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碧き泉で  作者: 水上深
3/5

不可思議

1話目を大幅に修正しました。

国道5号線は大沼公園を抜けると、海沿いを走る道が延々と続く。さすがは北海道、ほとんど直線だ。ライダーであればその開放感に興奮し思わずアクセルを開けたくなるシュチュエーションだが、別の事を考えながらでも運転できる単調な道とも言える。


蒼はバイクを運転しながら今朝の夢の事を思い出していた。

フレイア・・・可愛かったな。

あんな美少女が

〔そうは参りません、これから夫となる方を呼び捨てなどできません〕

この歳になって中二病かよ、きっと欲求不満も入っている。

夫の件は置いといて、あんな子が好意を持ってくれたらかなり嬉しい。

まぁ夢だけどね。


いくら直線とは言え、ちょっと人に言えないような速度を出しているんだ。

気を付けて運転しないと。

気持ちを入れ替えてバイクの操作に集中する。

その時、視界の隅に青い制服と四角い機械が見えた。

マズイっ!!

ブレーキを掛け、減速する。

順一も同一の動作に入っている。

・・・が間に合わなかった。

前方に棒を持った警察官が出てきて、道路脇の駐車場に誘導される。

・・・やっちまった。

町と町の何も無い区間から市街地に入る場所、普段なら警戒して走行している場所だ。

俺と順一はスピード違反の取り締まりに引っかかった。


駐車場にバイクを止めながら順一と話す。

「やばいな」

「完全に赤キップ、罰金8万オーバーコースだろ」

・・・・・・・

その罰金は相当厳しい。今回のツーリングを切り上げて帰るしかない。

いや、ツーリングの後に日雇いのバイトをやれば何とかなるか、

まてまて罰金って納付期限があるよな・・・。

無理っぽい、何とかなんねぇのか・・・ダメだぁ~っ、完全に詰んだ。

そこに警察官が一人やってくる。

融通が利かなさそうな顔だ、俺と順一は死刑宣告を待つ受刑者の気分だ。

「結構スピード出てましたね、次回から気を付けて下さいね。」

・・・・・・・

・・・・・・・

・・・・・・・

警察官の次の言葉を待つ。

「はい、良いですよ。気をつけて行って下さいね」

「「えっ」」

「それって・・」

順一が余計な事を喋ろうとする。

「ありがとうございました、順一行こうっ!」

順一が余計な事を言う前に話を終わらす。


駐車場から2キロ程走り路肩にバイクを止める。

「あぶねぇ~っ」

「って言うか、順一おまえ何藪を突こうとしてるんだよ」

「いや、だって意味わかんねぇだろ」

「確かにそうだけどさ、きっとアレだ、測定器が上手く動かなかったんだよ、ちゃんと測定できてなかったからキップ切れなかったとか?」

「まぁ、他には考えられねぇよな」

「ぎりぎりセーフだったって事で、気をつけて行こうぜ」


その後、ゆっくり法定速度で走ったが、10時には洞爺湖のキャンプ場についてしまった。

「早く着きすぎちまったな」

「早過ぎだろ、もうちょっと進まねぇ?」

順一は早く道東に行きたいらしい。

今日はこのキャンプ場でテントを張る予定だったが、予約はしていない。今は9月上旬、しかも平日なので、どのキャンプ場も空きがある筈だ。

正直、こんな速度で進めるとは思っていなかった。時速60キロで走れば1時間後にちゃんと60キロ先にいる。首都圏じゃ、まずありえない。

このペースで走れるならば、明日の宿泊予定地まででも夕方までに余裕で着けるだろう。

でも、今日は注意力散漫だ。先ほどの取締りだって普段なら気をつけて減速するような場所だった。

「俺はここで休んだ方が良いと思う。昨日の疲れが残っている気がする」

「別に良いけど、この時間にチェックインできるのかぁ?」

それもそうだ。通常キャンプ場は13時以降にチェックイン可とするところが多い。

「あぁ、そうだな。じゃあさ、管理人さんと交渉して見て、OKならここに泊まろうぜ、駄目なら先に行こう」

「OK」


管理人に交渉したら、あっさり許可が出た。

俺たちはまずテントを建て、テントの中で横になる。

やはり昨夜の硬い椅子では熟睡できなかったらしく、すぐに睡魔がやってきた。目をさましたら既に夕方だった。

それから近くの商店で晩飯の材料とビールを数本買ってくる。

日が暮れる前にギリギリ夕食の支度ができた。まぁ飯を炊くのと、ソーセージに火を通す位なので時間はかからなかった。

俺のテントも順一のテントもライダー用のコンパクトタイプなのでその中で2人で飯とかは無理だ。男2人が超至近距離・・・想像したくない。

2人のテントの間に小さなシートを引き、そこで飯を食うことにした。


どうでも良い話題をネタに飯と酒は進む。

因みに俺も順一も20歳なので飲酒は問題ない。

20時半を回り、もうそろそろお開きにしようかと思ったが、

最後にちょっと気になっていた事を順一に質問して見る。

「なぁ、何でオンネトーに行きたいんだ?」

「ん?」

「いや、綺麗な湖らしいけど、それだけだろ?」

「それは神の子池も同じじゃねぇ?」

「それは、そうなんだけどさ」

・・・・・・

「・・・笑わないか?」

順一が真剣な顔で問いかけてくる。

「えっ、何? 何かマジな理由あるの」

「いや、そんなマジな話でもないか・・・」

「どっちだよ」

俺は無言で話の先を促す。

「夢の話なんだよ」

「夢?」

「昔から何回も繰り返し見ている夢があってさ。その夢の場所に似てるんだよな」

誤字脱字、変な表現が多々あると思います。ご指摘頂けると嬉しいです。

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