幸せってこういうこと
ずっと望んでいた。あなたのとなりに僕自身がいることを。
いま、僕のとなりにあなたがいる。
想像なんてできていなかった。
こんなにもキラキラ輝く日常があることを。
「さぁ、食べよう」
テーブルいっぱいに並べられた料理はおいしそうで、きれいな人だし、助けてもらって不快感はないけれど、この状況に私をより一層困惑させる。
「体調悪い?嫌いなものないって言っていたよね?」
「言いましたけど、あの・・・」
「助けたときに力入っていなかったでしょ。だからほら…迷惑?」
シュンとした表情がロキ(犬)を思い出す。さっきまでロキの夢を見ていたせいだからだろうか。
「…。いえ。」結局こう応えてしまった。
そう言えばロキにもこんな風に言い含められていた。犬だったからしゃべらなかったけど。
あのシュンとした表情に、ダメなんて言えたことがない。
まぁそれは一緒に寝ようだったり、お散歩行こうだったり、行かないでって服を引っ張ったり、とにかく可愛いわがままだった。
いま思えば、そういうときはいつだって私の感情が揺れていて、様子を窺いながらいたずらをするのだ。
あの時だって、私の服を噛んで引っ張って必死に警告していたのに。
この想い出は私の涙腺を緩ませる。
あぁ。現実逃避しても何も改善されない。
膝に乗せられ、あーんって言われて食べさせてもらっているこの状況。あまりにも嬉しそうで、キラキラ輝くから、発することのできないこの言葉「自分で食べます」
早く食べ終わればこの時間もすぐに過ぎていくはずだ…。
正直に言おう、味はわからないし、永遠と感じるほどの時間だった。
「あの、これ以上はご迷惑をかけられません。」
「どうして?もしかしたら、夜、体調が悪化するかもしれない。何かあってからでは遅いでしょ。」
押し問答の末、結局押し切られた。
「あぁ、着替え?姉のものがあるから使ってよ。パジャマに、化粧水、お化粧まで置いてあってね。仕事でよく泊まりに来ているから。」
あいまいに笑うしかなかった。
しかも渡されたものは有名なブランドのもの…。自宅といい、備わっている家具といいお金持ちだと思う。
一生見られないイケメンだし、ロキ(犬)に似ているし、こんな幸運もう起きないだろうし。今日だけ。今日だけ流されても。
「ここの部屋使って。先にお風呂入ってきなよ。はい、これタオルとパジャマ。明日は仕事でしょ?」
「あ、ありがとうございます。」
お風呂も大きいし、なぜかバラの香りがする…。こういうこと普通の人がやると気持ちが悪いけど、ロイさんだから許せてしまう。
「ほら、入っておいで」そんな笑顔で圧力かけないで。




