表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/34

1番 相川 陽一

相川(あいかわ) 陽一(よういち):サッカー部所属。ここ一番で失敗する。

 幼少よりサッカーを嗜み、いつかプロになって世界を目指すんだと誓ってはや十二年。人一倍努力を惜しまず、常に全力で練習に取り組むもなぜかレギュラーの座を取ることができない。高校二年生になった今も補欠としてなんとかベンチに入れる、という状態であり、「プロは正直無理かなー」と薄々感じつつも青春のすべてをサッカーに捧げると誓い、彼は今日も全力で練習に取り組んでいた。


 「ほい、ほい、ほい!」


 基礎鍛錬は怠らない。毎日朝五時半に起き、五キロほどをランニングし、自宅の庭でストレッチを行ったのち、ボールを使った軽い練習を行うのが日課だ。ランニングの際のペース配分、呼吸法、時折入れる階段ダッシュなど、細部に渡って注意を払い、家に帰ってからは全身くまなくストレッチをして体をほぐす。


 「体が硬いのは、ケガの元だからな」


 そうして丹念にストレッチをしたのち、いよいよボールを使った練習である。

 おっといけない、いきなり蹴る前に、まずはシューズの確認。靴紐がほどけかかっている状態では、万が一のケガもある。


 「うん、オッケー」


 さあ、いよいよボールを使った練習……おっと、庭に落ちている石が問題だ。学校のグラウンドと違って家の庭は石やゴミが落ちている。これは危ない。


 「まーったく、庭掃除はちゃんとしろよな」


 ぶつぶつと言いながら庭の手入れを行う。見れば雑草が生えている。放っておくとすぐいっぱいになるからと、目に見える範囲の雑草を抜き、ゴミ箱に捨て、ついでに水やりもして作業完了。


 「ヨウくーん、朝ごはんだよー」


 そうこうしていると、四歳年上の姉が呼びに来た。少しぽやんとした感じのおっとりとした美女の姉。最近彼氏ができて幸せそうにしており、弟としては姉が取られたような気がして寂しい半面、心から姉の幸せを願ってやまなかった。


 「あー、今日もお庭掃除ありがとう。ヨウくんが毎朝お手入れしてくれるから、助かるよー」

 「なんのなんの、サッカーの練習のついでだよ」

 「そうなのー? ボール蹴ってるところ見たことないけどー?」

 「うーん、仕方ないよね、まずは庭を綺麗にしてからじゃないと。ケガしちゃいけないし」

 「あー、そういえば、担任の先生も褒めてたねー。いつもグラウンド掃除を一生懸命してくれるって。おねーちゃんとしては鼻が高いよー」

 「いやいや当然のことだよ。何事もまずは環境整備からだからね」


 姉と仲睦まじく話しながらボールを片付け、相川少年は家の中に入った。


 いつも真面目に練習していながら、ここ一番で失敗し、なぜかレギュラーになれない相川少年。

 だれかこいつに、何が悪いのかを教えてあげてやってほしい。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] かわいいwww なんていいこなのwww 姉弟そろってかわいらしい(*´ω`*)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ