
「分かったぜ」
「次、遠距離部隊、ファイアー!」
「〈マグネッターΩ〉」
「【RAILGAN】」
「〈大蛇の猛毒〉」
ガンツが矢を射て、アンペルが銀弾を音速の五倍で放ち、マドカのヒュドラが毒を吐き出した。
ちなみに、ガンツの必殺技は、発動させると時限式でライフが減るので、まだ使っていない。
「【魑魅魍魎☆百鬼夜行】」
「【火設炎操・自焼】」
こっちの飛び道具に相手も対抗し……ヘビ、カラス、その他妖怪などが撃ちだされた。
すぐにミワとラチックが討伐するも、次々と降って来るのが本当にウザい。
そして、頼みのアンペルのレールガンは……謎の炎に止められた。
自動でレールガンに向かって動き、銀の弾丸を飲み込む。
「アンペル!守りにくいから少し引いて!」
「分かっタ。けど、この距離からだと当たらないゾ」
遠距離の打ち合いなら、相手に部があるらしい。
なんなら、何故かマドカの毒まで効いていない。
「多分、あの音楽の力だな」
……良くわからないけど、あの音楽が悪い気がする。
大体、バフ要因は早めに消すのが鉄則だ。
「……こんな早く動き始めないといけなくなるとはなぁ。シェンラさん!」
「はい。【夢の繁茂する珊瑚】」
シェンラさんは、結界の底に手を付け、巨大な珊瑚の森を作り出した。
これで少しは動きやすくなるだろう。
珊瑚の影に隠れつつ、少し前に出て、ガンツとアンペルが遠距離攻撃して、時間を稼ぐ。
それを見た相手は、
『地球外生命体、投下開始します』
「おい、UFOがなんかヤバい音声を発したぞ!」
魑魅魍魎だけで手一杯なのに、さらに宇宙生物まで降ろしてきた。
このままでは、ファニーを加えたとしても処理能力が飽和する。
「しょうがない。ファニー、ミワ!」
「【不老不死海月ノ異名】」
「まだ温存しときたかったけどなー。【偽りの魚群】」
ファニーとミワの必殺技を使い、無理やり処理能力を増やして対応する。
ここからさらに接近されると辛かったが、そこまで力押しをする気はないらしい。
「Rex、仕込みは?」
「終わってる。相手の炎に触れさせないのが難しかった」
「シェンラさんは?」
「ちょうど今溜まりました。〈GROW〉」
「〈油爆発〉」
シェンラさんが、珊瑚を成長させて相手の所まで伸ばし、Rexは相手の方に送っていた油を起爆した。
空中だったら油はバレていただろう。
水中までおびき出した甲斐があったぜ(ヤケクソ)。
「ファニー、ラチック!」
「〈立体起動〉」
「【Orcinus orca】〈冥転〉」
ファニーがぬいぐるみを伸ばして突貫し、ラチックが必殺技で強化状態になって、特殊走法で一気に相手の方まで突っ込んだ。
「私に合わせて!」
「分かったわ」
「冥紅葬撃」
相手が油の爆発と、超速の二人に戸惑っている間に、二人の合体技で相手の炎の人を倒した。
これでアンペルのレールガンが通りやすくなるだろう。
だが、相手にもまだまだ手の内が分からない人がいて、その中には近接に特化した人もいる。
「【巣構築・美燕嶺徹】」
「ピヨ(【ヒギョウ様】)」
半透明な鳥の巣の様な物が広がり、その中では相手にはバフが、こちらにはデバフがかかる。
さらに、相手の小さな女の子に睨まれ……これまた大きなデバフが。
相手は強化され、こちらは二重の弱体化。
『……あんまり長く持たないかもしれないわ』
「分かった。とりあえず……UFOだな」
「お任せ!〈GROW〉」
再びシェンラさんが珊瑚を伸ばし……その珊瑚には、ギコーが乗っていた。
「【|全てを削るノコギリ《アブソリュート Saw》】
彼のチェーンソーが光り輝いて巨大化し、UFOに向かって振り降ろされる。
絶対切断の効果があるそれは、UFOを真っ二つにし……映画のUFOの如く爆発した。
恐らく、UFOの能力者と、音楽の人は倒せた……かな?
「〈蛇蝎〉」
「ッツ!」
魑魅魍魎を撃っていた女の子が、ギコーに向かって大きな蛇を放った。
ギリギリで乗って来た珊瑚の影に隠れるも、その他魑魅魍魎に囲まれて、ピンチに陥る。
「……まだギコーには宇宙ステーションを斬る役割があるんだ」
「IKUTYAAAAAA」
イクチが咆哮を上げ、ギコーのカバーに入った。
油を爆発させて雑魚を倒し、安全にギコーをミワのラインまで下がらせる。
しかし、相手もそこまで甘くない。
「【フェアリー戦士 ウィンドグリーン】」
相手の女性が……ちょっと年齢の高いプリ〇ュアになった。
ラチックが血相を変えて声を上げる。
「気を付けて!恐らく、モンスター特攻能力があるわ!」
「もうレイトです。〈アトモプレッション〉」
前に出ていたRexに、空間の歪みを生じさせる、小さな弾を放ち……イクチは爆散した。
ついにこっちにも脱落者が出た。
さらに、ファニーとラチックもそろそろヤバい。
「戻って来れるか?」
「……頑張れば」
『させるか〈放電〉』
さっきまで動いていなかった宇宙ステーションが電気を流し、二人の動きがさらに悪くなる。
……もうダメそ。
「〈冥界の招き手〉〈クラッシュハート〉」」
「〈燕刀一文字〉」
ファニーが心臓を握りつぶされて即死し、ラチックは真っ当に斬られ、HPを削られて死んだ。
まあ、敵陣に陽動役として突っ込ませたから、仕方ないな。
これで、現在7対7。
ちょっと近接系が少ないのが不安だけど、ミワに頑張ってもらいましょう。
だが……こっちには彼女がいる。
「やれ、アンペル」
「【RAILGAN】」
黄色いラインが走り……相手大将の鎧を一部破壊した。
割とマジでアンペルってチートじゃね?
威力、速度、射程、回転率、全部狂ってるもん。
「撃て撃て!」
「お前、私のこと大好きかヨ……【RAILGAN】」
アンペルのレールガンがばら撒かれ……相手は、シェンラさんの珊瑚に隠れた。
「珊瑚引っ込められない?」
「無理ですね。環境省に怒られますよ?」
「……ギコー」
「【全てを削るノコギリ】」
ギコー君が、珊瑚を半ばで切り落とし、環境省に怒られた。
これでレールガンが通る。
「【RAILGAN】」
『ヴッ!』
宇宙ステーションが前に出て、レールガンを受け止めた。
さすが大気圏を抜けられる超合金といった所か、いくらレールガンでも通らない。
「〈魑魅〉」
「〈流墜漸〉」
「〈翔流漸〉」
魑魅魍魎を撃ち出していた少女が、アンペルに向かってさらに妖怪を出したが、ミワの実体化デコイが斬り伏せた。
ミワの必殺技は、あんまり強くないと思ってたけど、こういう戦いだと痒い所に手が届く。
このままなら、アンペルだけで大体詰められる。
MPが少し心配な所だが、それくらいならミワとマドカで押し切れるだろう。
さて、相手はこの状況をひっくり返すために、どう動くのか。
ゴー
相手の壁である宇宙ステーションが動き出し、こっちに向かって進んできた。
「……どう見ます?」
「分からん。何か策があって距離を縮めてるのか、ただの苦し紛れか……。一応、ガンツは射線を広げてといてくれ。ミワも何人か連れて」
「「「「了解」」」」
珊瑚に隠れながら、ガンツと数人のミワは少し遠い所で待機する。
その間も、アンペルはずっとレールガンを撃ち続けていた。
「あと、どれくらいで宇宙ステーションを落せる?」
「思ったより硬イ。まだまだ掛かるゾ」
……かなり接近されてしまうか。
できれば、ヒュドラに毒を撒いて欲しいが、モンスター特攻の奴がいるせいで、迂闊に動かせない。
そして、宇宙ステーションが、珊瑚の直前までに迫った頃。
相手の男が飛び上がって、足を突き出し、
「【牽喰い倪り】!」
光を纏って、アンペルの方に突撃した。
ギコーと同じ、一撃必殺タイプか!
「シェンラさん!」
「分かってます〈BRANCHES〉!」
シェンラさんは珊瑚を枝分かれさせ、障壁を作り出したが……珊瑚は次々と砕かれ、止まらない。
「HYUUUU!」
万が一の為に近くに置いていたヒュドラが、アンペルの前に躍り出て……強烈な蹴りを食らった。
ヒュドラにがっぽりと大きな穴が空き、大きくHPが減ったが……少し軌道を逸らすことには成功していた。
「惜しかったナ【RAILGAN】」
蹴りの勢いが無くなった彼を、アンペルが撃ち抜いた。
しかし……現在、ヒュドラは無防備な状態になっている。
「〈ブリーズビーム〉!」
フェアリー戦士がビームを放ち、ヒュドラを再生不可能なくらいに細々にした。
だが、彼女はヒュドラを倒せるチャンスに焦ったのか、宇宙ステーションという最高の遮蔽から飛び出してしまっている。
「【参億匹の仲間】〈捧命矢〉三千万」
そこを、ガンツが逃さず射抜く。
彼のライフの10分の1を使った矢は、水中を駆け……綺麗にプリ〇ュアの頭を仕留めた。
これで今は6対5。さらに、もう直ぐ宇宙ステーションは落ちる。
……そう思ってた。
『貯め込んだ全ての電気を使用します』
「……なんか不穏な単語が聞こえたぞ」
宇宙ステーションは、凄まじい電気を纏い、黄色く光り輝いた。
ヤバい攻撃が来るぞ!
「シェンラさん、ギコー!」
「はい、名前を叫ばれる回数ナンバーワン、シェンラです♡〈GROW〉」
「【全てを削るノコギリ】」
珊瑚にギコーを乗せて、エレベーターの様に一気に上に行かせる。
ギコーが巨大化したノコギリを振りかぶった瞬間。
「ピヨ(【ヒギョウ様】)」
相手の少女の必殺技で、彼に大きなデバフが掛かり、ノコギリの速度が下がる。
その間に、宇宙ステーションの光りは小さくなっていき……圧縮されていた。
「ギコー、急いで!」
「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」
「ピヨ!(〈殻盾戎昇重ね〉)」
デバフの少女が、沢山の白い盾を展開し……絶対切断のハズのノコギリのスピードがさらに落ちた。
それでもノコギリは止まらず、デバフ少女は真っ二つになったが……宇宙ステーションには届かない。
『〈超電圧流散雷雷気 AΩV サンダートランジスボルト〉!』
ピカ バチバチバチィ
相手の能力は、Skyの方を見て下さい。
思ったより時間が掛かっているので、まだ人気投票はやってます。