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簡単にチート能力ほしかった

 冥界の冥王居住城。

 連れてこられた場所で始まるのは訓練だそうだ。


「さて、基本的には知識と技術、機能向上を主にしてもらうけど、まずは毎日この目の前の湖にかかっている橋を1往復走ってもらうね」


「湖、ですか? えっと、この?」


 目の前に広がるのは海と思っていたが

 どうやら湖らしい。

 しかも橋あるけど、先見えない。


「そうだね。いま橙里は身体は小さくなっている。それに慣れるという意味でもある。そして、まずは基本は身体作り。この橋を往復してもらうよ。距離はえっと、橙里の国基準で往復40kmくらいだね」


「わー。。中々凄い橋ですね。えげつない長さです」


「橋の中では一番短い距離なんだけど、まぁ後々は距離も伸ばして行こう」


 何か変なフレーズ聞こえた気がする。

 ここは冥界。

 どうやら、元いた国の常識は通用しなさそうだ。


「そしてしばらくはこのエンネを橙里の指導役として任命する。ある程度ついていけるようになれば私が行う。エンネ、頼むよ」


「承知しました、冥王様」


「よろしくお願いします。エンネさん」


「はい、ついてきてくださいね」


 もちろん、と僕は思った。

 何よりこんな美人な人に教わるなんて、前世ではなかった。

 とても優しく教えてくれそうだ。


…………………数時間後


「そう思っていた頃が懐かしいな」


「はい、もっと早く!! こんなスピードや体力では往復するのに1日じゃ足りませんよ!」


「は、はいぃぃぃー!!!」


 優しくなんてなかった。

 僕は今走らされている。

 あれからすぐに。

 そして何より、速度を落とすと。


「速度、落ちてますよ! まだ10キロにも達していません!」


「ひ、は、はいーーー!!」


 木刀を持って追いかけられる。

 今より落としたらほんとに叩かれる。

 前の世界ならこれ虐待って言われるよ!?


 それに、エンネさんはメイド服でスカートなのに平然と走ってる。

 おかしくない?


「橙里さん、立派な冥王や立派な転生者になるには、一に体力、二に体力。全ての基本です。聞いていますか?」


「はぁ、はぁ、はあ、き、きいて、ます、よ」


 いやいや、考えてね。

 こんな状況で聞ける訳ないと思う。

 そして何より橋の対岸がまだ見えない。

 半分過ぎたんだろうか。


 延々と走り続けることさらに数時間。

 僕は対岸でぶっ倒れていた。


「半分でその有り様ですと、先が思いやられますが、これも扱きがいがありますね」


(お、鬼メイド……)


 しかし20キロでこれか。

 体力なかったんだな、僕って。

 この小さくなった身体ってのもあるだろうけど。

 というか普通、転生って最強の身体とかもらってハーレム無双するんじゃないの?

 何かおかしい気がするし、何より。


「この5歳くらいの身体でこの距離って、おかしい、ですよね?」


「? なにを言っているのですか。ここは冥界ですよ。特に問題はないです。それにそのくらいからしていく方が数年後、恩恵にあずかれるというものですよ」


 本当だろうか。

 でもこれで確信する。

 ここは元の世界とは全く違う常識だと。


「はい、では戻りますよ。このままでは日を跨いでしまいます。はい、ダッシュダッシュ」


「ひぃぃ! もう少し休憩をーー!!」


 今から残り20キロ。

 短いような長いような。

 フルマラソンしてる選手って凄い。


 そしてまた行きと同じ木刀を持たれ後ろから追いかけられました。

 うん、死ぬ。

 あ、死んでた。


 そこからは記憶がない。

 気付いたらベッドの上だった。


「はい、おはようございます。意識戻られましたね」


「え、えっと僕は……?」


「ゴールしたら倒れられました。いい倒れっぷりでしたよ。食事をしたら今日もランニングです♪」


(お、鬼メイドー!!!!)


 どうやらしばらくはランニングばかりになりそうだ。

 正直、今は少し後悔。

 チート能力いらないかも!と。


―あれから数週間―


 来る日も来る日もランニングだった。

 少し慣れてきた。

 慣れって凄い。

 40キロマラソンのタイムもだいぶ短くなってきた。

 倒れる回数も減った。

 やれば出来る!


「はー、ふっ! ゴール!」


「この距離はもう十分でしょう。これで基礎の基礎は可、ですね。明日からはニノ橋に挑戦しましょう」


「………何キロあるんですか?」


「一ノ橋の2倍ですね。大丈夫です、この積み重ねは橙里さんが転生する世界では必ずプラスとなります」


「それ前にも言ってましたけど、なんのプラスになるんですか?」


 エンネさんは少し考える素振りをする。

 少し、間を空けて。


「ここで得た経験や能力は次の世界では数値や魔法、スキルとして変換されます。もちろん今のままで言ったら多少良いくらいでしょうがある程度腕の立つ相手にはすぐ負けます」


 なんだかゲームみたいなものだろうか。


「要はここで得た経験や能力を転生後の世界に引き継げるということですか?」


「そうですね。そちらの世界で例えるならどんなRPGも1週目は大変でしょう? 2週目から能力引き継いで強くてニューゲームみたいな感じです」


 やっぱりそうみたいだ。

 つまり今は1週目ということで頑張らないとダメなんだ。


「わかりましたか? では休憩は終わりです。今からこの棒を持ってください」


 長くて細い棒をどこから出したのか僕に手渡した。

 見た目は軽そう。


 けど。


「やっぱり重いーー!!」


「なに言ってるんですかたかだか10キロの重さですよ」


(いやいや、僕の世界で5歳でこんなの持たすひと居ませんよ! 長いし重いし! あ、でも思ったより持ててるのはびっくり)


「これを1000回素振りしてください。この石をその棒で叩くとカウントされます」


 石に数字が刻まれていて、いまは0となっている。

 流石は用意がいい。


「これが終わったら明日からニノ橋と素振りを続けていきます」


「………わぉ」


「返事は?」


「はい! 喜んで!!(この鬼メイドめー!!)」


訓練編はまだまだ続く

美女のメイドさんにこんなんされたらやりきれるだろうか。

いや、いける??


のんびり更新していきます!

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