父親
キッチンの裏口のドアが開いていた。
優「開いている・・・。もしかして外に・・・」
僕は駆け足で裏口に出た。
すると、そこにはさっき逃げて行った不良みたいな男が千里ちゃんを引っ張りながらどこかへ連れていこうとしていた。
優「ちょっと!」
男「ちっ!ばれたか!」
優「千里ちゃんをどこへ連れていこうとしてるんですか?!」
男「この女がおとなしく俺に付き合えば俺は痛い目に合わずに済んだんだよ!」
千里「やめて下さい!」
男「うるせぇ!」
(バシ)
まただ。不良みたいな男は千里ちゃんを叩いた。
僕は本気で腹が立った。
優「やめろていってるだろ・・・お前」
男「おっと!近づくなよ!お前みたいな化け物を相手にする程俺も馬鹿じゃねぇからなぁ。そこから動くなよ。ちょっとでも動けばコイツを殺す!」
すると、不良みたいな男はナイフを千里ちゃんの首元につけた。
優「くっ!」
自分が覚醒者かどうか分からないしそうだとしても力の使い方も何も分からない。
自分がこんなに非力な人間だと気付いて僕は涙が出てきた。
男「ハハハ!お前、泣いてるのかよ!馬鹿じゃねぇの?いいか!俺とコイツの姿が見えなくなるまで動くんじゃねぇ!」
???「いや、君の姿が見えなくなるなんて事はありえないよ。それに私の娘に何をしてるんだ?」
ふと涙目で前を見ると、男性が一人裏口の出口に立っていた。
千里「お父さん!」
男「お前、コイツの父親か?邪魔だ!どけ!コイツの首元に光ってるコイツがみえねぇのか!」
???「無謀な事をやめときたまえ・・・見た感じまだ若いし命が欲しいだろう?」
男「あぁ!?何いってんだ!」
???「・・・・早くその汚い手を娘からどけろ・・・」
僕は大きく目を見開いた。
突然大気中に炎の玉が無数に出てきた。
男「う、うわぁぁ!!お前も覚醒者か!よ、よるなぁ!」
???「そこの少年君・・・どうやら君も覚醒者のようだ・・・千里を守ってくれ」
優「え・・・は、はい!」
僕は千里ちゃんを守る事だけを考えた。
千里ちゃんのお父さんに警戒している不良みたいな男に僕は思いっきり体当たりをした。
男「うわ!」
男の態勢が崩れた。そして僕はすぐに千里ちゃんをこっちに引っ張った。
???「さて・・・」
男「や、やめろ・・・」
???「罰だ・・・」
(ボーーーン!)
男「ぐわぁぁぁ!!!」
無数の炎が男に飛びついた。
そして男は燃え、段々と黒く染まっていく。
(ドサ)
男は黒焦げ状態になって死んでしまった。
優「うわぁぁぁ!!!」
僕は初めて見た人の焼死に驚きを隠せなかった。
???「ん?どうした?何でそんなに驚いているんだ?」
僕はその場で気絶してしまった。