表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

26/49

第二十四話 異世界アルバイト!「無限地獄会社ENMAへようこそ!」③

前回のあらすじ

◇ ◇ ◇


新入社員工程表


1日目


第一の地獄「獣地獄」


第二の地獄「火炎地獄」


第三の地獄「蟻地獄」


第四の地獄「釜茹地獄」




2日目


第五の地獄「針山地獄」


第六の地獄「壁地獄」


第七の地獄「虚無地獄」




◇ ◇ ◇

第二の地獄「火炎地獄」

アデアラ「第二の地獄ではあなた方に死んだ牛の肉や、豚の肉を火炎で焼いて食べていただきます」

おれ(や、焼肉じゃん)

そう、火炎地獄は焼肉をみんなで食べる地獄だったらしい。

アデアラ「もちろん、ソースはご自由に使いたい放題です。あ、そこのあなた、牛の舌を2枚同時に食べるなんて……うーん、二枚舌!」

おれ「アデアラさん、俺もこの地獄参加したいんだけど……」

アデアラさんは「安全指輪の人はだめ」と笑顔ではにかむ。


1時間後

「そろそろ皆さん、次の地獄へ行きますよ!」


「いやだあぁあああ、俺はまだ食べたいんだぁあああ」

「あいつに‼ あいつに私が育てた肉を食べられたのよ!!」

(あ、ある意味地獄だ)



◇ ◇ ◇

この後も地獄は続いた。


第三の地獄「蟻地獄」

アデアラ「蟻は甘い砂糖を集めています。蜜を使ったスイーツをご堪能あれ!」

「ぎゃああああ! こんなおいしいスイーツ食べたら、もう他のお菓子を食べられない」

「絶品よ! これは誰にも渡さないんだから!」

(あ、ある意味地獄だ)


第四の地獄「釜茹地獄」

アデアラ「40度の天然温泉で皆様の体力をいやします」

「うぁあああ、体が‼ 心がとろける! 俺は軟体生物のタコになっちゃう」

「気持ちよすぎだ!! 俺はここに住む!」

(あ、ある意味地獄だ)



2日目


第五の地獄「針山地獄」

アデアラ「地獄針きゅう整骨院へようこそ」

「あ、あれ。今まで悩まされていた腰の痛みが消えたぞ……え? 継続しないとまた復帰する? いやだぁあ」

(あ、ある意味地獄だ)


第六の地獄「壁地獄」

アデアラ「壁にぶつかりそうなあなたに、元気が出る歌を送ります!」

「な、なんて素敵な曲なんだろう。目から涙が止まらない! 誰か! 俺をとめてくれえええ」

「死ぬまであなたを応援するわ! たとえこのサイリウムが消えても!」

(あ、ある意味地獄だ)



第七の地獄「虚無地獄」

アデアラ「最後の地獄では自由に過ごして構いません。お土産もぜひご検討をお願いします!」

「うぁあああ、これまで俺たちを楽しませておいて、最後は何もないんかい! 俺は、期待していた俺は! どうなっちゃうんだぁあああ」

「お土産かったらお金がなくなっちゃったよおおおおおお」

(あ、ある意味地獄だ)


◇ ◇ ◇

「さあ、皆さん! 7大地獄体験お疲れさまでした!」

新入社員は「もっと体験していたかった」と涙を流している。

「ここまで残った11人の皆様は優秀です。地獄から出たくないと言って引きこもってしまった新入社員を強制帰宅させましたので、あなたたちは正真正銘私たちの社員です。これから毎日この無限地獄会社ENMAを盛り上げていきましょう! 途中で帰ってしまった人たちは使用期間の為、契約解除となります。そう、皆様お気づきの通りこちらは入社後選考です」

(まさか、入社後選考だったのか)


アデアラは合格した俺たちにこの研修の趣旨を話してくれた。

「昔は私たち地獄社員は人の嫌がることを率先して体験させていましたが、社長のENMA様がそれじゃあ社員が育たない。地獄のイメージを180度変えてみようと考えて始めたのがこの7大地獄研修です。どうですか? 地獄のイメージは変わりましたでしょうか?」

(まさかのご褒美地獄だったとは……)


ピピ

ニンムカンリョウ キカンシマス

脳裏に依頼完了のメッセージが流れるとともに俺の体は天界へと戻っていった。


◇ ◇ ◇

「あら? もう終わったの? お疲れ様? どうだった? 地獄だからてっきり死んで戻ってくるのかと思ったわよ」

快晴やの店主、ダリアは俺に無慈悲な言葉を浴びせてくる。全くひどい話だ。最初は地獄で1泊2日過ごすという、考えただけでも耐えがたい依頼だと思ったのに、まさかの7大地獄体験だったよ。別に悪くなかった、というか俺は安全指輪のせいで参加できなかったから、ちょっと羨ましかった。全ての地獄で新入社員たちが楽しんでいたが、最後には全員後悔をしていたようだ。


「ええ、なんか思ったよりも違う地獄でした」

「少し休憩しなさい。そのあと、ミミと合流してお祭りに行くわよ」

(地獄体験で忘れそうだったが、俺は今日のこの依頼が終わったら、俺……お祭りに行くんだ)


「さあ、イセパットに登録っと……」

ダリアさんがイセパットに登録をすすめる。

彼女が登録をすると、イセパットはなぜか今風の小説のタイトルのような異世界紹介文を作ってくれる。さて、今回は何だろう



トウロクカンリョウ

◇ ◇ ◇

『地獄に仏! 仏に地獄! 指輪クエスト!』

概要:無間地獄会社ENMAで働く美人研修担当アデアラ。彼女はいつものように新人研修をしていると、将大という男に出会う。新入社員全員に渡した安全ベルトなのに彼は「もらっていません」と一点張り、仕方なく彼女の私物であり、彼氏から貰った婚約指輪兼、安全指輪をしぶしぶ貸す。

「絶対外さないで」と忠告し、大切に身に着けてくれたようだが、研修最終日に突如として彼は消えてしまう。

アデアラは指輪をなくしたことに酷く悲しんでいた。

「私の大切にしていた地獄の思い出を盗まれた。許さない。将大という人間を捕まえてやっつけてやる!」


ここでアデアラの彼氏として転生

アデアラとともに数々の世界を飛び回り、指輪を返してもらう旅が今! 始まる!


◇ ◇ ◇

「……。あれ?」

イセパットを見た後に俺は自分の左手を見る。小指には何故かあの時の指輪が……


「あなた、返却を忘れましたって? ちょっと! この文面を見るからに、あなた、お尋ね者よ」

「げ! しかも世界を渡る能力があるだって!!!」

「そんなに気にしないで、世界線がそもそも違うんだから、転生者たちと出会うことは無いわ」

「そうなんだ。よかった」

俺はほっと息をなでおろす。


「少なくとも、天界ではね」

「え?」


「天界より下のグレードの世界では会うかもしれないけど。ふふふ」


な、なんという事だろう。俺が受けた依頼のせいで、アデアラという女性が俺を倒そうとしている。

俺は左手の小指にある指輪を見返した。通常、肉体のみが天界に戻るため、そこで借りていたものや使ったものは全て異世界に置いて行かれる仕組みだ。

「ダリアさん。どうして、この指輪をもって天界に戻ってこれたのでしょうか?」

「うーん。よくわからないけれど、考えられることは一つよ」

「な、なんでしょうか」


「この指輪、天界で作成されたものだと思うの。だから、天界に持ってこれるのは当然よ」


……な、なんだってぇえええええ!!!


異世界アルバイトも慣れてきたと思ったのに、まさかの……敵! 出現?


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ