二十八話「異世界をまたにかけて俺の命が狙われています!④」
◇ ◇ ◇
快晴や
「ってことがありまして……」
「ふふ、ミミと一緒に暮らせるんだからそれくらい光栄に思いなさいよ。あんたは本来この世界にはいてはならない存在なんだから」
ダリアさんはいつものように俺に毒舌を放ってくる。ダリアさんも顔はとてもきれいで整っているのに、どうして性格が歪んでいるんだ。
「うぅ……」
「そういえば、これ返すわ」
彼女が持っていたのは指輪だった。そういえば俺はダリアさんに指輪を預けていたのだ。前回のアルバイトでなぜかこの指輪を天界に持ってこれてしまっていたのだ。
「やはり、これは天界で作られたものだったわ。だから、普通なら異世界からの物は持ってこれないはずのものが、天界に持ってこれたというわけ」
「そうだったんですね。でもどうしてアデアラさんはこんなものを持っていたのでしょうか」
「恵まれない異世界に寄付をしたから、かしら?」
ダリアさんは自分の前髪を指でくるんといじりながらつぶやいた。
「恵まれない異世界に寄付……」
な、なんか聞いたことがあるぞ。たしかお祭りの時に……
【回想 お祭り当日】
祭りの本部近くにある寄付置き場に付いた。
寄付をする景品と言ってもぬいぐるみや子供だましのおもちゃばかり、これを異世界に寄付しても意味あるのだろうか? と思う人が多いだろう。
ダリアさんの話によると、天界の物は微量の魔力を混ぜた材料でできているという。異世界に送ることで、これを拾ったものは微量の魔力を得ることが出来るんだって。
これで魔獣や魔物から自分を守ることが出来るかもしれない、そうすれば町を守れるかもしれない、そうすれば世界を守れるかもしれない……との事らしい。
◇◇◇
「ああ、これが原因か!」
「おそらく、異世界にばらまいた物の中にたまたま指輪が混ざっていたみたい。それがあなたが今持っている指輪よ」
「な、なるほど」
「だからこの指輪は微力な魔力を宿っているわ。なにか力を秘めていると思うの。なにか覚えはない?」
そういえば……アデアラさんが言っていたな。
【回想】地獄研修にて
「あのー……アデアラさん? すみませんが、安全バンドもらっていません……」
「え! 手配が足りずすみません。 う、うーん。別のものを用意しますね! あ! これこれ!」
そう言って俺に手渡してきたのは新入社員に手渡しているリストバンドではなく……。
「指輪ですか?」
「はい! 急な有り合わせなもので申し訳ありませんが、こちらは他の社員さん同じで痛みを無効化、暑さも無効で怪我をしても超回復します。でも他のリストバンドとは異なり効果が若干弱いので、触ったり安全通路から外に出るのは禁止です。体験禁止です。だから安心して下さい!」
◇ ◇ ◇
「痛みを……無効化できる……指輪」
この指輪を身に着けることでもしかしたら……
【一週間後】
……ということで1DKのおうちに引っ越してきた俺達。
家賃は月7万エリカというお手頃価格だ。
場所も快晴やへ徒歩20分、ミミのパン屋さんへは15分というお互いにワークバランスが取れた場所に住むことが出来た。
どうしてこんなに安く住めるかって?
それは……
「カップル割……使っちゃいましたね」
ミミが頬を恥じらわせてつぶやく。そうキャンペーンを使ったのだ。
「う、うん。そうだね……」
「私たち周りから見たらそんな風に見られちゃうのでしょうか?」
「そう……かもね」
ミミは「ひゃあ」と奇声を放つように嬉しそうだ。
俺も本当は嬉しい……。こんなにかわいい子と一緒の家で暮らすことが出来て、さらに周りからカップル認定されてしまうなんて。ミミの料理はおいしいし優しいし……あれを除けば……
ゴス! ゴス!
「ああー、やっぱり防音の部屋でのゴス! は良いですね! 将大さんもそう思いませんか? って本当は私こんなことやりたくないんです!」
「うぅ……」
(本当だ、若干の痛みは残るけれども。いつもと比べたら天と地ほどの差がある! あ、これは天界と地獄をかけたわけではなく……)
ゴス! ゴス!
こうして俺はミミのゴス! ゴス! から耐えるための必須防具を手に入れたのだ!
これで俺の天界での暮らしの安全を手に入れることが出来た。




