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サク、ロイの父side視点です

「ロイ様、いつご報告なさるのですか。すでに婚姻状態だとお見受けしておりますが。」

無視されることは予想通りだったけど、表情をみて驚いた。ほそく笑んでいる。

「結婚なさるのであれば、ご報告しなければなりません。まだ結婚しないおつもりですか。」

だれが見ても嬉しそうだ。

「いや、今から行くから伝えてくれ。」

「今から?私よりロイ様の方が…(早く着くでしょうに。)ハハッ」

ロイ様はすでに姿を消していた。

予想通りですよ。ロイ様。

ロイ様よりも一足早く鳥を飛ばしておいたから、着くころには大事にはなっていないだろう。

「はぁ・・・」これから起こるであろう事態にため息がもれた。


「おお。ロイ。おかえり。ずいぶん早いじゃないか」

私は内心の動揺を隠しながら、突然現れた息子を出迎える。

「ロイ、おかえり。あら?嬉しそうね」

微笑む妻も息子同様、突然現れ出迎えた。

私には、息子の表情は1ミリたりとも動いているようには見えない。

「ただいま帰りました。父上、母上息災でしたか。」

「あぁ。問題は山積みだがね。突然どうしたのだ。」

「朔に言われて、報告に参りました。結婚しようと思います。」

朔の伝書鳥には、『主帰宅。重大報告あり』と書かれていただけで、よもや結婚とは…

突然のことで、私はすぐには反応できなかったが、妻が即座に反応した。

「ロイ。結婚は一人ではできないものよ。」

もっともだと、私は何度も頷いた。

「わかっていますよ。」

女の人と付き合うこと、いや、話すこともなかったロイが、結婚??

「それで、相手のお方は?」

「母上、父上。今連れてきますので、お待ちください」

「おい、ロイ」

すでに息子は消えていた。

「朔、どういうことか説明しなさい」

朔の気配を感じ、私はすぐに問いかけた。

「はい、陛下。実は…」

ロイが戻ってくるあいだ、今までの出来事について順を追って報告される。

朔の話は事実のみを報告するため、息子や相手の状況がわからない。

幸いにも妻は、嬉々としてそれらを受け止め喜んでいる。

すでに、一緒に住み婚姻していることも報告され、私はただ黙って聞くことしかできなかった。

私が不測の事態にいかに役立たずであるかを思い知らされる時間であった。


1時間後、息子が連れてきた女性は、こう言っては失礼であるが、至って普通のお方だ。

一番驚いたのは、息子がその女性に笑いかけ、キスまでしたことだ。

どこからかあふれんばかりの花が舞い、ソファや私たちが浮き上がるなど周囲で起きていることには、息子は全く気にも留めず、ひたすらにこの女性を見つめている。

先が思いやれるなとため息をこぼしながらも、喜んでいる私がいた。

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