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第3話 さすが俺の見立て。ぴったりだな。

「ん、ミルか?思ったより早かったなー」

「そっちからの呼び出しが珍しいから何かあったのかと思ってちょっと急いでみただけよ。それにしても…」


ドアでサンドイッチした人物はどうやら散乱した本の片付けをしていたようで黙々と本棚に本を並べていた。

淡い金色の長い髪が薄暗い部屋の中で明かりを反射して光って見える。


「珍しいね。部屋の片付けをするのもだけどここに生徒を入れるなんて」

「ん?あぁ。いや、そいつは生徒じゃないけどな……ちょうどいい。少し休憩するか。ライもこっち来い」


通常であれば足の踏み場も無く人が通れない部屋がぎりぎり人が通れるほどになっていて奥のスペースに進んだ。

一足先に奥に行ったダルディナー先生がお茶を用意している。


「轟き流る……あー……ミル、お湯出してくれ」

「おっさん……それくらいの魔法めんどくさがらないでよ……」


心底嫌そうな顔をしつつも私もお茶は飲みたいのでポットを受け取る。

「しょうがないなぁ……潤いの水(アクア・モイスト)炎の小妖精(フレア・ピクシー)


目の前に作り出された水の玉の中に炎が生まれ一瞬で沸騰する。

出来上がった湯をポットに落とす。


「えぇぇぇ……なんだそれ、詠唱どこいった……」


かくん、とライと呼ばれた男が顎を落としていた。


「ミルは規格外だから気にするな。とりあえず座れ。紹介と説明するから」

「規格外とか失礼なっ!」


ポットからお茶を注いで席に着く。

他の二人も席に着いた所でダルディナー先生は口を開いた。


「まずミルを呼び出した用件の1つだ」


そういってことり、と机の上に魔道具を置いた。

一見普通の銀製のブレスレット。

ごつい見た目の割りに繊細な見た目の魔道具を作るおっさんである。

細い蔦が散りばめられているような細かな細工。ところどころにあしらわれた透明な魔石。

なかなか強力な『魔封じ』だ。


「わー、ありがとー。相変わらず見た目に似合わない繊細なもの作りますねぇ」

「ほっとけ。サイズが合うかとりあえず試してみろ。後、貸してたやつは返却しろ」

「はいはーい」


もぞもぞと首もとから紐に通していた指輪を取り出し返却する。

代わりにそのブレスレットを左手につける。

うん、ぴったり。


「うむ。さすが俺の見立て。ぴったりだな。効果はどうだ?多少なら調整できるが?」


「ん。ちょっとまって。潤いの水(アクア・モイスト)


上に向けた掌の上にこぶし大の水を想定し発動、のつもりが……

大人の頭1つ分程度の水球が現れる。


「もうちょっと強くてもいいのかも?でもこれくらいなら許容範囲かなー」

「まぁその種類の魔石は結構あるから……ちょっと増やすか」


そういってブレスレットを手にとって部屋の奥に引っ込んでいく。


「今の……魔封じの道具つけてなんであれで発動するんだ……」


化け物を見る目で見ないで欲しい。こんなにか弱い女の子なのにっ!

それにしてもこの人、見た目はずいぶん整っているんだなぁ……

光に透ける淡い金色の髪。透き通った空ような青い目。金髪碧眼なんてベタな王子様のようだ。

なんとなく気まずい沈黙の中待つこと数分。

小さな魔石をいくつか増やしたブレスレットが手元に戻り効果も予想通りなことを確認して受け取る。


「さてと。で、もう一つの用件だが……。ミル、二年前と同じだ。まだだめだと思うか?」

「……。見ての通りの若輩者ですので請けかねます。私には荷が重過ぎると存じます。村での自分の役割もまだ十分に果たせているわけではありません」


ダルディナー先生の言葉に対しスッと目を細め口調を変えて答える。


「まぁ予想通りだがな……一日考えさせて下さい、くらいは言うもんだぞ」

「はぁ、じゃあ次からは……っていいんですか。部外者がいるとこでこんな話してて」

ちらりとライのほうに目を向けて言う私に

「ライなら大丈夫だ。聞かなかったことにするなど朝飯前だろう。ある意味部外者じゃないしな」

さてライの正体は……。

もうちょっとでわかる予定!

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