第十六話 異世界アルバイト「いざ、バカンスへ!②」
異世界アルバイト「バカンス」
「さあ、着いたわ。ここが仕事場よ」
「うわぁ! きれいですね!」
青い海、白い砂浜でなんとも行楽びよりだ。海も砂浜も太陽のひかりでキラキラと輝いている
「さて、それじゃあ依頼の説明を始めるわね。この綺麗な島で3日間滞在するのが仕事よ。時間さえ過ぎてしまえば私たちが何をしてもOKだから、この絶景をミミと楽しみましょ!」
「はい! ダリアさん! 私! こんなきれいな場所に来たのは初めてです」
ミミが嬉しそうにつぶやいた。
「ふふ、こんな異世界もたまにはいいと思うの。それはそうと決まればまずは水着に着替えましょう! ほら、あそこに見えるコテージ! あそこで泊まることができるわ。水着も選び放題、夜は館内で働いているメイドさんが料理を作ってくれるわ」
「わーい! いきましょ! いきましょ!」
「そうね!」
(ミミとダリアさん……仲がいいなぁ、女の子同士だから仕方ないけど俺は蚊帳の外か……。まあ仕方ないっちゃ仕方ないか。)
「あ、そういえば将大とは別行動だからよろしくーじゃあねー」
「えっ! なんでですか!」
(もしかして、本当に蚊帳の外!?)
「私とミミと将大で遊んだら、あんたがハーレム見たいじゃない。そんなの嫌だからあんたはこの島を探索するなり、ゆっくりするのね! はいこれ、依頼書」
「え、俺の扱いひどくないですか?」
「本当は将大さんとも遊びたかったですが、依頼なので仕方ありませんね。別行動です。でも大丈夫です、終わったら一緒にご飯でも食べましょ!」
「ミミ、なんて優しいんだ」
「ダリアさん! そんなことよりも早く早く!」
(ミミ……そんなことよりって……なんかさみしい)
「わかっているわよ! じゃあね」
「きゃっきゃ!」「うふふ!」
(あかん、二人とも夢中でコテージまで行ってしまった)
(さてどうしたものか。本当にバカンスなのであれば……とりあえず依頼書を確認しよう)
【依頼内容】3日間南の島で過ごすこと。ただし……
俺はこの依頼文をみて驚愕した。ご褒美だと一瞬でも思った俺が馬鹿だった。というよりも俺だけが馬鹿だった。
【依頼内容】3日目の夕暮れまで南の島で過ごすこと。ただし、ここは男子禁制の島である。女性しかこの島にはいない。男子が他の住人に見つかってしまうと即座に逮捕、最悪の場合当日処刑される場合がある。
「な、なんで俺をこんなところに連れてきた! と、とりあえず他の住人に見つからないように隠れなければ!」
○ ○ ○
ミミ&ダリア
「ビーチボール持ってきました! 行きますよ、ダリアさん! そーれ!」きゃっきゃ
「はーい! それ!」きゃっきゃ
「わぁ! ちょっと高いです!」きゃっきゃ
俺は遠巻きの草陰から、ひっそりと二人がキャッキャ遊んでいるところを眺めている。決して俺は変態ではないぞ、なんせここは……
「女人島だったとは」
よく見ると他の女の子たちも砂浜で遊んでいる姿が見えた。みんな水着で水着で水着を着ている。本当に水着で水着で水着をきているぞ。可能であれば俺もあの中で一緒に遊びたい……
はぁ……
俺はため息をついた。ミミとダリアがかわいい水着をきて遊んでいるところに参加することができないなんてなぁ。
ミミは白いビキニを着ている。水色のツインテールと白ビキニ、なんて攻撃力だ。小さい胸以外は超絶文句のつけようがない。
逆にダリアさんはオレンジ色ワンピース風の水着を身に着けている。いつもきつめな性格な彼女も、このビーチの上では非常にかわいらしい女の子だ。といっても二人とも人間ではない。見た目は20代でも実年齢では200歳は過ぎているがな。
【依頼内容】3日目の夕暮れまで南の島で過ごすこと。ただし、ここは男子禁制の島である。女性しかこの島にはいない。男子が他の住人に見つかってしまうと即座に逮捕、最悪の場合当日処刑される場合がある。
あのコテージに行けば間違いなく俺は、捕まってしまう。俺だけバカンスができないなんて、二人にとってはバカンスでも俺にとっては地獄じゃないか……
ミミとダリアはあんなに楽しそうに、遊んでいるのに俺は住民に見つかる事さえ許されない。二人は豪華なコテージで泊まれるのに、俺は3日間も人にみつからないように過ごすなん……。これでミミとバイト代が同じなんてあんまりだ。
(この前のオークの世界で逃げ切るのは飽き飽きなんだよ……。どうして俺はこんな場所でこそこそ二人が遊んでいるのを覗くことしかできないのか? まあ人によっては最高だと思が俺は……)
「きゃあ! 水着の肩ひもが取れちゃいました」
(この世界で俺は二人が遊んでいるのを覗くことしか……)
「きゃあ! 今度は下の方の水着の紐が!」
(覗くことしか……)
「お水の中でおしくらまんじゅうしましょう! さあ、お尻とおしりを合わせて……」
(……)
俺は無事二人がコテージへ帰っていくまで、遊んでいるところを見守ることしかできなかった。




