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プロローグ
不定期連載です、よろしくお願い致します。
王国歴999年1月1日、この日にその報告が来たのは必然か、あるいは偶然か。
1人の兵士が入室確認も忘れ、生き残りの貴族当主勢と大臣達の揃う謁見の間へ飛び込んできた。
「報告します!前線部隊は最終防衛戦を残し壊滅しました!」
「やはりか……」「息子よ……」「兄上……」
平和な世であれば新年を迎え祝う日であるが、建国千年を目前としたこの日は、人類滅亡へのカウントダウンが開始する日となってしまった。
「陛下、もはや手段を選ぶ猶予はございませぬ」
宰相が進言するのは、召喚の儀。
ただしそれの発動には召喚する人数に応じた若き乙女の贄を要し、またその贄は最低十年の修行をもって資格を得る。
貴族はその爵位に相応しい贅沢を許される反面、男は軍への所属を、女は贄としての修行を義務とされる。
当然のことながら王女はその贄の筆頭であるのだ。
「陛下、御決断を」
令和4年某日、彩乃学園高等部の教室で40人の生徒と教師が消えた。