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悲しき夢  作者: 九十九
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第一話「導入」

医者からは原因不明の精神病と説明された。この診断も確かなものでなく、かもしれないという安心のできないものである。


 しかし、脳などの臓器や神経に至るまで異常は見つからず精神しか疑うところがない。


 「意識がない状態でも感覚は生きていることがあります、患者さんの家族や友人の方に話しかけてもらうことで意識が戻る可能性があります。」


 医者はそう続けた。あの人が目を覚ますために色々な人に連絡をした。


 あの人の友人や仕事仲間、面識のある自分の知り合い。沢山の人を呼んで話しかけてもらったり、握手やハグもしてもらったりした。


 けど、あの人が目覚めることはなかった。もちろん自分は毎日声をかけて、手をさすってあげたり、あの人が好きな本を読んであげたりした。それでも、あの人が目覚めることはない。恩返しすることができない自分の無力さを悔やんでいた。


 あの人が入院してから一週間が経った。呼べる知人ももういない。時々見舞いには来てくれるものの、いたたまれないのか長居はせずにさっさと帰っていく。


 もうどうしようもないのか。もう救えないなら、いっそのこと心中してしまおうか。そんなことを考えていた。


 ノックもせずに扉を開く音がした。誰かは知らないが失礼な人だ、誰なのか確認しようと振り返えろうとした。しかし、突然の睡魔に襲われ振り向けずにベッドに突っ伏してしまう。


 眠る前最後に見たのは、全身黒ずくめで顔まで真っ黒の人だった。


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