守護神アビスの声
とても静かで気持ちいい風が吹いている。僕はゆっくりと目を開けた。
「あれ?ここは?」同時にふと考えた僕は疑問に感じた。
さっきまで学校の屋上にいたような気がするんだけど・・・・。どうなってるんだ?
とりあえず起き上がって周りを確認してみた。
「森の中?空気が何だか透き通ってるなぁ。ってここはどこ?」
段々と焦ってきた僕は、とりあえず立ち上がり森の中を歩きまくった。
どれくら時間が経ったんだろう?ポケットに入ってたスマホを取り出したが電源が入らない。
「ど、どうしよう。一体どうなったんだ?」
「まぁまぁ落ち着きなさい」
突然、空から全く知らない人の声が聞こえた気がした。空耳だと思ってウロウロしながら独り言を呟いていた。
「おーい。私の声、聞こえてる??」
「あれ?空耳じゃない?やっぱり空から聞こえる・・・。誰?」
「あ~よかった。ちゃんと聞こえてるわね。私は貴方のいた世界と、この異世界の守護神アビスよ。えーっと確か、もち・・・もち・・・」
「もち?あ~。望月です」
「あ~そうそう望月君ね。望月優君でしょ?」
「はい、そうです・・・って何で空から声が聞こえるんだ?!ここどこっすか?!」
「ニブ・・・(汗)貴方、もしかして天然??」
昔から皆にも天然とか言われてたけど、自分的には天然だと思っていない。
それに多分この状況天然とか関係なく慌てると思うんだけど・・・。
「まぁいいわ。単刀直入に言うわね。望月優君。貴方異世界に迷い込んじゃったわよ」
「えーっと、仰ってる意味がよく分からないんですけど・・・」
「ん~。まぁ簡単に言うと、学校の屋上で勉強をサボって寝ていた貴方は時間周期でやってくる空間交じりの場所にタイミング悪くいて、異世界に来ちゃったの。分かった?」
「い、異世界?またまたぁ。そんなの信じられないですよ」
「まぁほっぺたを思いっきりつねってみれば分かると思うわ」
僕は言われるがまま頬っぺたをつねってみた。夢だと完全に思っていた僕は思いっきり力を入れてつねった。
ふむ・・・・。痛い・・・・痛すぎる。
「どう?痛いでしょ?夢ではないって分かったでしょ?」
「えーっと、守護神アビス様でしたっけ?」
「アビスでいいわよ」
「じゃ、アビスの言う通りここが異世界だとしよう。して僕はどうやって元の世界に戻れるんですか?」
「ん?元に戻れる方法はあるわよ?」
だいぶ焦って何だか損をした気分だ。元の世界に戻れる方法があるなら問題ないもんね。
「戻れる方法あるんじゃないですか(嬉)してどうやって?」
「うん。時間周期でやってくる空間交じりの場所にタイミングよくいるの。そしてそれに乗って元の世界に戻れるわ」
「その場所って、ここ?」
「そうよ」
「よかったぁ。一瞬全く違う場所なんだと思っちゃいましたよ~。してどれくらいでその時間周期ってヤツが来るんですか?」
「う~ん。だいたい100年後くらいかなぁ?」
「・・・・・・え?」
「よく聞こえなかったかしら?だいたい100年後ぐらいよ♪」
(終わったーーーー)
「ひ、100年も生きていられるはずがないですよぉ(涙)ど、どうしよう・・・・・」
「もう一つ方法があるわ」
「それは!」
「フフ、簡単よ。死ねばいいのよ。そしたら自動的に次に生まれ変わる時は元の世界の存在として生を受けるはずよ?まぁ次が人間として生を受けれるかは神様次第だけどね」
「ようは諦めろって事ですよね・・・・」
「あら、別に諦めろなんて言ってないわよ?」
「いえ・・・・もういいです」
僕は元の世界に戻るのを諦めた。
アビスは少し申し訳なさそうな顔をしている・・・・気がした。
「まぁ、そう落ち込まないで。貴方がこの異世界に来たのには理由があると私は思うの・・・・」
「理由・・・・ですか?」
「そうよ。普通違う世界に存在している人間が異世界へ来るなんて事ありえないもの」
何だかうまい事言ってる様な気もするが・・・それよりもこの世界の事なんて何も分からないし。
「もういいです。違う世界に来てしまったのは仕方ないですし。諦めてこの世界で生きていきます」
「あら?以外とサッパリしてるわね。フフ気にいったわ。いいわ。特別に貴方に力をあげる」
「力?」
「えぇそうよ。受け取りなさい」
そう言うと空から光の玉が落ちてきた。光の玉は僕の中にスーッと入ってきた。
「何も起きませんけど・・・・」
「その光の玉は貴方の何かのきっかけで開花するわ。まぁその時のお楽しみね」
「はぁ・・・そうですか(汗)それよりも、よかったらここがどんな世界か教えてもらいたんですけど」
「いいわよ。まぁ、説明する程ないけど・・・。この世界は貴方のいた世界と対して変わりはないわ。ただ一つだけ違うのはこの世界では覚醒者が存在しているという事」
「覚醒者?」
「えぇ。まぁ簡単にいえば自然を操れる人間の事よ」
何だかマンガみたいな話を聞いてしまった感じがするけど・・・。でもこれは現実なんだよな。
「何だかドキドキしますね」
「この世界は誰もが覚醒者になりえるって事・・・・。貴方もこの異世界に来た以上すでに覚醒者なんだから」
「ぼ、僕が覚醒者・・・・」
「あ、後お金が必要ね。守護神の私がこんな事ダメだけど今回だけは特別よ」
すると空から財布を一つドスンと落ちてきた。中を見てみると不思議に驚き。30万が入っていた。
「こ、こんなに?!」
「そのお金で部屋を借りて、学校へ通いなさい。」
「で、でも保証人とかが・・・」
「その辺は心配しなくても大丈夫だから気にしないで」
「は、はぁ・・・」
「じゃ、もし本当に困った事があれば心の中で私を呼んでね。じゃ~ねぇ」
「あ、ちょ、ちょっと!」
本当に行ってしまった様だ。空から聞こえていた声が聞こえなくなってしまった。
「まぁ、この森で居ても仕方ないか。とりあえず街に出てみよう」