管理者の言葉
「トーリ! おまえ、いつのまに!? というかなんだ、いまの戦闘は?」
「た、たまたま?」
うん、無理のある言い訳だ。
父さんすでにパニクってるし。
「母さんや! トーリが! 大の大人を!?」
「あらぁ、トーリこんなに強かったのね…。ユリィちゃんは知ってたの?」
母さんは割と落ち着いていた。
いや、凄いな。
「うーん、いつも凄いからよくわかんない♪」
「それもそうね。でも、トーリ、みんなを守ってくれてありがとう」
母さんが僕に頭を下げたあと、ギュッと抱きしめた。
それをみて皆が我に帰り、口々にお礼を言ってきた。
「しかし、何故、このような子供が強く? 仮に何かしらのスキルがあったとしても大の大人、ましてや山賊を簡単に倒してしまうなんて…」
「確かに、トーリは家の前に置かれていた子供だ。俺たちとは会得出来るスキルが違うはず。それに偶然だがその1年後にはユリィが産まれている。何かの変動なのか?」
まぁ実は数百年、冥界で訓練してました。
転生してきました、なんて言えない。
さて、どうしよう?
そう悩んでいたその時だ。
(村の民よ、お静かに)
声が響いた。
ちょうどさっきまで聞いていた声だ。
村の人達は何事だ? と慌てていた。
(私はハーティアの大森林の管理者)
「え? だれ、管理者って?」
「ハーティアの大森林ってあの未開の?」
「か、管理者様!?」
口々に驚きが聞こえるが、1つ知っていそうな声があった。
この村の長とご年配の方々の一部。
(久しいですね。村長。我らが盟約を守っていてくれて感謝しています)
「いえ、この土地を魔物から守ってくださっているのは管理者様です。我らは……」
一部のご年配方は膝を付き、こうべを垂れた。
(いえ、その代わり村の者が国に属せないのですから。頭をあげなさい)
「は、はい! しかし、その管理者様がこうして皆の前に現れるなんて…」
(それは彼の者、トーリに改めて会いにきました)
一斉に目線は僕に来た。
ちょっと、それは怖い。
「トーリ、にですか?」
(はい、先の戦いを見て改めて確信しました。あの者があなたをこの村に連れてきた理由も)
管理者様は僕の前に降り立つ。
そして膝をおり、こうべを垂れた。
え?
なんで?
みんなびっくりしてるけど!?
「管理者様!? それは一体……」
(トーリ、もうこの場で明かさせて戴きます。あなたが私のところに来た。もう運命なのでしょう)
いや、だから何を。
理由を教えてよ!
ってほんと思う。
(トーリは、いえ、トーリ様は冥王様になられるお方です。魂の管理者であり、すべての命の王)
「トーリが冥王、だって……まさか伝説の?」
(そうです。それが証拠にここに命が1人産まれたでしょう。今は子が出来にくいとされているのに、です。冥王たる証明の1つでしょう。トーリ様は【冥王】のスキルを持ち、正式に受け継いでおられます。トーリ様、鎌をお見せください)
そんなにこの世界って冥王ってなんかあるの?
まだまだ知らないことばかりだ。
けど、もう隠しようがない。
僕は手に冥王の鎌を顕現させた。
それを見て、冥王伝記を知る長老達は腰を抜かしていた。
なんかごめん。
(これが確固たる冥王の証明。トーリ様はこの世界の救済主になっていただければいけません)
「け、けどトーリはまだ子供で…! 冥王だとか信じられません!」
お母さんが声をあげた!
びっくりしてる。
珍しい。
「これ! 管理者様になんて失礼な!」
(良いのです。ですが信じる信じないはもう関係はありません。それほどまでにこの世界は異常をきたします。まだ大丈夫ではありますが、トーリ様が成人するまでは)
「で、でも!」
「お母さん、大丈夫だよ。僕は冥王となるべくしてここに来たのだから。まだ冥王って分かってないけど、物心ついたときにはこのスキルがあった。だからこそ、それを活かす。村のためなら」
(あと数年待ちます。トーリ様が18歳になった時、改めて。それまでは色々とお考えください)
そうして、管理者さんは消えた。
村には静寂が訪れる。
「トーリ、まさか冥王とはの。ワシが生きてる間にこのことを聞くとは。トーリの父母にトーリよ。村長室に来なさい。訳を話そう」
そうして、普段は立ち入りが許されていない村長室に行くことになった




