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扇の偉才は逆襲する  作者: one reon
清龍女子野球部編
19/68

再会と醜態

「……遅い」


時刻は午前九時少し過ぎ、球は清龍女子野球部寮の玄関前で待ち人来ず状態。

今日は土曜日、学校は休講であるため休日だ。そんな休日を一秒たりとも無駄にしない彼女の計画、朝六時に起床してからの練習、アニメの消化、新刊のチェックetc……。この計画は完璧なはず、そうあるべきはずだったのだ。しかしある一人の少女が球の計画をあっさりとぶち壊したのである。

それは早朝の出来事だった。ロードワークを終えた球は、室内練習場のウエイトルームで軽い筋トレを行なっていた。球にとって筋トレは大事な妄想の時間であるため誰にも邪魔をされたくはない通称マッスルウハウハタイムであった。何を妄想しているかは名前から想像してくれ。そんなマッスルウハウハタイムに割って入ってきたのが計画をぶち壊した玲だった。


「おい球!九時に私服で玄関に集合な!あと財布を忘れないように!じゃ、また会おう!あははは!」


まさに台風が通過していったようだった。その時すでに八時半、訳が分からなかったが集合と言われた時間が迫っていたため、ウエイトを切り上げ、シャワーを浴びるなど急いで身支度を済まして来たのだ。

それなのに九時を過ぎても一向に誰も現れないのである。マッスルウハウハタイムを犠牲にした球の恨みは募るばかりであった。


「本当に一体何なのよ……」


スマホを取り出して玲に連絡しようとしたその時、元凶とさらにもう二人、優菜と清彦、明らかに問題を起こしに行くとしか思えないメンツが集合する。


「おー早かったな!私服カッコいいじゃないか!」


玲の言う通り、薄めの黒スキニーに白地のシャツ、さらにその上からは黒のジャケット、黒と白でまとめたキレイ目の服装が球の容姿と雰囲気にまっちしており、男と言われたら疑いようのないかっこよさだった。

ちなみにもちろん野球と趣味以外に疎い球ではなく、すべて凛のコーディネートである。


「そういう先輩は何というか、どこか絵本から飛び出してきたわんぱく娘って感じですね」

「?よく分からんけどありがとな!」


玲の装いは非常にシンプル、白のワンピース。ただそれだけだった。もうどこか自然豊かな地方でわんぱくに育った少女にしか見えない。

何故この服なんだ?そんな疑問が球の頭から離れない。何かを狙っているのか、ツッコミを入れた方がいいのか、様々な思考を巡らせるが答えはもちろん出ない。だから球はこれに関して考えるのをやめた。


「じゃあ行こっか」

「……出発」

「やー!出発だあ!!」


行き先も目的もまったく分からないまま、かなりの不安、心配を胸に抱えながら渋々と阿保三人衆について行く球であった。





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