表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
老老異世界  作者: かすた
6/9

プチパニック

「こんにちわーあれ?テレビつけてないの?珍しいね」


 かさかさと何やら買ってきてくれたらしいものを、挨拶もそこそこに和子はせっせかと冷蔵庫にいれていく。

 ヨーグルトは早く食べてね!

これはもう賞味期限切れだから捨てるからね、と手早く分類も済ませていく


「それがな、和子、最近不思議な夢を見るんだ」


「とーちゃんと2人でね、おんなじ夢を見るんだよ」


「へぇ、珍しいこともあるね」


「それが毎日でな」


「ポケットに色々入れていくんだがそれが消えていくんだ」


「なにそれー、布団にこぼれてるんじゃない?」


 冗談を言っていると思ったのか、笑われてしまった。

昼寝する間にどこかへ行ったら困るから、と見ていてもらえんか、と頼むとまぁそれ位なら、と頼まれてくれた。

 何を言っているのか、という顔をされたが。





「とーちゃん!かあさん?」


 一瞬林にこれて、さぁ、娘の家に、と歩き出すと

急に和子の必死な声が聞こえたので

目を覚ましてしまった。




「なんだ、まだ少ししか行けてないぞ」


「いや、だって、とーちゃんとかあちゃんが急に、消えたから、え?」


「え?消えた?」


 ペタペタと自分たちの体を確認するが

特に、変わったところもない。消えたところなんてないし

 和子が持ってきてくれてあの娘にやろう、と、そのままポケットにいれた一口羊羹もそのままだ。


「え?なんで?え?」


 和子は焦ったように体を触って確認している

まさか、消えるなんてそんな…


「いや、おかしいよ、おかしいでしょ?!お医者さん行こう」


「いやいや、和子や、お医者になんて言うんだ、」


 医者に連れていかれても

体が寝てる間に消えるなんて

相談もできないし、まず三人揃ってボケたのかと思われる。


「そ、そっか、でも…」


「消えるとは不思議だな」


 和子は頭を抱えて悩み出したので

こりゃだいじになった、と思いながら結局はまぁ帰ってこれるからいいよな、とばぁさんと不思議旅行みたいですねぇ、とのんびり話し出した。

 まぁ帰ってこれるのだ、命の危険もないしそこそこに張り合いがあるようにもなって、損は体の疲労だけだし、それだって医者から散歩しろだ、なんだといわれているから結局は運動不足の解消にもなるし、沈みがちだったばあさんもいきいきとしている。損は無いに等しい。


「いや、そんな旅行とかそんなんじゃなくて…とりあえず何日か泊まるから!」


「いや、おまえ、泊まるって…」


 さっさと携帯電話でどこかへ連絡をとりだして

何日か泊まる、と伝えると

そわそわと色々いじりだした。


「紀ちゃんに聞いてみないと…」


 とりあえず孫に相談することに決めたらしいが

相談してもそんなことは知らないだろう、となんとなく思った。



「とりあえず今日行く時になにをもっていくか確認しよう」


「そうですねぇ」


 和子がいてもいなくても

あまりやることに変わりないので、どうしてもそちらの話になる。

 分からないものは分からない。

合間合間に細かく聞いてくる和子に色々説明しながら、だが。


「ちょっと待って、私も寝たら消えるなんてことないわよね」


「それはわからんなぁ、来たくないと思えば大丈夫じゃないかい?」


 そんな無茶な、と言いながらあれやこれや言いながらまた考えこんでいる。



「そうだ、今日は寝ないでおいて、明日は紀ちゃんに来てもらって、それで見てもらって」


「ばあさん、あの嬢ちゃんが元気になったならチョコレートやら持っていってやらんか」


「そうですねぇ、あとはお醤油もだしも持っていったから。お菓子でもあげましょうねぇ」


「いやいや、なんでそんな話に…」


 黒電話のような音が鳴り出すと

和子は携帯を取り出す。


「あ、紀ちゃん?大変なのよ!母さんたちが、え、違う具合が悪いとかじゃ、いや、それより大変なような?うん、後で説明するから、明日休みよね?うん、具合は大丈夫だって、うん、ちょっとまだ話せないから明日こっちに来てちょうだい」


 なんだか大事になってきたなぁ、と

和子は電話をきると

今日は寝ないで様子を見る、消えても戻るまで様子を見るから!と断言して

結局夜まで話し合った。


「では、おやすみな和子。」


「おやすみ。えーと、なんてゆうか気をつけて

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ