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第8話 指名だからしょうがないだろう

午後。


図書館にー、って話だったけど……

なぜかダルディナー先生からの呼び出しがあり至急研究室へ来ることと連絡が。

図書館で優雅に本三昧の予定が。

でも通行証の件でとかライルもどこか行っちゃったししょうがないので学院に戻ることに。





「ちょっとおっさん。また呼び出しってどういうこと?」



バタン!めきっ!


「ぐおぉ……」


……。デジャヴ……?

まさかと思ってドアと棚の間を覗くと見覚えのある金髪の頭。


「ごめん……ライル……」

「いや、大丈夫……」


ちょっと角が当たった頭が痛そう。


「眩く照らす白き光。癒しの妖精(ヒーリング)

「あれ?ライル魔法使えたんだ……」

「治癒くらいはなー。便利だし教えてもらったんだ」


まぁお忍び……なのかこんなふらふら城を出て街をうろついてるくらいだしそんなものかな。


「ライが使えるのは治癒以外だとかなり初級な火の魔法だけだがなー」


奥からダルディナー先生が現れる。その手には手紙らしきもの……


「それで呼び出しの用件はなんですか」

「あぁ。午前中の続きみたいなもんでちょっとな。図書館の特別通行証の手続きに少し時間がかかるのとその間に頼みごとがってことらしいんだが……」


うーん……一日臨時で見せてもらうだけでも良かったんだけどなぁ。

通行証ともなると確かに発行に時間がかかりそうだ……。


「頼みごと、ですか……。なんか嫌な予感しかしないけど何ですか」

「王から発行まで時間がかかることと報酬という形にしないと納得しないやつがいるからちょっと仕事を引き受けてくれということだ」

「えぇー……」

「えーっていうな。指名だからしょうがないだろう」


学院にはさまざまな仕事が来る。ほとんどのものは内容を見て卒業生や在学生に割り振られる。

ところがこの指名依頼だけは他に振ることが出来ないのである。厄介なことに……。

研究所を辞めてからは私への指名依頼は住まいが遠かったこともありほとんど断ったり通常依頼にしてもらったりしていたらしい。

今回は私が学院にいることと依頼者が王だから断れないということだろう。


「はぁー、やだやだ……これだから権力者ってやつは。ねぇライルお・う・じ・さ・ま」

「えーっと……すまん。親父が気に入ったみたいだから諦めろとしか」

「そこでライルに当たってもしょうがないだろう。まぁそんな面倒なものじゃないしさっさと散歩がてら行って来い」


依頼の内容はファリスの森近くにあるルイーズの村から。

最近、頻繁にゴブリンが村の周りに出没するという報告と住民が不安を覚えているのでゴブリンの退治ということだった。


「ゴブリン退治ねぇ。それこそ在校生にでも実習がてら行かせればいいでしょうに……」

「いや、実習で行くにはちょっと距離があるからな。それに集団で行くには準備にも行程にも時間がかかり過ぎる」

「まぁそれも分かりますけど……。しょうがないですねぇ、さくっと行ってきますか」


ふと思い出したようにライルが付け足す。


「あー、後その村からの連絡がここの所来なくなったから本当かどうかって言うのもあるみたいだから……生徒に行かせてやっぱり何もなかったって言うのは避けたいんじゃないか」

「あ、そうなの?じゃあ調査メインになるのかなー。とりあえず一人ならすぐだしちょっと行ってくるわ」


銀の刺繍が目立つのでマントだけはずして無地の黒マントに変える。

特に準備をすることもなく鞄だけ持って行こうとしていたらライルがあわてたように声を掛けてくる。


「え、おい。旅の準備とかは!?」

「ん?別にそんな時間かからないと思うけど。多分夜までには戻ってくると思うわ」


脳裏に周辺の地図を思い浮かべる。ファリスの森の手前にあるルイーズの村なら飛んで行けば数時間で着く。馬車などで移動するとなると半日はかかるだろうけど。

王都から出る前で簡単な食料は買っていくし鞄にはいつも少量の保存食は入れている。緊急の連絡などあった場合も学院になら魔霊の子達にお使いを頼めばいい。

ざっくりと考えている予定では今から出発しておやつの時間くらいには村に到着、一時間程度で調査と討伐、片付けや挨拶を済ませて帰ってくれば夜遅くまでは掛からない。

さらりと説明したがいまいち納得が行かない様子のライル。いつもの事だからまぁそんなものだなと納得の先生。


「くくくっ……。疑うならライルも着いて行けばどうだ。きっと面白いものが見れるぞ」

「面白くはないんじゃないの……普通ですよ普通」

「いや、普通はそんな行程にならないと思うけど。特に急ぎの用事もないし面白そうだから着いて行くか」

「……邪魔はしないでよね」

「……努力する?」


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