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Universal Sky and Sea Online 水中のVRMMO  作者: カレーアイス
第一章 始まり
10/110

生徒会副会長 俺☆

 現実回です

 年度が変わって数日、まだ春休みの真っ最中だが、俺は自分の高校に登校していた。

 新入生の何とかで、生徒会の仕事が入っているのだ。

 こう見えても俺は、杉丘高校生徒会副会長である。



 あれは半年前、後期生徒会委員決めの時、東間が何か言い出したのが発端だった。


「俺、生徒会長になろうと思うんだ」


 当時、生徒会系の恋愛アニメが流行っていたから、若干アニオタが入っている東間君は、見事流されていた。

 そして、この話をしていたのはDAO内で、徹夜した後のこと。

 俺は深夜テンションで、


「おー、じゃあ俺が副会長やってやんよ」


 そして、本当に立候補した結果……俺の名前の下にだけ真っ赤な造形花がついていて、東間の名前の下にはない。

 つまり、俺だけ当選してしまった。



 そして、今。

 部活の音だけが響く学校内を通り、生徒会室に着いた。

 ドアを開けると、生徒会長、越湖シャロ(どっかの国の人と日本人のハーフ)が会長席に座っている。

 いっつもテストの成績はトップで、五か国語を話せる才女。

 綺麗な黒髪と、毒舌だが凛とした性格で、落選した東間曰く、『高校の選挙(にんきとうひょう)で学校一の美女に勝てる訳ないだろ』とのこと。

 生徒会選挙を人気投票って呼ぶな。


「お疲れ様です」

「遅い。10分前には着いておきなさい」


 今15分前ですが。

 だが、俺はこの人とのレスバに勝ったことがないので、おとなしく謝り、自分の仕事を始めた。


 書類に目を通して、印鑑を押すかサインを書き、間違えている場合は修正しておく。

 生徒会は案外楽とか言うけど、この学校は結構ハード。

 なんだよ『××の奥さんとの不倫で〇〇先生解雇』って。こんな書類生徒に見せんなよ。

 流石にこれは紛れ込んだだけだろ。印鑑欄あるけど。


 もう慣れたもんだし、いっつも休み時間には読書をしてたのが功を奏したのか、俺の読文速度は結構早い。

 気づいたら書類が無くなっていた。

 会長の机を見ると……まだまだ書類の山が積んである。

 よっしゃ、煽りに行こう!


「自分の分、終わりました。……会長はもう少しかかりそうですね(煽り)」

「そう。お疲れ様、帰っていいわよ(無視)」

「いや、なんか反応して下さいよ。ていうか他の人どうしたんですか?」


 うちの生徒会は会長一人、副会長二人、書記一人で構成されており、俺以外の副会長と書記が何故か来ていない。

 まあ、あの人たち、仕事はできるけど二人とも会長の友達(女子)だから、俺が圧倒的アウェイになるんだけども。


「欠席よ。私がその分働くから問題ないわ」

「そうですか、じゃあ仕事もらって行きますね」


 半分くらい書類の山から取って行こうとして……会長に止められた。


「これは私の仕事よ。あなたはおとなしく帰りなさい」

「これは生徒会の仕事で、俺は役員、つまりこれをやる権利がある。

証明完了QEDィ」


 自分の机で作業を再開する。

 印鑑が必要な物はチェックだけして、サインが必要な物は……『越湖シャロ』っと。

 この半年で偽装サインがかなり上手くなった。

正直今一番得意な漢字は越。


 それが終わっても小山が残っていたので、もう何も言わずに全部持っていった。

 だが……それが終わっても会長は机に向かっている。


「何やってるんですか?」

「新入生への祝辞の台本を書いてる」


 ああ、やけに進みが遅いなと思ったら、そのせいか。


「何も見ずにやっているんですか?」

「どういう意味?」

「こういうのってテンプレートがあるから、それを参考にした方がやりやすいですよ」


 流石にゼロから祝辞を錬成するのはキツイだろ。


「多分、探したら去年の文章とかありますよ」


 会長は少し考えたようだが……


「そうね。早速探して……」

「俺が探しとくんで、この書類片付けといてください」


 一部俺では出来なかった書類を渡し、書庫にテンプレートを探しに行った。

 自分では見つけられなかったが、管理している先生に聞いたら、過去数年分の台本を持ってきてくれた。


「ありました。やっぱり、どれも大体言ってることはあまり変わりません」

「そう。助かるわ」


 さっそく過去の文章を見つつ、自分の言いたいことを交えていく会長の隣から、助言を出していった。


「それはちょっと表現が硬すぎます」

「じゃあ、こんな感じで……」

「ああ、いいすね」


「いや、そんな言葉中三じゃ分かりませんよ」

「そうね。あなたは分かるの?」

「何となくなら」


 すると、2時間かかっても全然進まなかった作業が、たった30分で終わった。


「やった、出来たわ!」

「お疲れ様です」

「ありがとう!」


 テンションがハイになっているのか、笑顔で俺の手を握り、上下に揺すった。

 数秒後、少し赤くなり、いつもの鉄仮面を取り戻して、


「触らないで」

「酷くない!?」


 完全にそっぽを向いて、目を合わせてくれない。

 まあいいや、後は担当の先生にでも確認を取れば今日の仕事は終わりだろう。


「じゃ、帰ります。お疲れ様でしたー」


 彼女は、何も言わなかったが、そっぽを向いたまま、手だけ振ってくれた。

 さーて、帰ったら何しよう。





 彼が帰ってしまった。

 せっかく木山さんたちが二人っきりにしてくれたのに、特に進展もなく、一瞬で時が過ぎてしまう。

 この関係が終わる前に、この気持ちを告白できるだろうか。

 いけない、まずは先生に報告しないと。

 職員室の扉をノックして、担当の原田先生に仕事の終わりと、文章のチェックを確認してもらう。

 先生は、文章を読んで……


「いい台本よ。毎年修正しているけど、今年は必要なさそうね」

「ありがとうございます」

「これは一人で書いたの?」


 見上げると、先生はとてもニヤニヤしていた。


「どういうことでしょう?」

「いやね、さっき昔の台本を取りに来たのが辰海だったからね。

進展はあったの?」


 この先生、50を過ぎてる割に甘酸っぱい話が大好きで、恋愛に困ったらこの先生に相談すれば9割は成功すると言われ、学校の七不思議に登録されている。


 そして……もちろん私のことも気づかれている。


「それが……全く」

「ハァ。もう任期終了も近いんだから、大胆にならないと」

「それは……分かってるんですけど……」


 今日だって、無意識に手を繋いでしまったが、つい暴言を吐いてしまった。

 やっぱり、私に恋愛は……


「ハァ。あなたほど手のかかるのも珍しいけどね」


 たぶん相手が悪いです。

 そう思いつつ、口にださないでいると、先生はニヤリと笑って……


「久しぶりに本気をだしますか!」


 悠馬君は深夜テンションで頭がおかしくなります。

 人気投票で勝てる程度には顔がいいです。

 ちなみに、作者は生徒会やったことありません。違和感あったら教えてください。


 春休みが終わったら現実回が増える予定。

 あとは体育祭や文化祭とかのイベント系はやりたいな。



 初めての他人焦視点が初登場のキャラになるとは思わなかった。

 ツンデレ入ってるから、本音を出しにくかったのが原因かと思われ……

 次は普通のゲーム回です。

 原田先生の恋愛講座はもう少し後。

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― 新着の感想 ―
[一言] これからあるかもだけど、生徒会長が主人公を好きになったエピソードを書いてほしい!
[良い点] 「自分の分、終わりました。……会長はもう少しかかりそうですね(煽り)」 「そう。お疲れ様、帰っていいわよ(無視)」 →かっこの使い方面白い!見習いたいな〜 よっしゃ、煽りに行こう! →こ…
[良い点] 「自分の分、終わりました。……会長はもう少しかかりそうですね(煽り)」 「そう。お疲れ様、帰っていいわよ(無視)」 →かっこの使い方面白い!見習いたいな〜 よっしゃ、煽りに行こう! →こ…
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