勝手に始まったお茶会
結婚っていう響きに自然と嬉しくなる。
なんてかわいいのだ。
僕のお姫様。ずっと一緒にいようね。
「エリンさん。どこの国の方?ご両親はどんなお仕事をされているの?」
王妃様からの質問の意図はこの結婚に異議を唱えるものだ。私も最もだと思う。
「私は、リトスタン国出身です。両親は農業を営んでいます。」
王家に身分は絶対条件だ。
「そうなの。ロイとはどこで知り合ったの?」
「ロイ様とは、私が階段から落ちそうになっているのを助けていただきました」
「ずいぶん運命的な出会い方をされたのね。」そう言って、王妃様の目線はロイさんに向く。
これって、俗にいう婚約者が気に入らないという湾曲的な表現だと思う。
「ロイ、その…ずいぶん近いんじゃないのかい」王様がロイさんを注意する。
ロイさんのいる位置はいつもよりは離れているから気にしていなかった。
「もっと近づきたいくらいです」そうぬけぬけとこの王子様はおっしゃる。
私は少しずつ椅子を横にずらすが、ロイさんはそれの倍くらい近づいてくる。早々にあきらめた。
「エリンさん。もしかして、結婚の話聞いてなかったのではなくて?!ロイが無理やり連れてきたのでしょう。」そうなんですと声を発しようと口を開こうとするが声が出ない。どうして?もしかして横をみるとロイさんが笑顔で私を見ている。
「でもね、私たちは賛成よ。結婚式はいつにしましょうか。」
「すぐにでも。」ロイさんが話を進めていく。まって!!
「ロイ。女の人には準備が必要よ。結婚って一人じゃできないって言ったでしょ。」
「どれくらい必要なんですか?」
「そうね。3か月は必要よ。ドレスとか、招待リストの作成とか招待とか。何よりも新居は?」
勝手に進んでいく話に、ロイさんの口をふさごうと実力行使した私の手をつかみ、そのまま恋人つなぎにされた。
まぁ。と王妃様は目をそらしながら王様の方をみる。
「ロイ。仲がよいのはいいが、場所を弁えなさい。エリンさんも戸惑っているだろう。だが、こんなに仲の良さを見せつけられたら、結婚を許さざるを得ないな」
国王様にも味方にはなってもらえず、私は話すことも抵抗もできず、結婚に向けた話し合いが進んでいく。
「また遊びにきなさい」という王様の一言で幕を閉じた。
気付けば逃げ場がなくなっていた…。