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~私なんかが~
家に帰る。誰もいない。両親は別居している。
価値観の違いが原因と母親は言い続けているが、本当は違う。
父はきっと愛想が尽きたのだ。ダメな私に。
勉強も、運動もダメ。家事もできない。そんな私に。
そして母親に全て押し付けて逃げたのだ。両親は仕事人間でエリート。
母親も別居する前は私に期待の目を見せていたけど、別居後は私を
疎ましげに見るようになった。きっと邪魔なんだ。
私は誰にも必要とされないまま、死んでいくんだ。
そんなとき、侑乃に出会ったんだ。侑乃の目は光がなかった。
心を開いてくれなくてもいい。人のぬくもりが欲しい。
そう思って侑乃に近づいたのかもしれない。
でも、侑乃と一緒に過ごすうちに私は侑乃が好きになってた。
心を許していた。侑乃もいつも私のそばにいてくれた。
いつもいつまでもきっと一緒。そう信じていたんだ。
なのに侑乃は私の前から姿を消した。
私は何なんだろう?友達の苦しさも分かってあげられない。
こんな私に未来があっていいのかな。もう誰も私を見てくれない。
侑乃が生きて私が死ねばよかった。侑乃がうちの子だったら。
こんなことにはなってなかった。