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碧き泉で  作者: 水上深
2/5

目覚め

ちょっと修正しました

「蒼っ」


若い男の声で起こされる。

楽しい夢だったのにな・・・。

案の定、がっかりだ。

「起きろよ! もう8時だぜ、もうそろそろ行こうぜ!」

目の前のこいつは諏訪順一、幼馴染で大学も同じ、腐れ縁の友人だ。

身長も体格も俺と同じくらい175cm中肉中背と言ったところだ。

黒いTシャツに濃紺のジーパン、ライダーブーツ。

「ああ、そうだな」

軽く返事をし、ゆっくりと硬いプラスチックの椅子から身を起こす。

ここは北海道の函館、フェリーターミナルの待合室だ。

大学の夏期休暇期間を利用し、北海道へ順一とバイクツーリングに来たのだ。

普通なら大洗からフェリーに乗るか、高速道路を使うところだが、そこは金は無いが時間のある大学生。神奈川県から下道を通り青森港まで行き、そこからフェリーに乗った。函館に着いたのは深夜の2時。

流石に睡眠も取らず走行し続けたので、待合室の椅子をベット代わりに仮眠を取らせて頂いてた訳だ。

もっとも6時間寝てるから、仮眠じゃないか。それにしても硬い椅子で寝たせいか体が痛い。

「顔、洗ってくる。ちょっと待っててくれ」

「あぁ、じゃあ俺は先にバイクのところに行ってるわ」

「わかった」

「メット持っててやるよ」

順一が気を利かして、顔を洗うときに邪魔になるヘルメットを運んでくれる。

「悪いな」

残りの荷物はリュックサックだけなので顔を洗うのに支障は無い。

因みにテントや寝袋、着替え等はバイクに括りつけたままだ。

無用心だがライダーの荷物なんて小奇麗なもんじゃないし、盗む奴なんていないと決め付けている。


トイレの洗面台で顔を洗う

ふと、フレイアの真っ赤になった顔を思い出す。

ドキドキする。

あれは夢だ、夢。

もう一度、顔を洗う。


顔を洗ってバイクまで行くと、順一は既にバイクに跨り、黒いヘルメットに黒いウィンドブレーカーを装備していた、いつでも出発できる状態だ。

「気合入れ過ぎじゃねぇ?」

「早く道東に行きたくてね」

「そうだろうけど、急ぎ過ぎだろ。600キロ位あるんだぞ、着くのはどんなに急いでも明後日位じゃね?」

「わかってるって」


実は今回の旅はお互い目的地がある、俺は摩周湖の近くにある神の子池という場所を目的地にしている。偶々ネットで見た写真が夢のあの泉に似ていたからだ。順一は阿寒湖の近くにあるオンネトーという湖だ。何でかは知らない。

道東まで一緒に行って、その後は別行動にする事になっている。一緒に周るのが普通なんだろうが、何となく夢の泉に似ているあの場所には一人で行きたくて、変な提案だとは思ったがしてみたら、すんなりと通った。


俺は腰に巻いていた青いウィンドブレイカーを羽織る。それ以外の装備はヘルメットを除いて順一とほぼ同じ感じだ。因みにヘルメットは順一のはフルフェイスタイプ。バイクを知らない人が一般的にヘルメットと聞いて想像するのはコレだろう。俺のはオフロードタイプにスクリーンが入ったタイプだ。見ようによっては仮面何たらに見えないことも無い。因みに色は青だ。

俺は順一がミラーに掛けてくれていたヘルメットを被り、愛車の黒いDR800Sに跨りエンジンを始動する。

単気筒エンジン独特のエンジンサウンドが辺りに響く。


スズキ DR800S そのエンジンは単気筒800cc。量産単気筒車で世界最大の排気量を持つバイクだ。フルカウルのついたオフロードバイクでパリダカールラリーを走っていたバイクのレプリカとなる。嘴の様なフロントカウルを持つ独特の形状は美しいが、好みの分かれる所だろう。国内販売はされておらず逆輸入車のみの販売だった事と既に絶版車な事もあり、道で同じ車種とすれ違う事はまずない。

因みに蒼のは1997年式。何でこんなレアなバイクを所有しているかと言うと、父親のバイクを大学入学の記念に譲り受けたからだ。


一方、順一のバイクは ホンダ CB-1。

カウルの無い丸目ヘッドライトの車両で所謂ネイキッドバイクに分類される。レーサーレプリカのエンジンをベースに出力調整した400cc直列4気筒エンジン搭載している。

排気量こそDR800Sの半分だが、実は最高出力はCB-1の方が高い。色は黒だ。


俺はバイクを順一の横まで進める。

「朝飯どうする。」

「コンビニで良くね?」

「だよな」

「じゃあ市外に出る前に、寄ろうぜ」

「OK」

俺たちはアクセルを開け、フェリーターミナルを出発した。

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