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第六話 女神見習いと同居  

 次の日 朝 天界の宿屋にて

「ムニャムニャ……」

「こら! 起きてくだい!」

 

 ゴス! ゴス! 

 

「??? 痛い! なんかおなかに激しい痛みが!」

「将大さん、お迎えに来ました。こちらへ来てください!」

「迎えって何? もしかして夜のお誘い?」

 

 ゴス! ゴス!

 

「違います! というか今は明け方です! さあ宿代がもったいないからうちに来てください!」

「え? ミミさん。どうしてここに」


 ゴス! ゴス!


「わ! わかったよ! だからおなかをゴスゴスしないで!」

「わかればよろしいです。詳しい話はあとです! この宿は朝ご飯前にチェックアウトすると少し安いんです!」

「え……そうなんだ……」

「さあ、行きますよ!」

「行くってどこへ?」

「私の家に来てください。詳しくはそこでお話しします!」

「あ、はい……」

ミミさんは俺の手を強引に引っ張り、彼女の家に上がらせた。

 


ー天界 ミミのおうちにてー

 

「ここがミミさんのおうちですか……なんというか普通のマンションですね」

「天界ってそんなもんです! 現実はそんなに甘くないですよ、将大さん。異世界があくまでもイレギュラーなだけであなたの生きてる世界とほぼ変わらないです」

「まじかぁ」

「残念がらないでください。さあ、ここが私の部屋です。入って」

「はい……お邪魔します……いい匂いがしますね。インテリアもすごく女の子ってかんじで、すぅううはぁああああああ」


「ラベンダーの香りよ。心を落ち着ける効果があるんです」

「なんか女の子のおうちって感じがします。この長い髪の毛はミミさんの?」

「キャ! 恥ずかしい。ちゃんと朝片付けしたのに……」

「いえ……大丈夫です(むしろご褒美です)」

「? なんかいいました? えっと、そこらへんに適当に座ってください。これからあなたがやらねばならない事をお伝えしますね」

「あ、はい。よっこいしょっと」

「わたしもお隣り失礼しますね。よいしょっと……あ! そういえば私、朝ご飯食べてなかったから用意しました! ハムカツサンドです! これを食べながらお話ししましょう!」

そういうと、ミミさんはハムカツサンドを俺に出してくれた。昨日のビジネスホテルでの夕食はそうめんだったからなぁ、こういう味がしっかりとしたものは嬉しい。

「ありがとう、ミミさん」

「どういたしまして」


「さて、あなたは昨日、異世界紹介タブレット……略してイセパットを壊してしまいました。これは大変なことです。今回その交換代金がとても払える金額ではありません」

「というと?」

「アレス様からはイセパット修繕のために120万エリカが必要と言われました。この金額はあなたの住んでいた世界と同様な価値で120万円分になります!」

「な! なんだってえええええええええええええええええええええ!」


ゴス! ゴス!

「ぐぅう」

※ゴス! は骨が揺れる音です。


「静かにしてください! 他の人にバレてしまいます。このマンション女性の一人暮らし限定で壁薄いんですから。しかもまだ朝の7時です。寝ている人は寝ています」

「う、ごめんなさい。……それ補償とか入ってないの?」

「天界でイセパットなどの物を故意に壊す人はいませんので、補償などはありません。天界のタブレットなので、システム的なエラーも絶対起こらないので保証の必要がないんです。でも普通に壊す人なんて私初めて見ました」

「あの時は悪かった……ごめん」

「いえいえ、わたしもここに来るものがそういう事をすると予測しなかった点は反省です。ですが、今後はイセパットは私が入力しますので、触らないでくださいね」

「わかりました……ミミさん」

「わたしは女神見習いで今回はあなたを次の世界へ飛ばす事が最終試験なのです。それはあなたの満足いく世界に飛ばさなければなりません」

「なるほど」

「その為にまずは壊れたイセパットを新しいものに交換する必要があるのですが、その費用の一部をあなたにも手伝っていただきます」

「うん、わかったよ。お金を節約する為に宿屋から早朝チェックアウトしたのもその為だね」

「はい。その通りです。見習い卒業試験は対象者が次の世界へ向かうまでが試験なので、それまでは全て私のお金を使用します。私のなけなしのお金ではイセパット修繕費も宿泊費も足りませんのでそのため私があなたにぴったりなお仕事を用意しました! これから二人で一緒にお金が貯まるまでバイト生活です!そして将大様はこのお部屋でこっそり寝泊りしてください!」

「おー!」

(こっそり、ミミさんの部屋で寝泊りだって! なんという僥倖!)


「はい! それでですね……わたしはいつもパン屋さんで働いています。」

「へぇ……ミミさんってパン作れるんだ」

「誰がパンツ、くれるんだ! ですって? あげません!」

「いや、パンですよ! パン!」

「知ってます!」 

「じゃあ言うなよ」

「ネタなので、すみません!」

「ミミさんって結構はっちゃけてるんだね……。じゃあ俺もパン屋で働くということか?」

「ちがいます!」

「違うんかい!」

「わたしの働いているパン屋は時給700エリカだから、あなたはもっと時給が高いアルバイトを用意しときました! 先輩女神のダリアさんが経営しているアルバイトです。あなたがやるのは時給1万エリカ、一日8万エリカです!」

「おお、1万エリカ……大金だな。一日8時間労働で8万エリカ……これなら五日働けば40万エリカ……余裕稼ぐことができるじゃん!」

「将大さん。そう言うことです。お金を貯めてタブレットを新しいものに交換してちやんと使えるようになった後、あなたの次に行く世界を決めることができるのです!」

「なるほど!」

「でもまぁ……ちょっと特殊なアルバイトなんで、詳細はダリアさんに聞いてください。さあ、朝ごはんを食べてそれぞれのバイト先へ向かいましょう! 私が作ったハムカツパンを食べてください!」

「いただきます! お、おいしい!」

「ふふふ! 気に入ってもらって良かったです」



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