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第四十二話 ゴスっと! 異世界懇親会! 略して『イセコン!』終

会食も最初は男の子同士、女の子同士で話していたが、時間が経つにつれ話すペアがどんどん変わっていき、皆が楽しい時間を過ごせた……と思う、俺以外は。


「えーそれでは皆様、盛り上がっているところ申し訳ありませんが……」

俺がみんなに会食の終了を知らせようと口を開いたとき、


ピカ!

「すまん! 世界渡りしていたら遅れてしまった!」

突如、本当に突如青白い光が現れたと思ったら、一人の男がそこに立っていた。

「あら? もしかして遅れてきた方かしら?」

令嬢のクロエがつぶやく。

「ああ! 俺はジャックだ。俺は異世界転生をした後。『世界渡り』っていう世界で様々な異世界を回り、ある男を探しているんだ」


「ある男?」

獣人のハルがきょとんとした顔で尋ねる。

「そうだ、俺の恋人……アデアラを……俺たちの地獄を……許さない。そいつもどうやら『世界渡り』をしているみたいなんだ。今回、俺は異世界転生した奴らが『世界渡り』が使えるかどうか確認しに来た」


彼は怒りの声を押し殺すように小さくつぶやく。

(アデアラ、今アデアラって言ったよね? と、言うことはこの人ってもしかして……)

挿絵(By みてみん)

「すまない、司会さん。名前はわからないが転生者の中で『世界渡り』を使用できる人たちはこの中にいるか?」

(お、遅れてきてよかったー! もし、この人が定刻通りに来ていたら、俺の名前を聞いたら……こ、殺される)

落ち着け、俺、落ち着くんだ。俺の名前を知られないように、うまく事を運ぶんだ。

「いえ、この転生者の中では世界渡りを使える方はいないです。女神に誓って」

間違ったことは言ってないよね。うん、大丈夫だ。言ってないよ。


「そうかぁ、わかったよ。遅れてしまったのに、丁寧な対応をしてくれてありがとう」

ジャックは少し残念そうにつぶやいた。

「い、いえいえ……」

もう、本当に締めるつもりだったんだから……ドキドキさせるなよ。



イセコンが終わったらみんな帰る、イセコンが終わったらみんな帰る。

それまで俺がジャックに招待がばれなければいいんだ。

「すぅー」「はぁー」

俺が深呼吸をした後に、俺は3枚目の台本を読む。

「皆様。楽しい時間が過ごせましたね。次回イセコンは10年後の開催になります! それでは皆様、次のイセコン会場にご案内します……」

……ん? なんだこの台本、次の会場って……


「「「はぁーい」」」

あれ、なんかみんな知っているみたいだ。な、何これ?


「いやぁ、異世界ヒロインコンテストに間に合ってよかったよ。俺のアデアラが世界一いや、異世界一最高って事を示してやる。と言っても俺は応援だけだけどな、ははは」

ジャックは安心した声でつぶやく。


異世界……ヒロイン……コンテスト?

挿絵(By みてみん)

「私は自薦でコンテストに出場しますわ。私の美貌、イセコンで全異世界の淑女に見せつけてやりますわ!」

挿絵(By みてみん)

「ミカも出るよ! きっと優勝してみせるんだから!」

元男だった超絶美少女のミカもやる気満々だ。


わいわい、がやがや

遅れてきたジャックとすっかり仲良くなった6人は当たり前のようにイセコンについて話している。

というか、異世界懇談会も異世界ヒロインコンテストもイセコンってまとめるなよ! 紛らわしいじゃないか!


俺は異世界懇談会の司会進行資料を見直す。

★ ★ ★

異世界懇談会略して「イセコン!」


時間:10時から11時

【注意点】

○イセコンという言葉を可能な限り使用する事

○異世界転生1年目の転生者のやる気を底上げすることが目的

○参加者7名

○女神が異世界転生を行った後、異世界時間換算で1年以上経過したものが参加対象、なお異世界によって時間の進行速度は異なる

○情報漏洩の為、司会者は天界の情報は話してはいけない。

○全てのイセコンが終わり次第、転生者たちは彼らの世界へ帰還する

【タイムスケジュール】

自己紹介(15分)、食事をしながら雑談(40分)、異世界からの伝達事項・まとめ(5分)

★ ★ ★

『○全てのイセコンが終わり次第、転生者たちは彼らの世界へ帰還する』

よく見たら全ての……って書いてある。


「ご……ご案内します」

かくして、イセコンに参加した7名は「異世界ヒロインコンテスト」へ向かうのであった。


(こ、このままではアデアラに見つかってしまう可能性がある!)

俺の天界での地獄の始まりであった。

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