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第二十一話 異世界アルバイト「ポロリと水着、いざ、バカンスへ 終」

3日目


今日の夕暮れまで俺はチェックインしたホテルで1日を過ごした。

自分の部屋でおとなしく、一人ぼっちでゆっくりと過ごした。

女人化薬は24時間効能が継続すると言われていたものの、やはり個人差があるようで昼頃には俺の体は男の体に戻っていたのだ。

だから俺は今日は海に出ずに窓辺から女の子を見守ることにしたのだ。決してやましい気持ちはない。見守ろうとしたんだ。望遠鏡で水着姿の女の子を見守ろうとしたん……おっとこれから先は想像しないでくれよな。


ピコン!

ミッションクリア!

元の世界に戻ります!


俺の脳内に甲高い機械的な声が聞こえると、今までいた自分の部屋が吸い込まれるように、俺の周りの時空が歪み、やがて界が真っ白になった。そして再び視野がもとに戻ったときには俺は天界のバイト先のお店「快晴や」に立っていたのだ。

目の前には少し日に焼けて褐色肌になっているミミとダリアが満足そうな顔でバカンスの余韻に浸っていた。

◇ ◇ ◇

「あー! 楽しかった! こんなバカンスなアルバイトなら毎回やってもいいかも!」

「あんた、3日目は疲れてバンガローでひたすらに寝ていたでしょう」

「ダリア、バカンスは何をしても自由なのです。それはそう、この私のように広大な胸のように……胸のように……」

「そうね、広大だわ……平らに」

ダリアがボソッとつぶやく。

「うう、でも胸が大きすぎるのも大変だと思いました」


「まさか救援物資で巨乳成長薬を送ってもらえるなんてね……って!将大、戻っていたのなら返事くらいしなさいよ」

ガールズトークを邪魔したのが悪いのか、ダリアは俺を睨めつけた。


逆にミミは自分の頬を赤くしている。

「あわあわ、将大さん。さっきの私たちの話聞いていました?」

「いや、別に何も聞いてないよ。(実際に現地でみてましたから)」

「それは良かったです。そういえば将大さんはどうやって過ごしていたんですか?」


(俺も救援物資で女人化薬をもらっていて、ミミとお風呂に入っていたり、他の女の子を時々ホテルの窓から望遠鏡で覗いていたなんて言えない。)

「ああ、俺は二人を近くの茂みで見守っていたんだ(水着姿を)。俺、男だから他の女の人に見つかると処刑されちゃうからさ」

「私たちを覗いていたの? つまり、ストーカーみたいな? キモ」

ダリアがごみを見るような目で俺を見ている。ちょっと怖い。

「ダリアさん、違いますってば! 2日目までは二人のそばにいましたが、3日目からはちゃんと他の女の子の水着姿を見ていたなんて……あれ? ミミさん?」


「将大さん……あなたって人は! 破廉恥です!」

ゴス! ゴス!


「ぐっふ」

3日ぶりに食らったミミのゴス! は俺の溝を的確にえぐった。


二人のゴスゴスをみてあきれたのか、ダリアは業務に戻る。

「こらこら、二人でイチャイチャしていないの。さあ、イセパットに登録するわよ……」


そうしてダリアさんは、イセパットの更新を始めた。

毎回面白そうな小説のタイトルのような見出しになっているが今回は果たして……


トウロクカンリョウ!

◇ ◇ ◇

『マル秘! 女人島! 俺は女の子になります!』

概要:転生者が目を覚ました場所は、女人島という男子禁制の島だった。何も知らない彼はすぐに取り押さえられて明日の処刑を命じられた。


「あなたが証拠を残したせいで見つけるのは容易だったわ」

「え?」と訳が分からない転生者。

「あなたには死んでもらうわ……男として」


そう、俺は男として生きることを終わらせられ、女の子として生きていくことになった。みんなかわいい女の子が俺に……いや、私に声をかけてくる。

特別仲良くなった女の子は俺に秘密を教えてくれた。


「わたし、実は前まで男だったのよ」

「あ、それ私も」「私も!」


果たして、ここは本当の意味の女人島なのだろうか。転生者は本物の女の子に出会うことが出来るのだろうか。

女の子?だけなのんびりリゾート生活のスタート!


◇ ◇ ◇

(こ、今回もなかなか凄いタイトルの話題だ。)

「わぁ、こうやってイセパットに登録されるんですね!」

ミミが目を光らせたように、イセパットをのぞき込む。


(「あなたが証拠を残したせいで見つけるのは容易だったわ」という文章はおそらく俺が、脱衣所で男物の服を洗濯機に入れて取り出すのを忘れてしまったからだろう。)


「さあ、二人ともお疲れ様。これが今日のアルバイト代、二人合わせて8万エリカよ」


「わーい! 立った半日で二人で8万なんてお得すぎです!」


(そう、異世界と天界の時間は大きくかけ離れている。向こうの1日は天界の1時間半くらいにしかならないのだ。今回は3日間の異世界転生だから約5時間といったところだ)


「こういう、楽なアルバイトもたまにあるから。ミミが楽しめるアルバイトがあればまた誘うわ」

ダリアも満足そうな声でミミに声をかける。


「でも二人ともだいぶ日に焼けちゃいましたね」


「大丈夫です! 私たち天界人は日焼けくらいなら1時間あればもとに戻るんです。ほら、私の足!見てください!」

ミミはワンピースの恥を少し手で上にあげて、自分の太ももを見せつけた。ちょっとぉ! えっちぃのはだめだよぉ!

「さっきよりも白くなってきていませんか? ほら! ほら!」

「あの、あの、ミミ……」

ミミも自分で気が付いたようで、顔が真っ赤になる。

「あ、私ちょっとバカンスでハイになっていたかも。恥ずかしい……というか勝手に見ないでください!」

ゴス! ゴス!

「うぅうぐふ!」


ダリアは俺とミミのゴスゴスを幸せそうに眺めていた。

そんなこと良いから! ダリアさん助けてくれー!


ちなみに確認だがゴス! ゴス! は骨が揺れる音である。

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