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異空のブルー  作者: クーゲル・シュライヴァー
1/1

プロローグ~~少女と少年


歪む、世界が歪む。 突如としてこれまでの我々の世界は崩壊する。


それはまるで穴だらけの世界。継ぎはぎのパッチワークの世界。

謎の〔異空間〕が世界中に発生し、たった一日で世界の約半分は人の住めない世界へと変貌してしまった。


ーー〔異空間崩壊〕《ゾーンブレイク》ーー



後に人々はこの現象をこう呼ぶようになった。







そして混乱したこの世界に二十五年の時が流れた。










「あーおーいーこのせかいーにー。ふるゆーきーはーしろいーはなー」


少女がひとり、深夜の海岸を夜に溶けてしまいそうな艶やかなロングヘアの黒髪を海風に揺らし、歌いながら歩いていた。肩からずれ落ちそうで手まで隠れたブカブカのトレーナーとそのトレーナーに隠れたピッチリとしたホットパンツという動き辛いのか動きやすいのかよく解らない格好で歩いていた。寝間着代わりの格好なのだろう。


なんとなく散歩をしたくなった。少し歩くには遠いが海風にあたりたい。そんな気分。ちょっと寝付けないなと思う時はとにかく歩く。


夜の風は冷たく気持ち良い。人影も無いとついつい歌いたくなってしまう。

少女が歌うのはデタラメな歌。詞も、曲も本当にデタラメ。適当にメロディを思いついて、適当に頭に浮かんだままに歌詞を歌う。人が通れば凄く恥ずかしいが、今は人は通らない。

だから気持ち良く歌える。きっと家に着く頃には適度に疲れてぐっすりと気持ち良く眠れるだろう。その前に汗を流したいからシャワーを浴びて眠ろう。


「そーれーは。と、今日はここまでか」

少女は歌をやめて立ち止まる。


少しだけ離れた前方にはバリケード。ここから先は立ち入り禁止。一般人には入れない国軍の〔警備基地〕があるからだ。あまり近づくと怖い兵隊に警告されてしまう。前にうっかり近づき過ぎてそういうポカをやらかしてしまった。 ここから先がボーダーラインとその時から決めた。ここからは回れ右して元来た道を帰ってしまおう。少女としても〔警備基地〕になんて用は無いのだから。


ロングの黒髪を翻して回れ右。〔警備基地〕の方角にうっすらと巨大なロボットのようなシルエットが視界に写る。あれは軍の陸戦機 〔M・P〕《メタル・パワード》だろうか?


いいや、全然興味ないし。と少女は特に気にも止めずに元来た道を歩き始めた。



少女が去ると〔M・P〕らしきシルエットはゆっくりと動き出し、姿を消した。




少女は行きと同じように海岸を歌いながら帰って行く。


予想通りに適度に疲れた。ぐっすりと眠れるはずだ。シャワーを浴びて、冷たい飲み物を飲んで明日まで夢の中だ。


「ぼくはみるーあおのきせきー。とーじてーいーたーしろい」


少女は気持ち良く歌っていたデタラメな歌をぴたりと止めた。なにか目の前に違和感を感じたからだ。


「あれ・・・・・・」


眼を凝らして海辺を見る。幸い夜目になっているし、視力も良いほうだ。見間違いは無いと思う。何かがそこにいるのだ。

「ひとかな?・・・・・・ひと!?」


何かが波に打たれ砂浜に倒れているように少女には見えた。


「あれ、ヤバイんじゃないかな? いや絶対ヤバイじゃん!?」



少女は形振り構わずに浜辺に打ち上げられた人かもしれないものの元に走った。





「ヤバ、ヤバ、ヤバイよ!!?」


近づくと少女は確信した。人だ、波に打たれているのは人だ。死体だろうか? いや、生きている。この人は生きている。


「しっかり! しっかりして!!」


少女は服が濡れるのを無視して波のあたらない所まで人を移動させ頬を叩く。



「……すぅ、ぅ」


白髪だが、どうやら彼は少女と年の変わらない少年のようだ。返事は無いが、息はある。顔を見ると頬に赤みが差し、意識も戻りつつあるようだ。


「はぁ、力抜けたぁ」


少女は気が抜けて砂浜にへたりこむ。寝間着代わりのホットパンツと大きめのトレーナーも濡れてしまったがどうでもよかった。とにかく安心した。



「……ぁぁ」


「あ! 気がついた!!」


少年の口元が動く。眼を覚ますようだ。少女は慌てて彼の顔を覗き込む。うっすらと開けられた彼の眼はとても青い瞳の色だった。


(うわぁ、外国の人かなぁ)


少女は興味深げに初めて間近に見る青い瞳を黒い瞳でマジマジと見つめてしまった。


「……さ」


少年の口が動き、言葉を紡いだ。


「サ……リー?」


人の名前? 彼は人の名前を言ったのだろうか。



「え、ええと。わたしはサリーじゃなくてナーー」


誰かと勘違いをしている。少女は慌てて訂正しようとするが


「あれ? あれ!?」

少年は再び眼を閉じて


「すぅ、すう」


寝息を起てていた。


「ちょっと! こんなところで寝られても困るよ!?」


何度か頬を叩いてみるが、少年は起きる様子が無く


「ど、どうしよう……ほっとくわけにもいかないよね」


少女は途方に暮れながら少年の顔を眺めるしかなかった。










ーー中国大陸 重慶 〔異空間〕《ゾーン》境界線


『解っているな〔美鈴〕《メイリン》限界時間は三十分。いいか無茶はするなよ。これは偵察任務だ』


「了解。必ず時間内に〔紅機〕《こうき》を帰投させます」


隊長からの通信を一端切ると〔美鈴〕《メイリン》と呼ばれた女性は後ろに結わえた黒髪をもう一度結わえ直し、両手を前方の機械に押し込み、体を操縦席へと固定した。前方の巨大な画面が点滅し、次々と情報が提示される



「〔ZOA〕《ゾア》最終機体チェック……オールクリア了解。これより〔ゾーン〕への突入を開始します」


それらを肉眼の視認で確認し、巨大な人形ひとがた機体を起動させる。


「〔紅機〕起動確認。偵察作戦を開始します」




薄紅色の巨大な人形ひとがたのロボットが一つ目の〔スコープアイ〕を明滅させてその巨体を立ち上がらせる。全長二十メートル強の逆三角型のマッシブボディはとても雄大なおとぎ話の巨人を思わせ、人間そのものと呼べる精巧な左腕マニュピレーターには現実の人間が使う〔アサルトライフル〕をそのまま巨大化させたような武器を握りしめ、肩から背中に装備された巨大なエンジンノズルのようなものからは轟音と共に鈍い光を放っている。


前方には揺らめく壁のような膜のような何かが、上空と〔紅機〕の周りには虹、又はオーロラのような光が揺らめいている。それはどこか幻想的な光景に見えた。


巨大な〔紅機〕の左脚部が一歩踏み出し、まるでアスリートのように腰を屈める体勢を取り


「〔異空間突入〕《ゾーンダイブ》!」


背中のノズルから強烈な輝きを放ち、〔紅機〕は一気に揺らめく膜の向こうへと突っ込んでいった。





ーー〔異空間〕《ゾーン》内部




雷鳴の如き一瞬の輝き、轟音。巨大なシルエットが飛び出し、脚部を大地に降ろし。削り落とすような急ブレーキを掛けてその巨体を建物の間に止める。背にするユニットのノズルから漏れる光が弱まり、同時に微小な作動音が短く響き、緑色の薄い光が一瞬巨体を覆う


「〔メルト・エンジン〕異常なし。正常に稼働。〔プロテクション〕九十七パーセント展開正常」



モニターに映る情報を確認し、美鈴メイリンは〔紅機〕の体勢を立て直す。


「〔異空間〕《ゾーン》内行動。問題なし」


美鈴は首を動かす。〔紅機〕の首も動き、顔の大半を覆う巨大な一つ眼〔スコープアイ〕がCG処理された外部を映す。砂嵐のような軽いノイズが走り、外を判別するのが難しい状態だ。


「オート修正が働いていないのか? 外部CG情報、モニター修正を」


美鈴の声と共に、短い間の後にモニターのノイズが修正され、クリアなCGによる外部情報が正確に映し出された。


モニター・スクリーンに映る映像は建ち並ぶビル等の建物。植樹された木々。道なりに並ぶ自動車や自転車。

かつて人が生活していた色がそこかしこにあった。発展を続けてきた活気ある街の色が、そこには確かにあったのだ。


しかし、今は無い。この街の時は止まっている、いや、終わってしまったと言えるかもしれない。

もう世話しなく動く人の姿はない。働きに行くもの、遊びに興じるもの、この国特有のパジャマ姿で買い物をするものも、勢い付いた若者のデモ活動や武力警察との衝突も、ただ懸命にその日を生きる人々の姿はもうないのだ。


〔異空間〕《ゾーン》に呑み込まれたその日から動き出すことは無くなったのだ。


「……任務を開始する」


美鈴メイリンは少しだけ、ほんの数秒だけ感傷的な瞳で街を眺めると〔紅機〕の脚部関節を駆動させ偵察任務へと動き出す。


(突入が派手だったからな。偵察なんてものにはならないかもしれない)


〔異空間突入〕《ゾーンダイブ》特有の派手な光と音を発する欠点に軽く舌を打ちながら美鈴は黒い瞳を動かしながら辺りを警戒して〔紅機〕を前進させる。


(第二予定地点までは楽に通過……か)


美鈴は制限時間を気に止めながら、辺りを見渡しながら手に持つ武装を握り直し緊張の度合いを強める。



(まあしかし、こんな所で〔アレ〕と接触しては我々としても厄介なわけだが)



制限時間までは残り二十分以上。まだまだ想定した地点までは行ける距離だが帰還までの距離も考えて行動しなければならない。できれば〔アレ〕と接触せずに、情報だけを持って帰るのが美鈴の理想だが。


「通信?」



低いブザー音とモニターの隅で点滅する青い光を確認し、美鈴は通信を開いた。



『こちら〔親鳥〕提示連絡が遅れているぞ〔雛鳥〕』


野太い声の音声通信。それは隊長からの通信だった。どうやら提示連絡の時間を過ぎてしまったらしい。美鈴はこちら側の通信を開き連絡を行う。


「こちら〔雛鳥〕連絡が遅れて申し訳ありません」


『〔雛鳥〕提示連絡には遅れるなと言ったはずだ。そちら側ではなにが起こるかわからんからな』



「は、言葉もありません」



『フ、帰投後には鍛え直しが必要か?』


「……了解」


隊長の冗談めかした声に美鈴は大真面目に応え、苦笑した隊長の声が耳に響いた。


『それで、そちらの状況はどうだ?』


「は、今のところはーー」


以上無しの連絡とこのまま前進し、最終地点まで進む事を伝えようとしたとき


「訂正。〔敵方〕接触の可能性あり」


一瞬、ほんの一瞬。レーダーに反応を美鈴は見た。

武装の激鉄を起こす。


『〔雛鳥〕……無理な接触は起こすな。これは偵察任務だ。目的は敵との交戦ではない』


緊張した隊長の声が耳に響く、確かに余計な戦闘は現在の装備から考えても無謀だと美鈴も思った。


しかし


「どうやらこちらに気付いたようです……もしかしたら突入をした時点で」


『全力で帰投しろ〔雛鳥〕今すぐにだ!』


「了解は、できません。見逃しはしませんやつらは、〔Z・E〕《ジ・イ》は!!」


『よせ〔雛鳥〕命令だ! 帰投しろ〔飛・美鈴〕《フェイ・メイリン》!?』


「私たちの敵だ!!」


怒号に近い隊長の声を無視し、美鈴メイリンは通信を切り、脚部関節を駆動させ全力で駆け出した。


「!!?」


瞬間、モニター前方に緑色の薄い光が掛かる。〔異空間〕の行動時の機体ダメージを抑える〔プロテクション〕の光。警告だ。 レーダー反応は左。美鈴は〔紅機〕で全力の回避行動を取る。大地を蹴り上げる。


弾丸のような敵の攻撃が〔紅機〕のいた地面を抉る。


(そこか!!)


〔紅機〕が敵方向に射撃を試みる。照準を合わさないデタラメな射撃。

人の扱う〔アサルトライフル〕に似た武装。機合銃きごうじゅう〔クロス・ブラスト〕から〔電磁弾丸〕《でんじブリット》が放たれる。


電磁の火花を上げて、建物を抉りながら射撃は上昇し、目標を捉える。


「こいつが、〔Z・E〕《ジ・イ》」


態勢を崩さぬように〔紅機〕を着地させ、接触した自らの敵を美鈴は見つめる。


〔Z・E〕《ゾーン・エネミー》と名付けられた敵の姿は青白い機械的で、四足歩行の動物のような姿をしていた。

その頭部は鋭角な巨大な角。顔は確認できない。後部からは尻尾のような物体が触手のようにうねり、先端を〔紅機〕へと向けられる。恐らく、あの射撃はあそこから放たれたものと推測する。

地面を踏みしめたその四足の脚部は馬の蹄を思わせる。


この観察は数秒。敵は悠長に待ってくれるものでは無かった。


敵の射撃が来る。


「やられるか!!」


美鈴は攻撃を大地を蹴り、後方に跳躍。背中に装備された〔ゾーン・リフター〕をフル稼働させての跳躍。

本来ならばこの〔ゾーン・リフター〕で〔異空間〕内の飛行が可能とされているが、〔異空間〕内に溜まるエネルギーを媒体にして力場を生み出す〔メルト・エンジン〕は〔紅機〕に装備されたものでは〔ゾーン・リフター〕を飛ばす馬力が足りない。


従って、この無駄に高い跳躍は、敵の標的になってしまう。


(……わざわざ)


だが


「無様をさらすと思ったかああぁぁっっ!!!」


美鈴は跳ぶとは逆に〔ゾーン・リフター〕を稼働させる。


逆。即ちそれは急速下降。敵に目掛けての特攻である。

敵にデタラメな発砲で〔電磁弾丸〕の雨を降らせる。上げられた尻尾による弾丸攻撃を阻止。無数の電磁の火花が上がり、青白い機械的な巨体を抉り、貫通し、ダメージを確実にあたえる。


(倒れろっっ!!)


一気に接近した敵へ、ダメージの通ったボディに強烈な蹴りを叩き込む。

これで敵は倒れ込み、零距離から〔クロス・ブラスト〕を撃ち込めば!


「なっ!!?」


だが、敵〔Z・E〕は予想を越える。〔電磁弾丸〕乱射からの急降下蹴りを敵は耐えきり、倒れない。〔紅機〕の巨体が力の行き場を失い、大地へと投げ捨てられた空き缶のように何度も叩きつけられ敵の遥か前方で止まる。


 (くっ、〔ストライカ〕装備なら今の一撃で!!)


美鈴は仕止め切れなかった苛立ちに歯をきしませ、〔紅機〕本来の力が出せないどうにもならない今の現実を嘆いた。


(いや、そんな事を思ってどうする美鈴メイリン今は戦え、勝って〔紅機〕を帰投させろ!)


美鈴は頭を振って〔紅機〕を立ち上がらせる。手元に〔クロス・ブラスト〕は無い。取り落としてしまったか。だが、まだ戦い方はいくらでもあるはず。まずは敵の居場所を


「え?」


モニターには砂煙。レーダーの敵反応はーー目の前。


「ぁっ!!?」


砂煙を吹き飛ばし、敵〔Z・E〕の狂暴なシルエットが〔紅機〕に突っ込み。



〔紅機〕の“胸部”を貫いた。





完全な一撃を食らった。微傷のダメージを抑える程度の〔プロテクション〕ではこれを止めることは叶わなかった。モニタースクリーンに幾重もの砂嵐が並び、敵〔Z・E〕のダメージの帯びたシルエットを僅かながらに映している。


「……こんな」


もはや動く事もないと思われた〔紅機〕の血のように赤黒いエネルギー油に汚れた左腕マニュピレーターが反応を示し、腹部兵装ラックが開く。


「こんなことで」


剥き出しになった兵装の柄を左腕マニュピレーターで掴み、超振動ナイフ〔アタッカ〕を引き抜いた。


「こんなことでっ! 私は!!?」


美鈴メイリンは瞳に涙を溜めた。帰投が叶わなかった悔しさ、無念さが込み上げてくる。制限時間までまだ九分もあったというのに……ここで〔紅機〕は果てる。

だがお前も道連れにしてやる!


握りしめた〔アタッカ〕を振り上げ、美鈴は敵〔Z・E〕のダメージ部へ

降り下ろした。


「うぇあああぁぁっっっ!!?」


美鈴メイリンの絶叫と共に〔アタッカ〕による超振動の一撃が直接敵内部へと送り込まる。


そして


敵〔Z・E〕は崩壊を始め、〔紅機〕もろとも爆破四散していった。



制限時間 五分を残し、〔紅機〕は〔異空間〕の大地へと散った。










「んぁ……あぁ、寝ちゃってた」


少女は眠い眼を擦りながら目を覚ます。


(変な夢だよ。あのユラユラしたのの向こう側にあんなお化けみたいのがいたらうちら全滅だよね)


少女は妙にリアリティのあった自分の夢を笑いながらベッドを見る。


「うーん、変と言えば彼もだよね」


深夜の散歩で海辺に倒れていた少年を少女は放っても置けず、なんとか担いで自宅まで運んできた。幸い、今は両親と離れての一人暮らしなので問題は無かった訳だが


「うん……年頃の男の子を着替えさせるのも貴重な体験……」


少年の濡れた衣服を脱がし、目を積むって自分のブカブカトレーナーに着替えさせた。途中、妙な感触を手に感じてしまったが知らなくてもいいはずだと少女は忘れる事にした。


「おおい、起きちょりますか~。白い髪の毛抜いちゃうよ?」


ベッドの上の少年に白髪を弄りながら話し掛けるが少年はまだ静かな寝息を起てている。起こすのも可哀想だと少女は立ち上る。


「へくち! うぁ、他人の事より自分の心配しないと風邪引いちゃうよ」


少年を着替えさせてベッドに運んだ所で寝てしまった少女はまだ自分がまだ濡れた服を着替えていない事を思い出す。


「うぅ、お風呂入って寝ちゃお……て、もう三時なの? このまま起きてたほうが良いかなぁ? でもお風呂気持ち良いから寝ちゃうし」


少女はぶつくさ独り言を呟きながらバスルームへと向かう。


「・・・・・・」


途中、窓の外に目がいく。黒い瞳に写るのはずっと遠くに見えるユラユラとしたオーロラみたいな膜。少女が生まれる前からそこにある〔異空間〕《ゾーン》と呼ばれる壁。

夢の中にも出てきた場所。


「やめ……考えるのはやめ。とにかくお風呂いこ」


少女は頭を振ってあのリアルな夢を振り払い、今度こそバスルームへと入っていった。





「……ん」


誰もいなくなった暗闇に青い瞳が開かれた。




白髪の少年が目を覚ます。




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