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三姉妹が俺の恋路を邪魔しに来たッ!  作者: ゆいまる
一章 這い寄る世界
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三女参上...孝太大惨状

【昼休み~屋上】



「ふぅ~」

1限目が終わった休み時間、勇気ある女子が琴宮に声を掛けた所その女子とすぐに打ち解けてしまった

その雰囲気にどんどん人が集まりすっかり人気者になった

優介もすっかりノックアウトされたらしく、その輪に入っていった


移動教室の時も「琴宮さん良いよな~、ぜんぜんお嬢様って事鼻に掛けてないし俺の話聞いて返してくれるし、、、俺気に入っちゃったよ~」と大絶賛していた


俺はと言うと、朝の自己紹介の時以来から目を合わせていない

正直怖いってのが本音だし、触らぬ神に祟りなしって事で関わらない事に決めた



昼休み前に美雪からメールで『用事が出来て今日は一緒に昼食出来ないの、ごめんね』と来た

なので、一人屋上にやって来た訳なのだ


正確には屋上に忍び込んだ(・・・・・・・・)と言うのが正しい

屋上は生徒立ち入り禁止区域だからだ


理由は昔屋上で煙草を吸う生徒が後を絶たなかったらしく厳重に封鎖されたのだ


そんな屋上に何故俺が入れているかというと、偶然空き教室のベランダから侵入出来るルートを発見してしまったのだ

優介にもまだそのルートは教えていない

まあ、俺自身も滅多に立ち入らないので俺だけの隠れ家にしている


誰も居ない屋上の厳重に封鎖された扉の上にそびえ立つ給水タンクに寄りかかり昼食であるチョココロネとペットボトルのミルクティーを頂く

本来ならもちろんこれだけで足りる量ではない。自分で言うのもなんだけど育ち盛りの男子なのでガッツリどんぶり一杯は行きたい所だけど、今はとてもそんな気分ではない



ペロっとチョココロネを平らげ横になる

別にチョココロネのどっちが頭かだなんて気にしない。だって男の子だもん


この時間給水タンクに頭を向けて横になると丁度上半身が影に隠れて最高の寝心地となる

今日も空を無粋に隠す雨雲は存在せず絶好の日向ぼっこ日和だ


ここに来た際にいつもお世話になっているレンガを給水タンクの陰から取り出す。

この丁度良い感じの高さになっているレンガを枕にして目を閉じる



(しかし、あの目はどういう意味だったんだろう?)

(まぶた)の裏で琴宮のあの鋭い目を思い出す



ゾクッ...


(やっぱ怖かったな。敵意って言うよりかは警戒心剥き出しって感じだったけど。俺、なんかしたのか?)

しかし、思い当たる節はまったくない。

そもそも俺と琴宮とはあれが初対面だったのだ。恨みを買う理由が思い当たらない



次第に意識が微睡(まどろ)んで行った





    ◇ ◇ ◇




「まったく、あいつはろくに監視もできないのかまったく!」

意識の向こうで可愛い声でそう聞こえた


(女子が入って来たのかな?)


「居た居た♪」

割と近くで可愛い声が響いた


(まぁ、男子がここで寝てりゃすぐ居なくなるでしょ)


常識的に導き出される結論に思考が至り、瞼を開けることなくそのまま昼寝を続行することにした


しかし、女子は俺の存在を確認した後も立ち去る様子はなく、むしろさらに近寄って来る気配がした


(あれ?なんか変だな)

そう直感した直後...


「よっこいせ!」



 ドスンッ


「ぐはっ!?」

突然下半身に衝撃を受けて反射的に瞼を開ける

浅い眠りに入っていたので視界がぼんやりしていたが眼下に女の子らしきシルエットがあるのがわかる


「何っ!?何っ!!?何っ!?!?」

ぼんやりした思考の中必死に状況を把握しようとする


だんだんと視界がクリアになって行く

ふんわりとした長い髪の毛がスカートの辺りまで伸びてて毛先の方でややウェーブがかかってる。瞳は吊り目で大きく、眠たそうな印象を与える二重をしていてかなりの子顔だ。

いや、子顔と言うよりかは全体的に小柄みたいだ。その証拠に制服の胸の辺りに凹凸は残念ながら発見することは出来なかった。実に残念だ

襟のラインは1本、つまりこの娘は1つ下の1年生という事になるのだが、その顔にまったく見覚えはない。顔見知りの後輩と言う訳ではないようだ

徐々に視線を下へもって行く。スカートはかなりのミニにオーバーニーソックスで絶対領域を作り上げている。素晴らしい!高得点だ

やけに近い、俺の眼下にシルエットがある理由は彼女が俺の下半身の上に女の子座りで馬乗りになっていたのだ


加速させた思考で状況把握に努めた結果、『今、何故この状況に(おちい)ったのか分からない』という事がわかった


「落ち着け少年。私は少年を知っているし、今回は用があって来たのじゃ」

年上に対して少年呼ばわりをするという斬新さに更に反応が出来なくなる


目を白黒させてる俺にお構いなしで俺の胸の上にちょこんとなにかを置いた


「べ、弁当箱?」


「うむ。お昼がまだなのでな。いただきます。」

手を合わせてから弁当の包みを広げ始めた


「ちょちょちょ!待って!」

寝てる人の上で勝手に食事を始めようとするので必死に抜け出そうと抵抗する

...が、

「ええい!動くな!」

ガシっと両膝でホールドを強くし、俺の両腕も彼女の膝の下で挟まれ完全に自由を奪われた(・・・・・・・・・・)


「あれ?うそッ!?」

どう見たって彼女は小柄だ。腕も足も細いし、体重的にもほとんど重さを感じない。なのに、まるで拘束具に囚われたかの様に完全に動けない。


「これで良し。このまま大人しくしておれ!」

そしてそのまま俺の胸の上で弁当箱を広げてしまった


どうしてこんな状況になったのか、どうして見知らぬ後輩にマウントポジションを取られ拘束されてしまったのか、何一つわからなかったが、彼女がホールドを強めた事により新たな問題が発生してしまった


(ヤ...ヤバイッ!?俺の愚息とこの娘のお尻が完全に密着してしまったッ!?)

心臓の鼓動が跳ね上がり顔と耳がものすごく熱くなる。動揺し手の平が汗で湿って来た。そして彼女の太もものホールドが強くなり更に愚息に刺激が行く


(ヤバイヤバイヤバイッ!!我が愚息が起きてしまうッ!!早急に沈めねばッ!ババァのおっぱい、ババァのおっぱい、漫☆○太郎のババァのおっぱい...)


「ムッ!」

ドキッ


「お姉さまは私はこれがダメだと言っているのにまた入れて...少年が食べてくれ」

そう言うと俺の唇にプチトマトを押し付けてきた。とりあえずバレてなくて良かった。。。


思考が上手く回っておらず反射的に口を開けてしまった。そこへプチトマトが入って来る

一口噛むと野菜の甘みが凝縮した果汁が口の中で思いっきり弾ける


(おおッ!美味いぞこれ!!)

そんな心情が素直に顔に出たのか彼女の表情が和らぎ口元が綻ぶ


「美味かったか?それじゃあ次はだし巻き卵をやろう」

そういうと箸で卵焼きをすくい上げ俺の口元へ運んでくる。プチトマトで空腹感が(よみがえ)った俺はだし巻き卵も口の中へ通す


(うんっ!かつおだし風味が引き立っててすごく美味しい!ご飯が欲しくなるな)

そんな考えが読めていたかのようにご飯を口へ運んできた


ぱくっと口に含む。が、少しがっついてしまったせいかご飯粒がこぼれて頬の辺りに付いてしまった


「まったく、がっついてはしたないのう」

俺の顔の横をサラサラと髪の毛が流れ落ちて来て一瞬意識をそこへ取られる


(ん?)

ほんの一瞬、意識を逸らしたのはほんの一瞬だった


視線を戻した時には顔が数十センチ先まで来ていた

不意打ち過ぎて鼓動が跳ね上がる


(ちょッ!?近い近い近い近ッ)

口の中が満員で声が出せない



ペロッ



生暖かく湿ったやわらかいものが頬に付いたご飯粒を絡め取って行った


(舐め取ったッ!!?)

ドキンドキンと耳元まで鼓動が反響している


(駄目だッ俺のアレが本気でヤバイッ!早く飲み込んで開放してくれるよう頼まねばッ!!)

高速で口の中を動かす


「これ!ちゃんと味わってから食べぬか!」

そう言ってまたご飯を運んで来た


(あかん!これ以上飯で口の中を塞ぐのは危険だッ)


「んーーッんふぅーーッ」

必死に首を横に振ってジャスチャーする



ポロッ



またご飯がこぼれ落ちて頬で止まる

「んーーーッんんーーッッ」


涙目で必死に首を振る

が、ガシッと額を掴まれた


唯一自由が利いていた関節まで封じられてなすすべがなくなる


(せめて手で取ってぇーーーッ)



パクッ



心の願い儚く直に絡め取られていくご飯達

(2度も舐めた。美雪にも舐められたことないのに。)


というか、2回目は完全に頬に唇が触れていた



力なくうなだれる俺を気にすることもなく彼女は弁当箱の蓋を閉じた。どうやら俺の口にご飯を運びつつ自分も食べていたようで綺麗に完食したようだ


「さて、性欲を持て余す少年よ。本題に入ろうか」

ニヤリと悪女の笑みを浮かべ見下ろす。そりゃあ無理ですよ、だって男の子だもん...





    ◇ ◇ ◇

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