第十一話 異世界転生アルバイトの報酬
天界 ミミのおうちにて
「……てことがあってさ」
「……そうだったんですね」
「うう……俺の……初めてが」
「まあまあ、そんなこと言わないでくださいよ。童貞は捨てるものじゃない。守るものだと誰かが言っていましたよ」
「ロリ&吸血鬼&美少女&巨乳……」
「あの、なんか一つ多くないですか? ほらそんな事より、今日わたし、自信作の美味しいパンが焼けたんです。128層クロワッサンです! どうですか? 美味しいですか?」
「もぐもぐ……うぁあ!美味しい」
「将大様に気に入っていただけて嬉しいですわ」
「ミミさんのバイトってパン屋さんなんだよな……このパンひとつひとつがその小さくて可愛い白い手で作られると思うと……良い」
「小麦粉を使うので自然と手は綺麗な白色になるんです。パン屋さんで働くメリットのひとつでもあります」
疲れた体にミミさんの癒しがグッと伝わってくる。
「ミミさん……俺……明日も頑張るよ」
「頑張ってくださいね! 応援をしております! あ! このパンをちぎってトマトのミネストローネにちょこんとつけて食べるとすごく美味しいんですよ」
「あ、トマトはもういいです。前の世界で飽きました」
「でもすごく美味し……」
「い! ら! な! い!」
〇 〇 〇
次の日 天界 ミミの住むマンション
「お、おはよう、ミミさん……」
「ムニャムニャ……生地ををモミモミ……」
(宿泊代節約のため泊めてもらってはいるが俺は男だ。一応ミミさんのベットとは違うソファーの上で眠っていたが同じ家の中で男女が一晩を過ごすってなんか無防備すぎないか?)
「全然起きない……」
(流れる様な白く長く綺麗な銀髪……天界の女神見習いといっても容姿はかなり綺麗だと思う。胸は絶壁ですが)
「ムニャムニャ……にゃあ」
「にゃあ? あの……ミミさん、寝ぼけているんですか?」
「頭を撫でてくれないと起きないにゃあ」
「え?」
「はやくう!」
「あ、はい」 なでなで
「えへへ、可愛いっていってくれないと起きないにゃあ」
「ミミさん、可愛いよ」
「じゃあ、目覚めのキスをしてくれにゃあ」
「ききききき! キッスぅ?」
「ん……早く……して……」
(寝ぼけているのかガチなのかがわからない。キスしたい気持ちを抑えて、ここは放置だ……童貞の感が叫んでいる。こうなりゃ俺は……)
「貧乳」
ピク!
ムクリ!
ゴス! ゴス!
「ぐはっ……」
「「誰が絶壁まな板いやどちらかと言えば反対側に歪曲してるって?」」
(起きた。0.5秒もかからない速度で俺の腹をゴスゴスしてきた)
「いっててて、だれもそこまでは言ってませんよ」
「あーそう。じゃ、そゆことで……ぐーぐー」
「あの、ミミさん。仕事は?」
「今日わたし遅番だからだからまだ寝て……頑張って……ぐーぐー」
「…………。行ってきます」
〇 〇 〇
天界 将大のバイト先 快晴
「ダリアさんおはようございます」
「ええ、おはよ。さあ席について、今日の仕事の説明をするわね」
「ありがとうございます」
「さっそくだけど、クエストの説明をするわ。今日は午前と午後で異世界に二回行ってもらうから」
「まさかの二回転生!」
「まず午前中だけどまず三日間滞在してもらうわ。天界の時間にしたら約3時間くらいと言ったところかしら」
「……貰えるお金が異世界に行っている時間分欲しいなぁ……」
「はあ? できるわけないじゃない! 馬鹿な事言ってないで、ちゃんと働きなさい」
「ですよね……ちなみに今日はどんな世界に行くのですか?」
「次の世界のクエストは『モテモテ!? でも恥ずかしがり屋な僕はお見合い結婚を断ります!』よ。内容はあなたを領主の息子として転生させるから、必ず三日間女性の誘いを断ってくるのよ」
「え! 女性の誘いを断る? そんなことできません。ぜひお受けしたいです」
「もう一度言うわ。次の世界は女性の誘いは断りなさい!」
「はっはっは! 残念ながらそのつもりはないよダリアさん! 俺は次の世界で最大限に楽しんで帰ってくるぜ! 昨日できなかった夜の営みなんかも好きにやっちゃって……」
「はあ……好きにしなさい。開け異世界の扉!」
ふわっ
将大の身体が徐々に浮き、異世界の門へ入っていく。
「じゃあ行ってきます! モテモテワールド! 楽しみだ!」




