第十五話 過去編 村まで
少女が目を覚ました瞬間の事だった、アピンが突然目の前から姿を消した。そして少女が話し始める。
「おいおい、俺タイ語全く分からないぞ?」
と言う光だったが、話してみると、日本語のようにペラペラ口から出てくる、そしてタイ語もすんなり理解できるようになっていた。(多分、カルマの目の力だ。)と思う、光だが、状況は、思わしくなかった。(どこの村かも分からない所に、見慣れないかっこをした、おっさんと少女、しかも、裸。神様。俺って呪われているのか?)とひそかに思う、光だった。とにかく彼女と話をしてみよう。
「こんにちは。お嬢さん。」
「こんにちは。」
「お嬢さん名前は?」
「ウェル」
「何処から来たの」
「空」
(あかん。会話が成立してない、第一、空ってなんだよ。この子バカにしてるのか?これじゃあ、アホなAIと話してる方が、まだ話してて落ち着くよ。)
と、少女にとって失礼なことを思ってしまっている、光だったが、こればっかりは、幼い少女に行っても仕方がなかった、それよりも、(今はアピンが居なくなってしまって、どうやって帰れば良いか分からない。仕方がないから彼女を村まで送って、それから、アピンを探すか。どうやらタイ語は分かるようになったみたいだし。)と思う、光だった。
「ウェルちゃん。君の村ってどこかな?」無言で、指だけさす彼女に、ちょっとムッとする光だったが、それも仕方がなかった、この第三世界で、生きて行くには、それなりに警戒をしていなければいけなかった。しかも、(夏なのに熱くならない季節って、日本にもあったな。そんな時は、野菜が不作になって、食べるものが無くなるんだってな。)
と思っていると、ウェルが、急に止まり、話し始める。
「この夏も、暑くならなかった。不作の年、二年目。また大勢死ぬ。悲しいよ。」と光の腰のあたりに顔をうずめて泣き始めた。
「大丈夫、お兄ちゃんが何とかしよう。」と光は、自慢の力こぶを見せる。
「おじさんが何とかしてくれるの?どうやって?」と、光に聞くが。。。
どうしよう。。。と考えているときだった。不思議な心地のいい、メロディーが耳の中。というより、頭の中に響いてきた。「毎度!アピンだよ。」といつものアピンの声が聞こえた。
「光~~アピン今、この子の頭の中に居るよ。」とアピンの声が、聞こえてきた。
「え?この子って、この女の子の中か?」
「そうだよ。この子によると、宇宙から来た俗にいう宇宙人だって言ってるよ。」
「え?で、アピンはその事を信じるのか?」
「信じた方が、面白いじゃん!!」
「(汗)」
「とにかく、出てくることできるか?」
「無理っぽい、さっきから出ようと努力してるんだけど……(汗)」
「無理って、いったいどうやって帰るんだよ!!」
「とにかく、この子をこんなところには置いておけない、村まで送ろう」
というと、二人、いや正確に言うと二人とお荷物さん一人は、村まで歩くことにしたのである。