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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

暗殺者スコーピオン

暗殺者の殉職

作者: 潮路

スコーピオン:「不死身」の肩書を持つ暗殺者。対象一人の能力を一瞬だけ消滅させる能力を持つ。


この作品に登場する人物は何かしらの能力を持っております。


そして前作を読んでいないと、若干とんちんかんな部分が出ています。

不死身のスコーピオンは本部へと帰着した。

愛しのお姫様は、優雅に椅子に腰掛けている。


「いつ見てもあなたは麗しいな」

「そっちこそ、いつ聴いても褒め方が同じね」


一本取られたとスコーピオンが返す。


なんら変わらぬ、いつもの仕事報告…3年前くらいから始めただろうか。

命を賭けた彼の死闘は、この瞬間のために。

お姫様の笑みを手に入れるためなら、ひとつの都市をゴーストタウンにする自信すらある。


「ところであなたに、新人を紹介するわ」


そう言って彼女は見知らぬ銀髪の男を呼び出す。

一目見ただけで判断できる。相当やり手の暗殺者だ。


「俺はあなたにとって唯一の用心棒のはずですが」

「ええ、唯一の座は彼に譲ることにしたの」

そう語り終わる前に、銃の火花は散っていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


…弾丸は容赦なく俺を捉えていた。

だが弾を回避する程度のことなら容易い。

(まだまだ青いな、坊ちゃん)

無慈悲な命中精度で弾を放ち、一瞬でカタを付けにかかる。

しかし奴はすべての弾を、身体に当たる直前で避けていた。

男は呆然とするスコーピオンを見て言う。

「まだまだ青いな、坊ちゃん」



こうして、自前の銃は弾切れとなった。

(俺が苦労して覚えた「弾透かし」を使いこなしている)

相当の手練であることはわかった。しかし、どうということはない。

「弾透かし」を使えるのは俺も同じだ。全弾を避けきる。


負けるわけにはいかない。こんな擬者(まがいもの)ごときに。


・・・・・


お姫様は、圧倒的なカリスマを持ち得ていた。

幼い頃から多くの人間が彼女を慕い、取り巻いてきた。

今だって、この勝負を優雅に観戦しているお姫様の周りには、夥しいほどの黒服の数。


俺はそんな彼女の、唯一の用心棒になることを許されているのだ。


俺が挑む標的が大勢いるように、俺に挑もうとする奴らも大勢いた。

その結果は、常に俺の生存。

俺から彼女を引き離すものは誰であろうと万死を与えた。


・・・・・


飛び道具を失ってからは、格闘戦となる。

男は、ここでもスコーピオンに迫るほどの実力を見せつけている。

(本当に惜しい奴だ、また別の機会に会いたかったものだ)

こんなに強い奴は、俺が用心棒になってから初めての標的以来だろうか。

銀髪のその男は、着弾直前で弾を回避するという常軌を逸した特技を持っていた。

…あの仕事は実に難儀であった。結局一人では倒しきれなかった程だ。


格闘戦を繰り広げて、10分が経過。

長期戦に持ち込めばと踏んだスコーピオンだが、男の体力が尽きることはない。

流石に限界が近い。反応速度も随分と落ち込んできた。

このままでは尽きるのは自分だろう…


いや、弱気になってはいけない。こんな状況はいくらでも凌いできた。

能力が落ち込んだのは相手も同じ。打破できる可能性が残る限り、諦めるわけにはいかない。

とりあえず策を練るしかな



「飽きた」


お姫様のあくびが合図となり、黒服達の弾丸が俺を貫いた。


・・・・・


「あの時、どうして援護射撃をしたのです」

「見納めが終わったからよ」


はじめての用心棒が終わってから、お姫様はそう言った。

互角で進んでいた勝負は、幸運の女神の采配によって決着した。


「これからは、あなたが私の用心棒よ。よろしく頼むわね」

「ええ」

「そうはいっても、あなたも私の関心が無くなったら」

「…俺はあなたに心酔しきっている。どうなろうが構いません」


彼女は続ける。


「せいぜい私の為に尽くしてね、不死身のスコーピオン」


・・・・・


「あら、生きていたのね」

「不死身…ですから」


俺は強靭な精神力で立ち上がり、強がりを吐いた。…多分そう長くは持たない。

黒服達は竦み上がり、銃を撃つことすら忘れている。


「役に立たない人達。それでは仕留めなさい…スコーピオン」


男はそれに頷き、得物を持ってこちらに迫る。


そうか、あいつは俺の名前を奪ったのか。

俺があの時、先代スコーピオンの名前を奪ったように。

今度は奴が、お姫様の用心棒に…


俺は何も残らないまま、死んでいくのか。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


俺から彼女を引き離すものは誰であろうと万死を与えた。


その場合、彼女自身が俺を引き離そうとしたならばどうなるか。


無論、万死を与える。お姫様には悪いが、くたばってもらうしかないようだ。



…お姫様のカリスマ。

多数の黒服の取り巻きを作り上げているのは、あくまでお姫様が持つ能力(スキル)の影響でしかない。


…俺は一瞬だけ能力を消滅させられる能力(スキル)を持つ。

この瞬間に限り、お姫様は単なるお子様に戻り、指揮するものがいなくなった黒服達は烏合の衆と化す。


…その一瞬を何に利用するのか。

無論、お姫様に万死を与えることにだ。


…与えるための凶器はどこにあるのか。確かに私用の銃は弾切れである。

だが、『仕事で支給された銃』にはまだ弾が残っている。


前回のミッションでは、標的と部下全員が自殺をしたため、銃弾を使用していないからだ。



一回しかチャンスはない。

そして成功したとしても、俺は死ぬ。


「…俺はあなたに心酔しきっている。だから」


躊躇いなく銃のトリガーを引いた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「なるほどな」

「身体能力だけでなく、能力(スキル)まで一緒だったとは」

「一本取られた…まさかそのまま3年前の…」


男の放った弾丸は、お姫様の取り巻きの一人が体をもって止めた。


そして、スコーピオンは男にとどめをさす。


男の断末魔は以下のとおりである。


「まったく…俺の綺麗な銀髪が…台無しだ…」




若干、説明不足である点は否めないですね。

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