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碧き泉で  作者: 水上深
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いつもの夢だ。

蒼は夢の中ではっきりした意識をもっていた。


空が、風が、樹々が、風景は淡い光に包まれている。

音は無い。静かな夢。

目の前には水底の碧い泉がある。

水は透き通っており、倒木が何本も沈んでいるのが見える。


この夢は中学の頃から定期的に見るようになった、蒼はこの夢が好きだった

理由は簡単。可愛い女の子が出てくるからだ。

その子は何故か水面に立っている。

小柄な西洋人の女の子だ。

腰まで伸びた金色のきれいなストレートヘア、青い瞳、

白いロングワンピースを見に付けている。

年齢は15歳前後だろうか、あどけない雰囲気と相まって天使や女神と表現しても差し支えない美少女だ。


蒼はいつものように近くの岩に腰掛けて彼女を見つめる。

彼女はこちらに気づかない。初めてこの夢を見た時、話しかけて見たが言葉は音にならなかった。


彼女はいつも祈るように指を胸の前で組み話しだす。

だが、その声は決して聞こえない・・・はずだった。

「・・・し・・さま、お待ち・・して・・・す」

えっ!

声が聞こえる。

「何でっ!」

えっ!

自分で声を出しておきながら驚く。いつもは自分の声も一切音にならない。

「!!!!」

彼女を見ると、こちらを見て驚いている。

「・・・ま、き・・く・・・・すか?」

彼女は必死にこちらに話しかける。

だが、ところどころ音が途切れ聞き取れない。

「すこ・・おまち・・・さい」

彼女は胸の前で組んだ指をギュッと組みなおし、目を閉じる。

すると辺りに小さな光の粒のようなものが無数に現れ、そして彼女に吸い込まれていった。

「聞こえますでしょうか?」

彼女の声がハッキリと聞こえた。

「あの・・・・」

あ・・・返事しなかったからか? 心配そうな顔してる。

「あ、ごめん。聞こえるよ」

!!!!

「・・・やっと、やっと届いたのですね・・・」

そう言うと、彼女の瞳から大粒の涙がこぼれだす。

「ちょっと、どうしたの!」

動揺する。小さい頃は分からないが、少なくとも中学以降、女の子を泣かした事は無い。

「いえ、申し訳ありません。嬉しくって・・・。」

そう言って微笑みながら、指で涙をぬぐう。

ぐぁ、可愛い。コレ反則だろ。

男性は元々、女性のこういった仕草に弱い物だが、彼女の容姿が蒼のタイプという事もあり、大きく動揺してしまう。

まてまてまて、夢! 夢だから!

夢で俺は何に動揺してるんだ。

「あっ・・・申し訳ありません。大変な失礼を」

彼女はそう言うと水面に正座し、三つ指をつきお辞儀をする。

「アース神族のフレイアと申します」

って北欧神話かぁ。アニメ・漫画、ゲームなどによく引用される神話だ。フレイアもそういう業界ではかなりメジャーな女神の名だ。

って、そのお辞儀の仕方は和だろ和、本当に夢だな、整合性無さ過ぎ。

っといかん、俺も挨拶しなくっちゃ。

「池和田蒼です」

「イケワダソウ様・・・」

「あ、池和田はファミリーネームです。ファーストネームは蒼ですよ。」

「蒼様・・・」

「呼び捨てで良いですよ」

「そうは参りません、これから夫となる方を呼び捨てなどできません」

な、何だと。いやいやいや落ち着け夢!夢だから!

フレイアを見る。

程なくして、何かに気づいたように

「あぁっ!」

「す、すみません。蒼様のお気持ちも聞かずになんて事を・・・」

フレイアの顔は真っ赤だ。

「いや、その・・・」

何と返して良いか分からず言い淀む。フレイアも真っ赤になったまま俯いて何かモジモジしてしまっている。

可愛すぎる・・・。いやいや夢だから、絶対に起きた後がっかりするから。

しかし、何だこの夢は。こんな美少女、しかも女神から夫になる方って・・・俺、欲求不満なのか?

取り合えず夢だし、色々話してみようか。

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