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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
最終章 海空決戦
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姫×姫

 タッグマッチの大会で、イグノとファニーのペアは無事に一回戦を突破した。

 ホトトギスの必殺技は面白かったなぁ。

 そんなことを考えていると、ファニーが話しかけてきた。


「ねえ」

「なんだ?」

「折角タッグマッチなんだから、協力して戦おうよ。これだと、ただ一対一を平行してやってるだけじゃん」

「……確かに」


 さっきはただタイマンを二回しただけだったし、今回の大会の趣旨と違う気がする。


「でも、俺たちのコンビネーションって何? 合体技くらいじゃねーの?」

「他にもあるでしょ。例えば……とか」

「なるほど。……とかは?」

「いいね。積極的に狙って行こう」

「オウ!」


 そんな会話をしていると、会場の門が光り出した。

 2回戦の会場が空いたらしい。


「行くぞ」

「コンビネーションだからね」


 俺たちは、二回戦の会場に赴いた。





 会場はさっきまでと同じく、ほぼ何もない空間が広がっていた。

 ファニーの伸びるぬいぐるみが使いにくくなるので、止めて欲しいところだ。

 そして、今回の相手は……魚と鳥のタッグの女達だった。

 両方とも重厚感がある着物を着て……魚の女の方はどこか見覚えがある気がしなくもない。


「あれ誰だっけ?」

「……本当に人の顔を覚えるの苦手だよね。アレだよ、《メルヘンヒーローズ》とかいう奴」

「確かにそうな気がする」


 アイテム一覧を開き、上の方に遡っていくと……昔話の絵本があった。

 誰も欲しがらなかったんだよな……まあ、たった今それが役に立っているわけだが。

 桃太郎、金の斧と銀の斧、人魚姫……浦島太郎!


「多分、乙姫だ」

「うん、そうだね」


 確か、全ステータスダウンのデバフと水魔法を使ってた気がする。

 全ステータスダウンはウザいな。


「二人で火力出してくぞ」

「うん」


 その時、会場の中央にザ・バードのホログラムが現れた。


『始めます。デュエル開始ィィィ』

「【終焉まで続く加速】」

「【不老不死海月ノ異名】」


 こっちの二人は必殺技を発動させた。

 俺は加速状態になり、ファニーは強化状態になった。


「〈玉手箱〉」

「〈無力萎え〉」


 そして……相手二人のデバフで、一気に体が重くなった。

 二人ともデバフ役かよ……。


「【月の軍隊】」


 さらに、鳥の人が必殺技を使い、いきなり出てきた満月が輝き、騎兵、槍兵、銃兵など、戦国時代風の軍隊が降りてきた。

 その数、なんと100程度。


「……本体叩くぞ」

「分かった。〈立体起動〉」


 こういう軍隊系の基本、本体である鳥女を叩く。

 俺は軍隊を迂回して鳥女を倒そうとしたが、デバフのせいで上手く動くことができない。

 加速状態でも素早さのデバフが効くのか。


「撃てー!」


 軍隊の指揮官っぽい人が指揮棒を振るい、俺に向かって全ての銃を差し向け、弾幕が展開された。

 出来るだけ避けるが、近づくと弾幕が濃くなってしまい、接近できない。


 ファニーの方は、騎兵や槍兵にぬいぐるみを噛みつかせ、一気に鳥女を目指すが、


「〈水弾〉」

「投げろー!」


 乙姫の水魔法と、槍兵から投げられた槍の弾幕があり、近づけ


「そんなの関係ない。〈紅星〉」


 彼女は手を紅色に染め上げ、槍と水を払った。

 少し傷つくことがあっても、強化状態の彼女なら直ぐに治る。


「防御陣形! なんとしても姫を守れ!」


 ファニーの突撃を防ぐため、騎兵と槍兵が人の壁を組んだ。

 そして、槍を突き出して剣山を形成したが……彼女には効かない。


「〈紅撃〉」


 腕や胴体に傷がつきつつも、それを無視して紅色の手で人壁に穴を空けた。

 ファニーはその穴に潜り込み、思いっ切り暴れまわる。

 もう後は楽勝……のハズだった。


「ん?」


 何か、被弾数が上がっている気がする。

 さっきまでは5秒に1発当たる程度だったが、今ではほぼ毎秒被弾するようになっている。

 射撃の精度が上がったのか、それとも……。


「俺のスピードが落ちてる……?」


 ファニーの方を見てみると、彼女の動きも悪くなっており……顔には皺がついていた。

 まさかと思い、自分の頬に触れてみると、いつもはない凹凸があった。

 ……いや、相手が乙姫の時点で察するべきだった。


「老いている!老いて身体能力が落ちている!」

「やっと気付いた?私の【老化の白煙】に」


 よく周りを見ると、青々としていた空は少し煙がかった水色になっている。

 二重のデバフと軍隊で時間を稼ぎ、老い殺す作戦か。

 相手の出方を伺いながら戦う性格が裏目に出た。

 今は……多分50歳。


「直ぐ決着つけるぞ!ファニー!」

「分かった。〈喰縫〉」


 ファニーは人壁から抜け出してぬいぐるみを伸ばし、銃撃部隊の一人に食らいついた。

 俺の方を向いていた銃撃部隊を蹴散らし、俺に飛んでくる銃弾は激減した。


「よし、行こう!」

「うん」


 二重デバフと老いで遅くなっているとはいえ、俺はまだ加速状態だ。

 ちょっとした軍隊に止められる程度ではない。

 そして……俺の手にファニーのぬいぐるみを噛みつかせ、彼女を引っ張っていった。

 相手はもう一度人の壁を形成したが、俺達は人壁のない後ろ側に回り込む。


「どっちから殺る?」

「鳥の方」


 ファニーを引っ張ったまま、必死に壁の方向を変えようとする軍隊を置き去りにし、


「アクセルクリムゾン」


 二人で合わせて鳥女を攻撃した。

 老いのせいでいつも通り動けず、合体技は失敗したが、それでも十分なダメージ。


「〈アクセラナックル〉」

「〈紅撃〉」


 二人で二発目を入れて、鳥女を倒した。

 しかし……いつの間にか俺の年齢は80歳程度になってしまい……老化のせいで心臓が止まった。


「……後は頼んだぞ」

「無駄だよ。女性よりも男性の方が平均寿命が低いから少し差が出るけど、女の方も直ぐ……」

「はぁ。〈生命帰還〉」


 ファニーは溜息をついて、一つのスキルを発動させ……段々若くなっていく。

 皺はなくなり、肌はスベスベで、その外見はほぼ最初の20歳。


「ベニクラゲを老いで殺せると思った?」

「……あはは」

「〈紅撃〉」


 全盛期ファニーの腕が乙姫の腹を貫き、倒した。


 【かぐや姫】

 全ステータスデバフ 軍召喚

 鳥の方の姫。

 かぐや姫を守ろうとしていた人たちは、月の軍勢の前に戦意を無くした。


 乙姫はいらないよね?

 男性の平均寿命81歳 女性の平均寿命87歳


 すみません、テスト期間なので更新が止まります。

 テストのこと忘れてた。ヤベー。

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