対面
今日もだ。親友と休日の余暇を楽しむために来たカフェに"取り巻き"が集まる。
僕が言う「今日も」というのは取り巻きの中に例の、僕に目を向ける彼女の事だ。
僕は最近、ある違和感を感じていた。その違和感はこの日、確信と詳細を得る事となる。
彼女を今まで気にしてはいたが、今日の彼女には目を見はった。
僕の好きなブランドの服で身を固め、一人、周囲と違う方角、僕にカメラを向けるそのケータイは僕と一緒の物。
人気機種なんかなら一緒の物なんて、いくらでもあるだろう。そうじゃない。
機種はもちろん、カバーも全く同じ。好きなブランドが個数限定のシリアルナンバー入りで売り出した物で、当然、既に完売している。
手に入れるには不正オークション等でも使わない限り無理だ。
それだけじゃない。僕が身に着ける物ほとんどが彼女にも着けられている。
異様な光景だけれど、他から見たら何て事はない...、いや違う。
第三者が見たら僕と彼女は、ひと昔前で古いけど、全身お揃いの"ペアルック"ってやつを楽しんでいるバカップルだ。
まさか。
最近、郵便物が足りなかったり届かなかったり、キチンと出したはずのゴミが荒らされた形跡があるのは、まさか、まさか...。
「すみません。番号交換してください!」
はっと我に返って僕は声の先を見ると驚く間もなく"彼女"がペンとメモを僕に差し出していた。
戸惑っている僕に親友は耳打ちする。
「してやんなよ。断る理由ないだろう?」
あるよ!...と言いたかったが言える訳もなく、僕は渋々とメモに番号を書いた。
彼女は宝くじでも当てたかのような喜び様で、お礼を言うとメモを胸元で抱きしめていた。
やめたらよかったのだ。
そこから"本当の恐怖"は始まった。郵便物やゴミ荒らしなんて、かわいいと思えるくらいに。




