表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/11

ハーティアの大森林

 スキルの勉強を初めて、2年がたった。

 ユリィとも遊びつつ、子供なので時間が沢山あったので色んなことを試していった。


「トーリくんはやっぱり強いね!」


 今日はユリィと体術練習だ。

 スキルがあるとは言え、身体能力に影響するなら練習しといて損はない。

 あれからずっとやり続けてるうちにユリィもしたいとなり、ついでに教えながらやることになった。

 気づけばユリィも結構動けるようになっていた。

 お陰で遊びながらできるから良い。


「ユリィもどんどん動きよくなってるよ! 凄い!」


 子供なので力はないが足捌きや反射など、かなり動けてきている。


「………ねぇ、あなた」


「なんだ、母さんよ」


「あの子たちってやっぱり天才かしら!??」


「多分そうだな! 天才だと思うぞ!」


 その様子を見ていた両親はいつも騒いでいた。

 いかんせん、ほかに出来る人がいないから基準がわからない。

 まぁでも客観的には動けてる方ではないだろうか。


「初めの頃はごっこ遊びかと思っていたがなかなかどうして。あれくらいなら町の外も大丈夫だろう」


「……大丈夫かしら?」


「大丈夫だろう。魔物もこの辺ではいまのところ居ないし、森の方は行けても入り口までだ。それにあの子も賢いからね。その辺はしっかりしてるだろうよ」


 どうやら、オッケーみたいだ。

 まぁ魔物とか居たら許可なんてないだろうから、余程安全なんだろうな。

 ちょうど気になってたし、これ終わったら見に行ってみよう。


「隙、ありっ!」


「おおっと!? あぶない、あぶない」


 意識が会話の方に行ってたのでユリィの攻撃当たりそうだった。

 声あげなかったら当たらなかったけど。


「もう、避けないでよ。トーリくん」


「じゃあ声あげなかったらいいのに」


「あ、つい……」


「ユリィらしいね。じゃあ今日はこれだけにしておこう。いつもありがとうね」


「ううん、私も好きでしてるだけだから♪ じゃあ、今からお母さんのお手伝い行ってくるねー!」


 元気よく、ユリィは自宅に帰っていった。

 そういえば畑仕事あるって言ってたしね。

 ウチはこの前したから、とりあえず森の入り口行ってみるか。


「今から森の方見てきていいー??」


「おお、気をつけていってこいよー! ただ奥に入ったらダメだぞ」


「わかった!」


 さて、じゃあ向かいますか。

 村から少し出たところ。

 本当にすぐ近くなのだが、未開の地であり大人でもあまり入らないとのこと。

 森の中には危険な魔物や生物が存在し、奥地に行けば行くほど資源はあるが危険がある。

 そこの開拓が出来ず、未だに国に属することが出来ないみたい。


 僕は村を少し出て、眼前に広がる広大な木々を目指す。

 子供の足でも10分くらいでついた。


――未開の地 森林入り口――


「いかにも鬱蒼とした森だ。たしかに奥から色んな気配を感じる」


 森の入り口ですら、かなりの存在感を感じる。

 まだ人類が到達出来ていない未開の地。

 そして、何より開拓が進まない理由は…。


「方向感覚を狂わせる迷いの森か。この先に何があるんだろう」


 そこ好奇心が現れた。

 少し入ってみたい。

 僕には察知のスキルがある。

 奥まで行かなければ大丈夫。

 そう思って、森の中へ足を踏み入れた。


 その瞬間だった。


(お待ちなさい。ここは人族は立ち入り禁止です)


「!!!?」


 な、なに!?

 急に声が?


(小さき少年よ。ここはハーティアの大森林です。人族が入れるような場所ではありません。私の声が聞こえるならすぐさま立ち去りなさい)


「声が聞こえる? どこから? 立ち去る?」


 頭に響く。

 とても綺麗な声だ。

 悪意を感じない。


(私の声が聞こえるのですね。少年よ、ここはあなた方が来ていい場所ではない。すぐに戻りなさい)


「この声の人は誰、なの?」


(私はハーティアの大森林の管理者であり、この先の危険に資格なき者を入れるわけには行かないのです)


「ハーティアの大森林……資格?」


(あなたは近くの村の子供ですね。あなた方ではこの大森林を通ることは不可能です。今すぐ帰りなさい。ここは魂の拠り所でもあるのです)


 魂の拠り所。

 まだまだわからないことたくさんあるが。

 なんとか話にはなりそうか。


「魂の拠り所? もしかして冥王と関係が?」


(……冥王を知ってるんですね。……いや、その気配は貴方は冥王ですね。そうですか、この世界に新たな後継者をお連れなさったのですね)


 バレてる?

 流石は管理者か。


「まだまだ見習いの冥王ですよ」


(ふふふ、そうですね。ですがようやく冥王と会えたのは嬉しく思います。けど、もう少し大人になってからの方が改めていいでしょう。また成人になったら来てもらえますか?)


「わかりました。またその時来ますね」


 僕はここで踵を返し、村に戻ることにする。

 どうやら、大人になるまではしばらく訓練するか。

 色々知ることがあるようだ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ