我が故郷は遙かなり
緑の山々 青き風
輝く川 清んだ音
野兎を追い 山道を駆ける
毛針を流し 川魚を釣る
網を振るい 蜻蛉にからかわれ
雪が降れば 仲間たちと合戦
青春はそこにあった
二両編成の列車
あぜ道を自転車で走る
朝焼け 夕焼けの眩しさ
小さな駄菓子屋
ご近所で出掛けたお花見
夏の大花火 一日だけの縁日
中秋の名月 お月見泥棒
夜更かしが許された元朝参り
何もかもがそこに詰まっていた
だが仲間たちは
一人離れ
一人離れ
自分も離れ
それでいいんだと思っていた
振り返ると心の中に吹きすさぶ風
故郷は冬の景色に煌めく
帰りたい
帰れない
帰ろう
また今度──
小さくも 暖かい家
我が故郷は遙かなり