精神的トレーニングはやはり鬼
あれから数ヶ月が経った。
鬼のように過ぎ去っていくため、気づけばだった。
今までなにをしてたかというとひたすらのランニングとダッシュ。
ようやく伍ノ橋にも慣れてきて、さらにその後の素振り、打ち込み、体捌きの常に基本を行なっている。
(あんまり変化を感じないんだけどね。まぁ唯一感じたのは…)
体が少しずつ大きくなっていることだった。
当時は5歳くらいの体格だが、10歳くらいにはなったかよようだ。
(エンネさん曰く、身体能力の成長と共に体が大きくなるみたい。ここは年の概念はないが、時間の概念はある。不思議だ)
「橙里さん、橙里さんの身体は大体10代後半でこの世界では身長面などの身体的特徴は止まります。想定通りの成長をしていますね」
「あ、エンネさん。ありがとうございます! あといつものトレーニングは終えています!」
「本日より少しきついトレーニングをプラスします。もちろん、今の訓練も引き続き行ってください」
エンネさんの少しきついって基準いつもながら困る。
この人のきついって概念が弱過ぎてただただ恐ろしい訓練になる。
流石に長くエンネさんの訓練を行ってるので分かってきた。
「では、ついてきてください。あちらの森へ行きます。今までは立ち入り禁止にしていましたが、今回より許可します」
あの森入ったらダメってずっと言われてたから気になってた。
まぁぶっちゃけ怖いけども。
「わかりました」
エンネさんに着いていく。
森の中は鬱蒼とはしておらず、むしろ自然をかなり感じる。
神秘的と言っても間違いはないと思った。
全てにおいて澄んでいる。
「冥界って凄いな。って……あれは?」
「あれが今回からの訓練です」
さっき言ってた神秘的や澄んでいるは撤回したいと思う。
本当に冥界?
目の前に広がるのは。
「禍々しい沼に辺り半面は焔、半面は雪景色。おかしくないです?」
冥界だからってことで片付けられない気がする。
何よりこれから行う訓練が怖い!!
「本来はこの森は入ってきたところ同じなんですが冥王様にお願いして特別に作ってもらいました。状態異常耐性と精神力強化の名目で♪」
あ、殺されるのかな?
いや、わりと本気で。
「まずはあの沼、毒の呪い沼に入ってもらい、精神統一をしてもらいます」
「いや、それただの自殺行為では……?」
「大丈夫です。冥界では死ねません、すぐに身体は戻ります。かと言って苦しさはありますが」
「この訓練の意味は……?」
「精神統一ですよ。ではどうぞ」
トンっと背中を押された。
か弱い力ならそれで倒れることはない。
けど、あの鬼メイドなので見た目以上にパワーがある。
油断してる僕にはそれを支えられることもなく。
ドボン。
あえなく毒の沼に落ちました。
絵面だけで見たら虐待超えてるよね?
「あ、思ったより苦しくない。え、いや、嘘です。なんか苦しいような……」
「それではしばらくそのままで耐えていてくださいね」
これくらいの苦しさならなんとか耐えられる。
そう思ってたあの頃が懐かしい。
このクダリ何回したかな。
立ってるのがキツくなってきた。
というよりも全身に力が入らない?
「なに、これ……もうダメ……」
そこからはもう意識なかった。
走馬燈のような感じる。
意識なくなる訓練しかしてないのが?
最近慣れてきてたから油断してたよ。
あ、死んだじいちゃんが呼んでる。
いかなくちゃ!
「はっ?! ようやく天国!!」
「お帰りなさい、橙里さん。ここは冥界です」
「ですよねー」
「だいぶ耐えれましたね。この調子で極寒耐久訓練、炎熱耐久訓練、毒沼や麻痺などの状態異常耐性訓練を各4時間ほどローテーションしてランニング、素振り、体捌きといきましょう」
ん?
なんかおかしい言葉の羅列が聞こえたなー。
気のせいだよね?
ずっと思ってたけどエンネさん、僕の方殺そうとしてるよね!?
「いえ、してませんよ♫ チート能力を持って転生したいとおっしゃっておられたので転生先でそうなれるよう冥王様の配慮です。もちろん冥王候補としてもありますが」
夢見たのはこう神様がパパッとしてくれるそんなことだった!!
けど、
「やってやる、ですよー!!」
「その意気です」
まだまだ続く訓練課程。
いつになったら転生するのだろうか。
続く
簡単にチート能力は手に入らない!
努力した先にある!!
でも楽して手に入れたいですよね。。