第2話 すみませんでした!お通り下さい!
てくてくと正門に近づき昔の癖でそのまま挨拶だけして通り過ぎ――
「ちょ、ちょっとお嬢ちゃん!勝手に入っちゃだめだよ!見学希望者かい?」
若い門番に回り込まれ足を止める。
「え?あ、あれ?おっちゃんじゃなくなったんだ……。しまったなー。ローブ着てこなかった……」
もぞもぞと鞄のポケットを探り学院章を取り出そうとする。
「?在学生かい……?でも見覚えのない生徒だね?」
「失礼なっ!卒業生ですよ。五年前の」
「そんなはずないだろう。どう見てもまだ十代前半だろう、君は」
本日二度目のショックです……
「おにーさん、これでも私は十七歳なんです……」
「いや、それでもおかしいから。五年前って十二歳で卒業とかないだろう」
そう。学院は七年制。
入学試験の受験は七歳から十二歳までが可能である。
入学してから二年が初級で基礎を習い、次の三年が中級で応用を全般的に、最後の三年は上級でそれぞれ専門を決め学ぶ。
「まぁいろいろありまして。あったあった。これでいいですよね?」
奥にしまいこんでいた学院章を突き出す。
「白金の六芒星!?じゃあ君は……君が……。すすす、すみませんでした!お通り下さい!」
なんかすごく怯えられてるのはきっと気のせい……だよね?
ちなみに学院章は卒業の際にそれぞれに作られる卒業証書のようなものだ。
形は力の強さを、色は属性を表すものにすることが多い。
たまにどうしても!というこだわりのある人は好みのデザインにし裏面に学院の刻印をされたものにする人もいるらしい。
とりあえず呼び出してくれたおっさんの所に顔を出さねばなるまい……
久しぶりの学院は相変わらずという感じだった。
実践場のほうからは派手な音がしていたり初級の講義室からは歴史を語る声が聞こえたり。
懐かしく思ってのんびりと廊下を歩き上級研究棟にたどり着く。
螺旋階段の中央を魔法で飛び上がる。
「空駆ける翼」
詠唱も無く発動させる様を通りすがりの学生が見てぎょっとしていた……かもしれない。
5階にたどり着き見慣れた扉を開ける。
「ちょっとおっさん何の用事?」
バタン!めきっ!
「ぐおぉ……」
……。何かが今……
恐る恐る覗き込むとドアに直撃されたらしき人物が一人うずくまっている。
「えーっと。ごめんなさい?」
「いや……いい。大丈夫だ」
どうやら結構勢い良く開けたドアと本棚の間でサンドイッチにされたようだった。
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