「シェアしてきた時間」
長く一緒にいる俺としては
時として移り気な君に
ヤキモチを妬くときも多々あるけれど
どんな奴が君を飾っても
最終的には、俺のところに戻って来るのは分かっていたから
焦らず待てばいいんだって知っていたよ。
クローゼットを開けて
さっきから、あれでもない、これでもないと
着てゆく服を選んでる君を、
(俺がどんな思いで見つめているか知らないだろ?)
「うーん、これでいっかあ」って、
そんな薄着をしていったら
冷房のきいた車両で冷えるだろう
悪いこと言わないから
一枚、薄い上着を持ってくといいよ…
(君は風邪をひきやすいんだから。)
「あっ、あとこれ、これも持っていかなきゃ、」
「あいつ、必ず遅刻してくるからなあ」って、
嬉しそうに読みかけの本、無造作につっこんで
待つこと前提かい?
(俺なら君を1秒だって君を待たせやしないのに…)
こないだ、自分にご褒美だって買った
ロングウォレットを入れたら
奴じゃパンパンで役不足だろ?
(ほらほら、俺が持ってやるよ)
「うーん、もう少し大きくなくっちゃ、」
「ダメだあ」
「どれにしよう~」
(迷うな、迷うな)
(ここに俺がいるだろう?)
「ママー、あれ貸してえ」
「荷物が多くなっちゃったのぉ」
「いいわよー今日は違うので行くから」
「ありがとー」と、振り向いた君の瞳に映ってる俺の
嬉しさが分かるかい?
「これ、肌触りがいいのよね、体にしっくりくるっていうの?」
「そりゃそうよ~、職人さんが一つ一つ手作りしてるんだもの」
「長く使えば使うほど柔らかくなって味わい深くなっていくのよ」
「(笑)」
「なあに?」
「ん~、毎回 ママ おんなじこと言ってる」
「ボケが始まったんとちゃう?」
「失礼ねぇ、(笑)でもほんとなの、いくつあってもこれが一番って感じかな~」
「(笑)パパに言ってやろ~」
「フフフ(笑)言ってもいいわよ~」
「これ、パパのプレゼントだもの…」
「(笑)ごちそうさまっ♪」
久しぶりにちょっとめかして、君と一緒にでかけよう
重なる年月とともにすっかり味わい深くなった俺と…
君のママの思い出も
君の未来もつめこんで
メイドインジャパン