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~侑乃の気持ち~
私は座り込んでしまった。
「なんだよ、死ねないのか。弱いな」
「もうどうしたらいいのかわからない。どうしたらいいの?
どうしたら侑乃に許してもらえるの?」
「許してもらえるかはもう安岐町がいないからわからない。
けど何をしていいか分らないならもう少し生きてみればいいじゃないか」
「生きて自分がどうすれば罪が償えるのか考えてみろ。
死ぬことで安岐町が喜んでくれるのか?」
私はまた黙ってしまった。そんなこと考えてもなかった。
侑乃にどうしたら罪を償える?侑乃は私の喜びを誰より喜んでくれる。
そんな優しい子だった。彼女は私が死ぬことを望むだろうか?
寂しがり屋だから独りは嫌かもしれない。
「安岐町はお前が死んでも喜ばないと思うぞ」
また漣くんが口をはさむ。「お前のことを誰より大切に思ってたから」
漣くんはそれだけ言い残して屋上を降りていった。